日本のエネルギー政策と国家の独立

イラクの政情不安で国内のガソリン価格がリッター当たり170円に上昇しているが、これは政府の対応が悪い。危機管理がなっていない。
日本の原油輸入先を2012年の統計で見ると次の通りである。
サウジアラビア     33.0%
カタール                10.7%
クウェート              7.6%
⑤イラン                     5.2%
⑥その他                   21.7%
99.6%を輸入に頼っている。
また、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部政策課作成の石油統計速報を見ると、「平成26年5月の原油輸入量は1,611万kl、前年同月比96.7%と3ヶ月連続して前年を下回った。輸入量の多い順に見ると、
(1)サウジアラビア(540万kl、33.5%)
(2)アラブ首長国連邦(370万kl、23.0%)
(3)カタール(173万kl、10.7%)
(4)ロシア(125万kl、7.8%)
(5)クウェート(100万kl、6.2%)となっている。
 なお、今月の中東依存度は83.0%で前年同月と同様となった。」
となっている。今年5月の速報値にロシアが出ているのが目新しいが、中東依存が甚だしく、ホルムズ海峡が封鎖されれば国の存立が危うくなる。これに対して、米国はどうか、米国は20年ほど前から、中東からの原油輸入量を減らし、カナダ、メキシコを始め中南米諸国、アフリカのナイジェリア、アンゴラなどからの輸入に切り替え、危険度を分散している。
しかも、最近の輸入依存率は約40%、そのうち24%が中東であるが、サウジアラビアが19%、イラクからは5%にすぎないというデーターがある。今後はシェールガス・オイルの増産で石油輸出国になるという。
日本もなぜ、原油輸入国を中東から分散しないのか、政治の怠慢なのか、安倍内閣は早急に対応策を考えるべきであると思うのだが。
昨夜(16日)22時からBS放送の深層ニュースという番組を見たら、中谷元代議士と民主党岡田克也代議士が出て、集団的自衛権について論争していた。
ペルシャ湾での機雷掃海に関する議論の中で、岡田克也代議士はホルムズ海峡が封鎖されても石油の国家備蓄が6ヶ月あるので、直ちに海上自衛隊が機雷掃海に加わるべきではない、6ヶ月の間に原油輸入国を探せばよいとの発言を聞いて唖然とした。
ホルムズ海峡が封鎖された時点で国内の石油価格は高騰し、国内経済は大混乱に陥るであろうことが分からないのだろうか。
封鎖以前にそんな事態に至らないような外交努力をすることは当たり前だが、もしも、機雷を敷設されたら一刻も早く機雷掃海をしなければ、我が国の経済は崖っぷちに立たされる。
これこそ、今回の集団的自衛権容認の新三原則にいう「我が国の存立が脅かされる」事態ではないのか。
中谷代議士は、集団的自衛権の行使容認に関して、我が国を取り巻く国際情勢が大きく変化した中で、我が国の独立を守るために、今政治家が為すべき事はなんなのかという視点で常に発言されていた。憲法も含めて法律は国家の存立を前提として成り立つ。
これに対して、岡田克也代議士は現憲法の解釈変更に当たる可能性があるので、歯止めをきっちりかけるべきだとの、憲法解釈に終始し、国家の存立という前提に関する思考が欠落している。
このブログで何度か書いたが、現憲法制定時、第9条第2項には非武装が規定されており、日本は国連に守ってもらう事を想定していた。それが東西冷戦の勃発で国連が機能しなくなった。本来ならこの時点で、日本の独立を守るためには日米同盟と同時に、憲法を改正して日本の再武装が必要であった。
それが諸般の事情でできずに現在に至っており、その延長線上に集団的自衛権の問題が提起されている。集団的自衛権に関する解釈変更も相当苦しい判断だがそろそろ限界に近づいた。
自民党ではこの状態を打破するために、憲法改正案を国民の皆様に提示して賛同を求めている。