TPP交渉大筋合意について

やっとTPP交渉が大筋で合意した。
今後は各国の議会で批准に向けての論議が行われ、2018年3月の発効を目指すことになった。
しかし、米国では早速ヒラリー・クリントン氏が雇用、安全保障などへの基準を満たさないと批判したとの報道があった。
11日の産経新聞の日曜経済講座に、田村秀男編集委員の「TPP 国益忘れた対米協調を憂う  空白30年の愚を繰り返すな」との記事が載っている。
この記事は「日米主導で環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の大筋合意が成立したが、気がかりな点がある。1985年9月の『プラザ合意』以来、日本は『対米協調』に引きずられ、自国の利益を後回しにしてきた。TPPでその愚を繰り返さないだろうか。」という懸念から始まる。
私もこの懸念に同調する。
但し、私は「対米協調」の背景には日米安保条約があると思っているが、田村氏がどう考えているかは知らない。
自国の防衛を米国に委ねている日本は、米国に無理を言われても断ることが出来ないのが現状であり、この点を改善しなければいつまでたっても真の独立国家たりえない。
TPP可決については消費の面だけ考えると、安い海外の肉や農産品が入ってくるのは歓迎されるだろう。
この合意について、森山新農林水産大臣は、「米、砂糖などの重要5品目の国会決議は守れた」と発言したとの報道が流れたが詳細はどうなのか、まだ全容が明らかにされていない。
私は全国的には農協関係者から反対の声が強いとの話を聞いている。
農産品についていえば国土の広さ、国情によって各国で農業事情が異なる。これを同じ土俵にあげて自由貿易を拡大すること自体が間違いではないのか。
但し、農業関係者でも賛否両論ある。
例えば牛肉は日本の黒毛和牛の肉が海外でも高く評価されている。黒毛和牛は米豪でも生産されているがTPP可決によってどうなるのか、マイナスばかりではないのではないか。
また、米についても日本で生産される米は高い評価があるので、これが海外で大量に売れるようになるとの見方がある。
その一方で農協職員は反対が多い、農家全体を考えての事であろう。
また、畜産農家も反対が多いようだ、東北地方の米生産を主体にしている農業者は懸念する発言がテレビでよく報道される。
しかし、日本の米も肉も、海外製品に比べて格段に品質が高い、海外へ売ればランク分けが出来きてプラス面も出るだろう。
但し、国内では安い海外の肉や米を買う消費者が増えるだろう。
知的財産権保護は大いに推進すべきだろう。
医療業界も反対だ。
自動車業界は賛成だろう。
政府は9日、全閣僚によるTPP総合対策本部を設置した。 11月にも取りまとめる「総合的なTPP関連政策大綱(仮称)」では、農業の競争力強化に向けた補助金の導入や、安価な輸入品の流入が見込まれる分野で、収入減を補う所得補填制度の拡充を盛り込むことも検討する。と報道されている。
私のまわりの農家では、農業だけで生活している方はTPP可決を冷静に受け止めている方が多い。