1票の格差、選挙制度のあり方

今朝の産経新聞の主張欄に「憲法で改革逃げようとは  参院格差是正」と題する記事が出ているので反論する。
自民党参院選挙区は都道府県単位とする規定を、党の憲法改正草案に加えようとしていることに対して、「批判の根拠をなくしてしまえ、といわんばかりの手法にあきれる。」と批判している。
高知県議会はこれまでも「0増5減」の衆議院選挙制度改革の際に、人口だけで国会議員を選ぶのはおかしい、他の要素も考えるべきだとの意見書を国に上げてきた。徳島県や他県からも同様な意見書が上がった。
今回の参議院議員選挙改革にあたっても昨年6月県議会で、米国上院の制度を参考にして都道府県単位で最低一人の代表を出すべきだとの意見書も上げた。
産経新聞の記者はこれらの事を全く知らないのであろう。
これこそが問題ではないのか。
大都市はほっておいても役人がインフラ整備をはじめ予算投入をするので政治家の出る幕は少ない。
人口の少ない地方は政治家が声を上げなければほっておかれるので、政治家の必要性が高い。
もっとも、竹中平蔵元大臣のように、高知県選出の国会議員高知県の現状を説明したら、「なんでそんな不便なところに住んでるんですか、都会に出てくればいいじゃないですか」と平然と言った方もいる。
しかし、山は荒らせ、中山間地域に人が住む必要はない、と言う意見を公言する国会議員は、彼以外にはあったことがない。
私が最初に都会選出議員との意見の差に気がついたのは、高速道路の整備促進のために国会議員へ陳情活動をしていた時だ。
高速道路網がとっくに整備されている地域に住んでいる政治家は、国会議員も地方議員も道路整備については関心がなかった。
我々の陳情は厚い壁に阻まれていた。その壁が急速に崩れたのは4年前の東日本大震災からである。
道路整備以外にも、中山間地域の問題、森林整備の問題、高齢者対策の問題など、都市圏に住む人達にとっても知らないで済む案件ではないはずだ。
しかし、現状の人口比のみで国会議員を選出する政治制度を続けていくと、これらの意見を発信する政治家の数が益々足りなくなる。
以前、知り合いの衆議院議員から、国会議員の選出を法の下の平等のみで考える裁判官は、格差 2倍以上はすべて憲法違反だと話したということを聞いた。
この裁判官の考え方でいくと、人口移動により衆議院選挙の度に頻繁に選挙無効の判決が出る事になるであろう。
憲法47条の立法趣旨はそうではないと私は考えるが、もっと明確にする為に、高知県自民党では都道府県単位で一人選出の条項を入れる事を求めていた。
【参考】憲法第47条
選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。