「中国人民解放軍知られたくない真実」(潮書房光人社)を読んで


衝撃的な本である、著者紹介欄には著者の鳴霞(めいか)女史は1957年生まれ、元中国共産党のエリートで、1982年に来日して日本の学校を卒業し、2002年からは「月刊中国」主幹として日本のマスコミが扱うことのない中国内部情報を精力的に発信し注目される。と書いてある。
この本の前には「中国人民解放軍の正体」(日新報道)という本を出版して注目を浴びたそうだ。
あまりに衝撃的な内容が多く、日本の新聞で報道されているものもあるが、その抜粋をいくつか紹介する。◎印「」以下はこの本の抜粋である。
はじめに中国共産党の人民虐殺の歴史である。
ユン・チアン著「マオ」の中で毛沢東がいかに多くの中国人民を虐殺、餓死させたかが書かれており、私は気分が悪くなって読み飛ばしたが、この本でも1967年の「雄県県城の虐殺事件」、同年の軍内部の権力闘争「青海西寧223事件」、黒竜江省伊春市の内戦、温州の武装闘争、また、「422惨劇」と呼ばれる広西省南寧市で起きた軍による人民の大虐殺事件をはじめいくつもの軍による人民の虐殺事件が紹介されており、解放軍は平気で自国の人民を虐殺すると書かれている。
最後に「元人民解放軍大校の辛子陵は、『暴君毛沢東は、中国人民8000万人を虐殺した』と発表している。」とも書かれている。
続いて中国の日本侵略計画については
◎「中国人を日本(特に沖縄と北海道)に計画的に送り込んでいる。」
◎「日本は中国に対して弱腰だということから、ここ数年、尖閣諸島やガス田で挑発し、東海艦隊には対日臨戦態勢を取らせている。ところが、解放軍海軍の実力は日本の海上自衛隊よりも低い。つまり、海軍による対日作戦は簡単ではない。そこで、経済移民を利用した平和日本の占領作戦が進められている。
東京にいる筆者の友人の話によれば、中共の記者と一緒に酒を飲んだ時、『沖縄のことよりも、あと数年で北海道が中国の領土になる。少なくとも70〜100万人の移民計画がある。沖縄には米軍がいるので難しいが、北海道なら開発政策で簡単だ』と笑っていたそうである。・・・・アメリカでは中国人や中国企業による投資は全面禁止とされている。日本政府も日本人も早く目を覚まして、中共や中国人の対日投資を規制する法律を早急に作らねばならない。」
◎「中国は、中央宣伝部や総参謀2部などの工作によって、日本の世論は「親中」「反米」に傾いており、特に沖縄の世論は『米軍基地撤去、日本からの独立』を主張するまでに骨抜きにしてあると自信を持っている」
次に、中国へ進出する日本企業に対する警告である。
◎(日本の中小企業を中国へ呼び込め)「東日本大震災の後、日本貿易振興機構JETRO)が中国側と申し合わせて、日本の中小企業や自動車部品製造業を中国に多数進出させている。すでに数十社が中国企業との合弁契約をまとめているという。・・・・実は現在の中国では、人件費や光熱費の高騰で企業経営が成り立たなくなっており、2011年6月までに中小企業7万社が倒産している。しかし、JETROや新中派経済人の工作により自分たちの利益にならない真実の情報は報道規制されているのだ。
日本の中小企業が中国に進出して金儲けが出来るのなら、中国の中小企業が数万社も倒産しているはずがないだろう。中共とすれば、日本の基幹産業の基礎を支えている中小企業を呼び込み、資金と技術を吸い上げたあとで倒産させ、日本経済を弱体化させるのが目的なのである。」
◎「中国の発展には日本や米国の援助が大きく貢献しているが、なかでも日本の(新日鉄の)援助で設立された上海宝鋼製鉄所のおかげで現在建造中の空母の鋼板を作ることができた。」

また、にわかには信じ難い記述であるが、「中ソ国境紛争が続いていた1980年代、ソ連機械化部隊が新疆ウイグル地区に進出した際、当時の軍事委員会主席・訒小平は水爆実験と称して、侵入してきたソ連機械化部隊3個師団を水爆で攻撃して全滅させ、新華社は『我が国は数日前、世界平和のために我が国領土の新疆ウイグルソ連の国境無人地帯において、巨大な水爆実験を行った。我が国は核兵器を所有していない国に対しては、核攻撃は行わない』と発表した。・・・・これに対してソ連側は自分たちが戦わずして敗れたことを国際的に認めねばならなくなるので公表しなかった。」書かれている。
軍の行動でもう一つ、
◎「在日アメリカ海軍の横須賀基地に停泊する空母を攻撃するシミュレーションのために中国の潜水艦は何度も日本領海内に潜入している。在日アメリカ軍の沖縄基地が県外に移転するようなことがあれば、人民解放軍はただちに沖縄を占領するだろう。」
とも書かれている
人民解放軍共産党のコントロールが利かなくなっているのではないかと云われているが、以下は軍幹部の放言と行動である。
◎「2005年7月に、中国国防大学防務学院院長だった朱成虎(共産党主席だった朱徳の孫)は香港のマスコミの取材に答えて中国の核兵器使用について驚きの回答をしている。
『もしアメリカが台湾海峡に干渉するなら、我々にはそれなりの覚悟がある。中国が西安の東の都市をすべてアメリカの攻撃で破壊されたとしても、アメリカもまた西海岸の120以上の都市が我々の攻撃で破壊されることを覚悟しなければならない』と公式発言し、中国が核戦争を準備していることを国際的に発表したのである。」
◎「2011年9月8日に中共政府機関の代表者が召集され『対日工作会議』が開催され、対日強硬派の筆頭とされる馬暁天将軍は『釣魚島と春暁(ガス田、日本名・白樺)を軍事力で奪還すべきだ』と檄を飛ばした。これを受けて9月中旬、春暁ガス田の洋上施設に掘削用ドリルが運び込まれ、試掘が始まった。
これは中央の決定事項ではなく、梁光烈と馬暁天の『独断命令』によって行われたものである。これは中南海の権力闘争の危険な兆候である。軍事委員会主席であっても黙認せざるを得ないものだった。
日本はいまだに『対中ODA』に代わるものとして『経済・技術援助』を続けているが、中共対日強硬派がこれほど強い勢力だとは気付いていないだろう。」
◎「ガス田は解放軍が始めた事業参謀本部梁光烈や馬暁天ら戦略担当が実質支配している。」
◎「元中共主席・劉少奇の息子で総後勤部政治委員の劉源大将(薄熙来派)、元軍事委員会主席・張震の息子でミサイル部隊政治委員の張海陽大将(薄熙来派)、死去した中共特務のトップ・羅青長の息子である羅援少将(日本領土の尖閣諸島で軍事演習を行った張本人)、元中共主席・朱徳の息子である朱成虎たちは、『核兵器でアメリカと戦争し、国民半分の7億人を処分しろ』と語っている。
しかし、解放軍の実力については、
◎「軍上層部と軍事科学院は、2011年12月末、中国の陸・海・空軍の軍事装備を総括・審査し、またアメリカ・NATO軍との比較を行って、次のように評価している。
『中国は全体的な軍事装備では10年から15年の遅れをとっている。そのうち空軍は8年から10年、海軍は15年、戦略ミサイル部隊は5年から7年立ち遅れている。だが、我が国の軍事科学技術の全般的な素質の向上・発展は比較的速やかに行われており、条件が整えば2025年以前にアメリカ・NATO軍と同一のレベルに到達し、いくつかの分野では彼らをリードすることができるようになる』
しかし、少なからぬ軍当局の人間がこの見方には懐疑的で、アメリカ・NATO軍と比べると、解放軍の全体的な軍事装備は20年から30年立ち遅れていると考えられている。」
「解放軍側は、現在の日中の軍事力・戦闘力を互角とみている。」
最後に中国の今後について、
◎「各地で農民・労働者・退役軍人たちが暴動を起こすことで、中国の治安は崩壊する。中国社会科学院によれば、2006年に6万件だった暴動事件は翌年には8万件に増加し、今では年間1000万件である。
公務員の不正、環境汚染、給料未払い、土地の押収など理由はさまざまだが、暴動は地方政府の事務所焼き討ちや焼身自殺に発展し、どんどん過激になりつつある。2011年6月10日の広州暴動(露天商の妊婦に治安当局者が暴力を振るったのがきっかけで、1万人規模の暴動に発展した)だけではなく、全国で同じことが起こっているのである。これは中国社会が崩壊する兆しであり、民衆の怒りは沸点を超えた。
中共は民衆の怒りの矛先を、日本・台湾・ベトナムに転嫁しようとしている。2010年10月8日の『環境時報』(人民日報系)は、『中国は沖縄独立運動を支持すべきだ』という論文記事を掲載している。
この論文を書いたのは、商務部研究院の日本問題専門家の唐淳風だが『沖縄の米軍基地問題をめぐって日本政府と沖縄住民の対立が深刻化しており、沖縄独立の機運が高まっている』と書いている。」
一人でも多くの方がこの本を読んで、日本人の危機意識の向上を願う。