野田新内閣の国防意識

昨日(9日)新内閣の玄葉光一郎外相が、ロシアのラブロフ外相と電話会談を行い、「露軍機の動きに対し日本国民の間で疑念が生じている。刺激的な行動は自制してほしい」と要請したが、ラブロフ外相は「国際法上、問題ない」と答えたと各紙が報道している。
玄葉外相は全く相手にされていない。
数日前から日本の領空線でロシア空軍が演習をやっているようだ。
8日は戦略爆撃機ツポレフ95が19時間にわたって日本周辺を飛行し、航空自衛隊、韓国空軍がスクランブルをかけたことをロシア政府が認めたと報道されている。
20年以上前の自民党政権時代、航空自衛隊のレーダーサイトに勤務していた人が「ソ連軍機は自衛隊のレーダーサイトの真上を飛んでいます」と言ったということを複数人から聞いたことがあった。
もちろん領空侵犯であるが、当時は「領空侵犯はない」としか報道されなかった。
ただ、当時は、国防は米軍におまかせ、日本人の大多数は何の関心もない時代であった。
今回もどれだけの日本人が危機感を持っているか疑問に思う。
この平和ボケした日本国民は、外国機に爆撃されて多数の国民が犠牲にならない限り気がつかないのであろうか。
アメリカ国務省の元日本部長ケビン・メア氏が書いた「決断できない日本」に次の文がある、ロシアの場合にも当てはまるので掲載する。(137ページ)
「中国という脅威に向き合うためには、日米安保体制が磐石の強さを持っていることを常に見せていなければなりません。それは言葉だけではなく、実際の能力もきちんと準備しておく必要があります。中国の動きをきちんととがめる応手を持っていることを常に示しておかないといけません。
 何らかの策動を企図している中国が、アメリカが反応しないと思い込む時が最も危険です。日米安保同盟に亀裂が生じていると思われるのも危ない。ですから、普天間基地移設問題でいつまでも埒が明かない状態になっていることは本当によくないのです。」
自民党政権時代は国民だけでなく自民党国会議員の多くも国防問題に何の興味も示さなかった。
国防に関しては内閣の一部の大臣が米国と話せば、というより、お願いすれば済んでいた。
民主党政権になった今は違う、日米の同盟関係はかなり危うい。
ロシアも中国も、日本に対してこうした軍事的挑発行動を繰り返し行いながら日米軍事同盟の強さを測っている。