ブログ体制翼賛会の再来か?

今日の高知新聞一面に「7割が原発0%支持」との大見出しが載っている。
政府が将来のエネルギー・環境政策について国民から直接意見を聞く意見聴取会を全国11都市で実施した結果、2030年の原発比率を0%にする意見が全体の68%に達したという事である。
私はこの結果については、できることならそうなるようになれば良いがと思うが、原油や天然ガスの輸入量増加による貿易赤字の大幅増加にどう対処するかが大きな課題である。
問題はマスコミを通じて伝わってくる会の雰囲気だ、原発再稼働賛成を言える雰囲気ではなさそうである。
首相官邸周辺の再稼働反対のデモもマスコミに大きく取り上げられる。
高知市でも再稼働反対の署名活動をしているそうだが、再稼働賛成と言うと署名活動をしている人に驚かれたという声を複数聞いた。
米軍海兵隊オスプレイ配備反対活動も同じ雰囲気になっている。
今朝の高知新聞には、渡米中の森本防衛相に米国のバネッタ国防長官は握手もしないで立ち去ったという記事が載っている。
また、同記事は「オスプレイ配備は、米軍普天間飛行場で現在運用している旧式機の『装備変更』に過ぎない。『なぜ日本はそんなに騒ぐのか』というのが米側の本音だ。最近の協議でも、米側が『どうすれば日本は納得するのか』と詰め寄る場面もあった。」と報じている。
オスプレイ配備については前にこの欄に書いたから繰り返さないが、大東亜戦争の敗戦後新規に軍用機を開発した経験を持たない日本人は、軍用機開発にともなうテストパイロットの犠牲が正しく理解されていない。
私はこれら一連の動きを見ていて、昭和15年から16年にかけての国内の雰囲気が丁度このようなものであったろうと推察している。
戦後生まれの私が調べると、対英米戦争に明確に反対の意思を持っていた政府と軍の高官が複数いたことがわかる。しかし、その人達が重要会議で戦争反対を声高に言える雰囲気ではなかったことも判明している。
私も県議生活を通じて何度かこれに似た事態を経験したことがある。
一度は自民党高知県連で知事候補の選定がもめて、党の総務会を開くことが決まった時であった。
あるベテラン県議が、総務会を開くと冷静な議論ができなくなる恐れがあると心配していた。それを聞いた時、私は理由がわからずどうしてですかと聞いた。すると、以前こういうことがあったと、冷静な議論ができず声のデカイ方に押し切られたことがあったとの説明を受けた。
その総務会は案の定、県議団の決定を反対に押し切り、声のデカイ方に傾き、結果知事選は惨敗した。
もう一度は、全国都道府県議員研修会での出来事である。
100人ほどの分科会に分かれて研修をする場で、当時支持率80%を超えていた小泉総理の政策に対して、私は「小泉内閣地方交付税などを大幅に削減した政策のために高知県は大変な悪影響が出ている、こんな政策を続けるべきではない」発言した。
途端に大多数の出席議員から「小泉批判をするとはけしからん」との大ブーイングが起きた。
私は「だまれ、聞け!」と叫んだが、その声も押しつぶされるほどの大ブーイングであった。
この時の出席議員は自民党の県議が多数であったろうと思う。
結果は1〜2年後に多くの県が小泉改革に批判の声を上げることになった。
日本民族の特性であろうか、一定の雰囲気作りが進むと冷静な判断なしに、その場の風で熱に浮かれたように一定の方向に突き進み、反対の声を押しつぶす。
数日前に藤井聡京都大学大学院教授の公共工事拡大論を紹介したが、今、藤井教授の著作4冊目の「救国のレジリエンス・列島強靭化でGDP900兆円の日本が生まれる」を読んでいる。
その中に、日本はこれまで十数年間、「構造改革規制緩和」の旗印のもと、デフレ下においてもひたすらデフレを促進するこの政策をとり続けて現状に至っている。これに反対する政策を主張する者はマスコミからの攻撃の標的にされ続けてきた。
しかし、今すこしずつではあるが、それに反対する比較的若い世代が出てきた。
出版物でいうならという事で次の6冊が紹介されている。
「TPPが日本を壊す」(廣宮孝信氏、1975年生まれ)
「日本は世界5位の農業大国」(浅川芳裕氏、1974年生まれ)
「国力論」(中野剛志氏、1971年生まれ)
「デフレ時代の富国論」(三橋貴明氏、1969年生まれ)
「『日本ダメ論』のウソ」(上念司氏、1969年生まれ)
「日本は世界4位の海洋大国」(山田吉彦氏、1962年生まれ)
私はこのうち5冊は読んで同感した覚えがある。
藤井教授も、自民党が教授の列島強靭化論を取り上げて党内に国土強靭化総合調査会を立ち上げて活動し、国土強靭化基本法を今国会に提出したことを高く評価している。
自民党の国土強靭化総合調査会ではこれまでに38回の研究会を開催して様々な分野の講師の意見を聞いた。
調査会の出席議員の中には総理経験者が何人かいる、この調査会が今後の日本再建政策の中心になることを期待している。