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財務官僚が日本を潰すか?

昨年4月に消費税を5%から8%に上げて、せっかく安倍総理の経済政策で景気回復に向かっていた日本経済を後退させ、その痛手からまだ回復していないこの時期に、財務官僚はもう消費税を10%に引き上げる際に軽減税率を導入して、値上げ反対勢力の批判をかわす動きを見せている。
しかも昨年12月の衆議院解散総選挙は、安倍総理の財務官僚に対する消費税再値上げの動きに対する怒りの反撃だといわれ、安倍総理自民党の大勝という結果を出し財務官僚の妄動に勝利したにもかかわらずこの動きだ。
私は、麻生政権の財政政策の効果に着目して、公共事業費の増加は景気回復に確実な効果があると直感していた。
麻生総理の経済政策の裏には野村総合研究所の主席研究員リチャード・クー氏がいた。
それ以前に私はリチャード・クー氏の著書を何冊か読んで、地方政治に携わる者の一人として氏の説く経済政策に賛同していた。
民主党政権末期に県庁職員の幹部に、景気回復のためには公共投資拡大と日銀の金融緩和政策でお札を増刷すべきだという話をしていた時に、ある幹部職員から「中西さんと同じ事を言っている人達がいます」と言って渡されたのが、浜田宏一・エール大学名誉教授、若田部昌澄早大教授、勝間和代共著の「伝説の教授に学べ!本当の経済学がわかる本」の一部のコピーであった。読むなり、すぐに原本が欲しくなり、購入して繰り返し読んだ。
それで浜田教授の別の本、並びに教授と同じ考えを持っている人達の本を探して読んだ。
そんな時に安倍政権ができた。
安倍総裁は総理就任前から米国在住の浜田教授に経済政策を相談しているとの報道が流れていたので期待した。そして出てきたのが「3本の矢」と呼ばれる現在の政策であった。
また、日銀総裁がデフレを確信的に容認していた白川総裁からリフレ派の黒田総裁に代わり、また副総裁には同じ考え方の岩田規久男・元学習院大学教授が就任し、金融緩和政策で流通するお金の量を増やし、デフレマインドを払拭、この効果で円高から円安に転じ、一挙に日本の景気が高揚した。
安倍内閣の経済政策を応援した人達には、元財務官僚であり現在は大学教授の高橋洋一教授、マスコミ界では日経新聞から産経新聞に移った田村秀男氏などがおり、これらの方達が書いた本は片っ端から読んだ。
そして、彼らの言う通り日本はデフレから脱却するすんでのところまで来ていた。彼らは揃って昨年の消費税の引き上げに反対した。
しかし、安倍総理は財務官僚に押し切られて消費税値上げに踏み切って失敗した。
それでも、直近の総務省のデーターでは平成27年(2015年) 7月の失業率は3.3%、鳩山政権時の5.6%から大幅に改善され、就業者数 6,381万人、前年同月比24万人の増、8ヶ月連続の増だ。
また、雇用者数 5,632万人、前年同月比32万人の増、正規の職員・従業員数は3,336万人。前年同月に比べ29万人の増加。非正規の職員・従業員数は1,956万人。前年同月に比べ17万人の増加である。
また、有効求人倍率は安倍内閣になって1倍を超え、今年7月の全国の平均は1.21倍である。
着実に景気回復は進んでいる。
最近になって高橋洋一教授の「アベノミクスの逆襲」を読み、改めて納得、この本に出てくる「日本経済のウソ」(高橋洋一著、ちくま新書、2010年8月発行)、「日本経済再生 まずデフレをとめよ」(岩田規久男編著、日本経済新聞出版社、2013年3月発行)を取り寄せて読んでいるところだ。
私は消費税の再値上げには反対である。景気回復による増税財政再建に取り組むべきであると思う。
また、軽減税率導入には賛成だが、今検討されているやり方には反対だ。
昭和20年8月15日に大日本帝国は壊滅した。私はその責任は官僚の思考が硬直したことが最大の原因であると考えている。
亡くなった小室直樹教授は「日本の敗因  歴史は勝つために学ぶ」(講談社、2000年1月発行)の中で、「大東亜戦争の敗因は腐朽官僚制にあり」と言っている。
「あの戦争(大東亜戦争)は、無謀な戦争だったのか、それとも無謀な戦争ではなかったのか。答えを一言でいうと、やはり、あの戦争は無謀きわまりない戦争だった。
しかし、無謀とは、小さな日本が巨大なアメリカに立ち向かったということではない。腐朽官僚制(ロトン・ビューロクラシイ)に支配されたまま、戦争という生死の冒険に突入したこと。それが無謀だったのである。
明治に始まった日本の官僚制は、時とともに制度疲労が進み、ついに腐朽して、機能しなくなった。軍事官僚制も例外ではない。いや、軍事官僚制こそが、腐朽して動きがとれなくなった、典型的なロトン・ビューロクラシーであった。
そんな軍部のままに戦争に突入したのは、確かに無謀だった。その意味で、あの戦争は無謀だったのである。」
例として、真珠湾攻撃において米軍の燃料タンク群への第二次攻撃を南雲司令官が躊躇した失敗、この時に燃料タンク群を攻撃されていれば、米海軍の反撃は半年間遅れたであろうと米海軍の高官が述懐している。
また、南雲機動部隊司令官、草鹿参謀長のコンビは昭和17年6月のミッドウェー攻撃に失敗し空母4隻を失ったにもかかわらず、この二人を処分しないで続投させた失敗、
また真珠湾攻撃前に、在米日本大使館員が本国からの暗号電報解読に手間取り、米国をして「真珠湾のだまし討ち」と米国世論を一挙に戦争へと駆り立てた外務官僚の怠慢に対して処分もせず、野村吉三郎大使はじめ大使館の幹部職員はその後出世した話、さらに、昭和19年3月31日、連合艦隊司令部の古賀長官、福留繁参謀長が2機のニ式大艇パラオからフィリピンのダバオに移動中に飛行艇が墜落し、古賀長官は行方不明、福留参謀長は米軍の捕虜となり、しかも機密書類「Z作戦計画」の処分をしないでこれが敵の手に渡ったにもかかわらず予定通り作戦を実行して大失敗した。
当時は将校であっても捕虜になっただけで、生きて帰って来ても一番危険な任務につかされて戦死させられた。
然るに「福留海軍中将は、第二航空艦隊司令官に栄転した。これほどまでのベラボーむちゃくちゃが、なぜ行われたか。福留中将は、海軍のトップエリート(海軍大学校首席卒業)であったからである。トップエリートには特別な規範が適用される。
軍事官僚にも外交官僚にも経済官僚にも、これが共通の日本官僚制の共通ルールである。」と喝破する。
財務省、日銀がデフレを容認して日本経済が低迷した責任、今ではアベノミクスの成功が証明されつつあるのに白川元日銀総裁も財務官僚も誰も責任を取ろうとしない。
私は、一昨年の参議院選挙において麻生太郎財務大臣高知県での応援演説で「我々はデフレ対策を間違っていたことを国民の皆様に謝らにゃいかん」と述べていた事をこのブログに書いた。
政策の失敗によりデフレを継続させた責任を詫びた政治家の発言を初めて聞いた、私は麻生先生は素晴らしい政治家だと尊敬している。
小室直樹氏のこの本は、自分の本棚でふと目に止まり最近何度目かの再読をした。素晴らしい分析だと改めて思っている。
次の記述が全てだと思う。
「腐朽した官僚がまず見失うのは、目的である。・・・軍部でいえば、国が勝つためにやっている戦争が、自分たちの組織のための戦争になってしまう。
大蔵省の金融政策は、国と国民のために行うことであるという基本的な事柄を忘れ、大蔵省という組織を、その組織の威厳を、権力を維持するためという目的に、いつの間にかすり替わってしまう。
外務省もしかり。いうことが至上命令となる。国民などほとんど不在なのである。『省益を守れ」ということになる。
外に対する自分たちの役割を忘れ、関心は内側に向く、力を注ぐのも内側に対してである。それが腐朽した官僚組織に共通の特徴だ。」
元財務官僚の書いた本も何冊か読んだ、小室氏のこの指摘通りの財務省の保身としかいえない記述が目に付いた。