東南アジアと中国の分析本

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最近、写真の2冊の本を大変興味深く読ませて頂いた。
たまたま、中国問題に詳しい宮崎正弘氏の本を読んでいて、川島博之氏の書いた「日本人が誤解している東南アジア近現代史」(上の写真)が何度か引用されており、興味を持ったので、インターネット検索で川島博之氏を調べたら、著書の中に「『作りすぎ』が日本の農業をダメにする」(日本経済新聞社発行)と、「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」があったので取り寄せて読んだ。

非常に感銘を受けた。

著者の川島博之氏は、1953年東京都生まれ、1977年東京水産大学卒業、東大工学博士、東大大学院農学生命科学研究科准教授、専門は環境経済学開発経済学、東大生産技術研究所助手、農林水産省農業環境技術研究所主任研究官、ロンドン大学客員研究員などを歴任、と書いてある。
農業の専門家で、農業調査、指導などで、東南アジアや中国を歩いている。
特に中国へはここ20年間で40回ほど訪問し、しかも、中国からの留学生を伴って訪れるので、地元の人達の意見を多く聞いており、実情がよく分かる。

私は東南アジアの各国は複数回ずつ訪れており、訪問する度に、その国の歴史を調べてから行くので、結構詳しいつもりでいたが、「日本人が誤解している東南アジア近現代史」を読んで、認識不足であった事が分かった。

また、中国は5回訪問しており、中国の現状、将来に関する本も沢山読んだ。

しかし、現代中国は、農民戸籍を持つ人達が9.3億人、都市戸籍を持つ人達が3.8億人がいるそうだが、戸籍と、小麦文明とコメ文明の違いなど農業問題から分析した「戸籍アパルトヘイト国家・中国の崩壊」は、これまで読んだ本の中でも一番興味深い本だ。

この本は2017年10月に発行されているが、川島博之氏の分析は的を得ているように思われる。

是非ご一読をお勧めします。

海上保安庁の武器使用について

昨日(25日)、自民党政務調査会の国防部会・安全保障調査会 合同会議が開かれ、そこで海上保安庁尖閣諸島周辺海域での武器使用を可能とする解釈をした。この政府見解は初めてだ、との趣旨の報道がある。

私はこの会に出ていないので、詳しいやり取りは承知していない。

しかし、国民に誤解を与える恐れがあるのではないかと危惧するので、正確に書きます。

海上保安庁の武器使用権限については、海上保安庁法20条第1項に、警察官職務執行法7条を準用すると書かれています。

警職法7条は「正当防衛・緊急避難」以外に「死刑または無期、3年以上の懲役もしくは禁固」の凶悪な罪に該当する場合は、武器を使用して危害が及んでも違法にはならないと規定している。

報道はこの後段の規定を指している。

しかし、韓国との間で、昭和27(1952)年1月、李承晩ラインが不当に設置され、昭和40(1965)年日韓漁業協定により李承晩ラインが消滅するまでの間、『日韓漁業対策運動史』によると日本の拿捕漁船328隻、抑留船員3,929人、死傷者44人、これが李ラインによる日本側の被害総数である、との記述がある。

私が小学5〜6年生の頃(昭和37〜38年頃)であろうか、朝のテレビニュースで海上保安庁の巡視船が韓国の船を相手に銃撃戦をやっているのを何度か見た。

また、1999年(平成11年)3月23日に発生した能登半島沖の北朝鮮工作船事件では、海上保安庁の巡視船が警告射撃を実施した。

この時に私が聞いたのは、北朝鮮は李承晩ラインの銃撃戦を知っているので、海上保安庁の巡視船は発砲してくるが、海上自衛隊護衛艦は発砲してこないと、たかを括っていたとのことであった。

しかし、その後、政府は海上自衛隊に初の海上警備行動を発令し、海自の護衛艦も警告射撃を行った。

さらに2年後の2001年(平成13年)12月22日に東シナ海で発生した北朝鮮工作船撃沈事件では、

巡視船が正当防衛を根拠に発砲、工作船は自沈した。

このように、海上保安庁はこれまでも外国船相手に、法に基づき銃撃を実施しています。

足摺岬沖の潜水艦事故で防衛政策局長へ要請

足摺岬沖でおきた海上自衛隊潜水艦「そうりゅう」(2,950トン)と香港籍の貨物船「オーシャン・アルテミス」(5万1208トン)との衝突事故について、私の地元高知県の漁民から心配の声が上がっている。
事故の原因は海上保安庁で捜査中であるが、潜水艦が潜望鏡を海面へ上げる露頂訓練中に起きた。
潜水艦が深度変更して海面近くへ上がってきた時に貨物船と衝突したそうだ。

衝突現場は足摺岬の南東約50㎞、沿岸から12海里(22.2㎞)が領海、その先12海里が接続水域、その先は公海となる。
この海域は高知県の県一漁協土佐清水支所に所属する漁船が、カツオやマグロの一本釣り、金目鯛漁、またマグロはえ縄漁のために航行している。
10日に高知県の濱田知事が中国四国防衛局を通して

防衛大臣に要請書を渡した。

その内容は

「1、事故原因の徹底究明を行うとともに、確実な再発防止策を講じること。

2、再発防止策及び事故の調査結果について、速やかに本県に情報提供すること。」

の2点です。
今回の事故は、潜水艦の定期検査後の訓練中に起きたもので、私は防衛政策局訓練課の室長から説明を受けた。
その後、高知県水産振興部長へ周辺海域の漁業の状況について問い合わせ、書類で回答をいただいたので、昨日、岡防衛政策局長へ、この海域の漁業の状況について説明し、潜水艦や護衛艦が航海、訓練をする際に、十分注意するよう要請しました。
なお、その後、山本有二衆議院議員、県一漁協の澳本組合長、土佐清水の問可(とが)副組合長へ電話して現状報告と今後の対応について話し合いました。

ワクチン接種における市町村長の声

参議院自民党では世耕幹事長の指示で、ワクチン接種を担当する全国の市町村長の心配事や要請を、先週金曜日にまとめた。

私も高知県内の市町村長の声を聞き世耕幹事長に提出した。

本日(10日)の議員総会で、世耕幹事長から、取りまとめた意見を文書で、昨日河野大臣へ、本日加藤官房長官、田村厚労大臣に届けるとの報告があった。

要請に応じて頂いた市町村長の皆様、ご協力有難うございました。

新型コロナのワクチン対策

8日(月)午後1時から自民党本部で、新型コロナウィルス感染症対策本部・社会保障制度調査会・ワクチン対策PT(鴨下一郎座長、古川俊治事務局長、いずれも医師で議員)の合同会議が開かれた。

参議院自民党では先週の金曜日までに、全議員がワクチン接種にあたる、それぞれの地元の市町村長の意見を聞いて世耕参議院幹事長に報告し、幹事長は政府に提言する予定です。

本日の会議は、ワクチン接種体制の構築へ向けた第一次提言案の取りまとめであった。

何箇所か改正要望が出たが、座長に一任したので後日マスコミでも発表されると思います。

同時に、現在の感染状況とワクチンの確保状況の資料が出たのでお知らせします。

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自民党外交部会、国防部会で中国に対する強い懸念の意見

2月4日(木)午後5時から自民党本部で政調会の国防部会・安全保障調査会の合同会議、5日(金)正午から、同じく自民党本部で外交部会・外交調査会合同部会が開かれ、中国海警法の施行等をめぐって中国政府に対して大変厳しい意見が相次いだ。
私は、5日の外交部会・外交調査会合同部会に外務省を代表して出席し、冒頭の挨拶をさせていただいた。

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中国の海警は、一昨年(2018年)法改正により、中央軍事委員会の一元的な指揮を受ける武装警察の隷下へ編入され、人民解放軍と同列の地位に昇格した。

そして昨年末に、海警法を制定すると言う話があり、国防部会等において何度か情報交換の会が開かれた。

そして、中国政府は本年2月1日、海警法を施行すると発表した。

防衛省資料に基づき、中国海警法の主要条文の仮訳を紹介する。

第1条(制定の趣旨)
・海警機関が法に基づき職責を果たすことを規範・保障し、国家の主権、安全及び海洋権益を擁護し、公民、法人及びその他の組織の合法的な利益を守るために本法を制定する。

第2条(海警機関)

・人民武装警察部隊海警部隊即ち海警機関は、海上権益擁護・法執行の職責を統一的に履行する。海警機関は、中国海警局及びその海区分局及び直属局、省級海警局並びに海警事務所を含む。
第3条(適用範囲)
・海警機関は、中華人民共和国の管轄海域及びその上空に置いて海上権益擁護・法執行活動を展開し、本法律を適用する。

【この条文が国際法違反ではないかとの意見が相次いだ。中国の管轄海域とは、中国が勝手に宣言した海域を含むものであり、尖閣諸島も含まれるからだ。国防部会・安保調査会合同部会では政府に対して提言書を出すことが決定され、文言は執行部に一任する事となった。】

第12条(職責)

・海警機関は、法に基づき以下の職責を履行する。

①我が国管轄領域において巡航と警戒を実施し、重点島・礁の監視、海上境界線の管理・保護、国家の主権、安全及び海洋権益に危害を与える行為を予防、制止及び排除する。

【この条文についても問題があるとの意見が以前から出ていた。現在尖閣諸島魚釣島には日本青年社が建てた灯台があり、現在は海上保安庁が管理している。この法律に基けば、この灯台を排除する事が出来るのではないか、との懸念である。】

第22条(武器使用)

・国家主権、主権的権利及び管轄権が、海上において外国の組織、個人の不法侵害を受ける、あるいは不法侵害の緊迫した危険に直面した際、海警機関は本法及びその他の関連法律・法規に基づき、武器の使用を含む一切の必要な措置を採り、侵害を制止し、危険を排除する権利を有する。

【武器使用権限を明記した】

また、外務大臣・外務省が、この海警法が国際法違反である旨を明記しない事についても厳しい意見が出た。

2月1日の産経新聞一面に、櫻井よしこ氏が「中国擁護の轍を踏むな」と題して論文を掲載した。

「1月28日の日米首脳電話会談に関する日本政府の発表は異常だった。米政府が『両首脳は中国、北朝鮮を含む地域安全保障問題を議論した』と発表したのに対し、官邸も外務省も『中国』という言葉を一切発しなかった。」
「今回の会談の主題が外交安保である限り中国を論じずには成り立たない。なぜ日本政府だけがその部分を伏せるのか。日本は中国に米国のような厳しい姿勢はとらないと言い訳する意図なのか。」
4日、5日の国防部会・安保調査会合同部会、外交部会・外交調査会合同部会での自民党議員の意見は、櫻井よしこさんの意見と同じよう主張が相次いだ。