平成25年 謹賀新年

安倍内閣への期待で円安となり、株式市場も好調で正月を迎えた。大きな事故や事件もなく全国的に平穏な新年を迎えたようだ。
私は、衆議院選挙も年内に終わり、その影響で県議会閉会日は27日の午後8時近くまでかかったが、久しぶりにのんびりと新年を迎えることができた。
年末から地震学者で東大地震研究所准教授の都司嘉宣(つじ・よしのぶ)氏の書いた「歴史地震の話(語り継がれた南海地震)」(高知新聞社)と門田隆将著「死の淵を見た男(吉田昌郎福島第一原発の500日)」を読み終わった。
これに加えて昨年10月頃から吉川英治著「新平家物語」(文庫版全16巻)を読んでおり、これは15巻目に入り、源氏の天下になった後、義経が兄・頼朝から討伐命令を下され逃げ始めたところにさしかかっており、いずれの本も読んで楽しい本ではないが行きががりじょう読んだ。
「歴史地震の話」は平成15年から月に一回のペースで高知新聞に連載された特集記事を集めた本であり、昨年3月末に出版されている。
私は本屋で見るまで知らなかった。高知県で起きた地震の概要を知ることと、今後の対策を講じるうえで参考になる本である。
「死の淵を見た男」は雑誌や新聞での書評も評判がよく、本屋でも平積みでよく売れているようだ。
一挙に読み終えたが福島第一原発吉田昌郎所長、1、2号機を操作・制御する中央制御室の当直長であった伊沢郁夫氏をはじめ現場の東電職員、東京消防庁消防職員、自衛隊員など事故後、全電源を喪失して崩壊していく福島第一原子炉の原子炉を命がけで冷却していった人々の行動を描いたドキュメントである。
一昨年3月11日の原発事故の後、テレビ映像を見ながら、あの原発の現場で東電職員などがどんな行動をしているか全くわからなかったが、やっと分かった。
感動の書である。
この本の最後のほうに吉田所長のインタビューが紹介されている。
「格納容器が爆発すると、放射能が四散し、放射能レベルが近づけないものになってしまうんです。ほかの原子炉の冷却も、当然、継続できなくなります。つまり、人間がもうアプローチできなくなる。福島第二原発にも近づけなくなりますから、全部でどれだけの炉心が溶けるかという最大を考えれば、第一と第二で計十基の原子炉がやられますから、単純に考えても、“チェルノブイリ×10”という数字が出ます。」
チェルノブイリ×10”、これがあの事故で起こりうる最悪の事態であった。
私は、その後の現地の放射能の汚染状況、それが昭和20年の広島、長崎の被爆地の放射能汚染状況とどう違うのかを知りたいが、知り得ていない。
また、著者の門田氏は今回の自然災害に加えて「テロ対策」をしっかりとやるべきだと警鐘を鳴らす。
2001年の9.11テロ以後、米国では原発の「全電源喪失」、「冷却不能」時の対応策の再考とテロ対策の強化をはかっている。
私は一昨年の高知県議会議長当時、日本でも一時は原発のテロ対策強化が図られたが、すぐに元の木阿弥になった現状を知り愕然とした。
そして、四国議長会として「テロ対策」の強化を国に強く申し入れること提案して、申し入れは実現した。しかし、テロ対策が強化されたかどうかの検証はすることができていない。
自民党が政権与党に返り咲いた今、今後の原発の安全対策強化、放射能汚染の現状と対策の情報を収集すると同時に高知県から要望を国発信していく所存です。