安全保障関連法案を衆院本会議で議論

 26日の衆議院本会議で安全保障関連法案が議論され、本日27日から特別委員会での審議が行われる。
今朝の高知新聞は反対派の国会周辺の抗議行動を大きく取り上げ「戦争法案に反対」という見出しが紙面で踊っている。
マスコミ報道を見ると、世界中でこれまでも集団的自衛権を行使して何度も戦争が行われたかのような印象を受ける。
過去に行われた集団的自衛権の行使とされるのは次の2例である。
一つはベトナム戦争である。アメリカが集団的自衛権の行使として南ベトナム北ベトナムから防衛するものだということで使った事例、そして2つ目が、ワルシャワ条約機構軍がチェコスロバキアに軍事介入したチェコ事件である。
これは、チェコスロバキア民主化運動に対して、チェコスロバキアを防衛するなどと言って集団的自衛権を援用してソビエト軍の戦車がチェコスロバキアを制圧した。
現在では誤りであったと言われているが、この2例である。昨年、自民党の勉強会で当時の石破幹事長が詳しく解説した。
私は国会の審議を考えるにあたって、今何故集団的自衛権の行使を認める必要があるかの背景を考える必要があると思う。
2001年9月11日のイスラム原理主義集団アルカイダのアメリカに対するテロ攻撃に対し、アメリカはテロリスト集団の根拠地を壊滅させるためにアフガニスタンイラクに侵攻した。その際、アメリカは多国籍軍を組織して侵攻した。
アメリカでも一国で自国の安全を守る事は難しい。
一昨年9月オバマ大統領は「アメリカは世界の警察官ではない」と発言した。その半年後、ロシアはウクライナに軍事侵攻してクリミアを占領した。また、中国は南シナ海で、近隣国から不法な領土拡張と批判される行動を活発化した。そして、尖閣諸島でも日本に対する挑発行動を続けている。
この中国の南シナ海での活動に対しては、最近アメリカが強い警告を発しており、緊張が高まっている。
また、ロシア、中国の両空軍の日本領空に対する接近行動が急激に増えており、防衛省の発表によると「航空自衛隊スクランブルは、平成26年度は943回と大幅に増えた。(平成24年は554回、平成25年度は774回)
これは冷戦が続いていた昭和59年度に記録した過去最多(944回)に匹敵する回数で、中国軍機に対するスクランブルは国別の統計を取り始めた平成13年度以降の過去最多を記録した。」とのことである。
米国の力が衰え、その分、中国が大きくなり、しかも軍部への統制が効かない国になりつつある。米国だけでは世界の秩序を管理できない。
同盟国がこれまでより米国に協力する体制を作る必要がある。
ヨーロッパにおいては米国とNATOの間には集団的自衛権があるが、アジアではそれがなかった。
集団的自衛権の行使を認める事はその欠けていた穴を埋める作業だ。
集団的自衛権の行使を認めなければ日本の安全が守れなくなったという事だ。