参議院外交防衛委員会で質疑

11月20日(火) 10時より参議院外交防衛委員会開会、この日は大臣所信に対する質疑、立憲民主党白眞勲議員、国民民主党大野元裕議員、共産党井上哲士議員、日本維新・浅田均議員、アントニオ猪木議員、沖縄の風伊波洋一議員の質問があり、12時42分に休憩、私は午後1時からで質疑を行った。

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後で動画も掲載するが、岩屋防衛大臣は初めての質疑であった。質問は以下の通り

1、南シナ海の問題

【中西】

外務大臣は所信の中で「国際社会共通の懸念事項である南シナ海をめぐる問題についても、国際法に基づく紛争の平和的解決に向け努力することの重要性を強調していく。」と述べられた。

この海域では、中国海軍とベトナム海軍との間で軍事衝突があった、1974年1月に西沙諸島の戦い、1988年3月には南沙諸島スプラトリー諸島海戦と二つの海戦があったことを説明し、西沙諸島の戦いでは、南ベトナム海軍の軍艦(哨戒艦)1隻を撃沈して、島に上陸して実効支配をした。

スプラトリー諸島海戦では、ジョンソン南礁、ファイアリー・クロス礁などを手に入れた〕事を述べた上で、

中国はこの海域を軍事力で手に入れた。このような歴史を持つ南シナ海を実効支配しようとする中国に対して、河野大臣は具体的にどういう行動をするのか。

河野太郎外務大臣

政府としては、各国に対し航行の自由を含む海における法の支配の重要性を訴えかけ、その実効性を高める外交努力を行うとともに、南シナ海をめぐる問題についての懸念を国際社会と共有することによって国際社会にメッセージを送り続けてきております。

先般の東アジア首脳会議においても、こうした考えの下、安倍総理から、南シナ海における紛争は、力ではなく国際法に基づいて平和的に解決されるべきだ、そう申し上げ、南シナ海の現場の動きに対する真剣な懸念を表明いたしました。

また、10月末の訪中では、南シナ海を含む海洋問題について、習近平国家主席李克強国務院総理に日本側の強い懸念を改めて伝達をいたしました。

また、ODAを活用しながら、フィリピンやベトナムといった南シナ海の沿岸国に対し、巡視船や高速艇の供与、海上法執行機関の人員育成などの能力構築、その支援を行ってきております。

法の支配に基づく自由で開かれた海洋秩序を維持強化するため、国際社会が連携していくことが何より重要であり、政府としては、関係国との協力を強化すると同時に、沿岸国に対する能力向上支援を通じ、地域の安定に資する活動に取り組んでまいりたいと考えております。

【中西】

私は、この海域は日本のタンカーや貨物船が多く航行しており、日本の貿易にとって極めて重要な海域であると認識しておりますが、外務大臣のご見解をお聞きします。

【河野外務大臣

わが国が輸入する原油の9割、天然ガスの6割がこの南シナ海シーレーンに依存しておりまして、資源やエネルギーを含む貿易品の多くが海上輸送に依存する日本にとり、この南シナ海の航行の自由、シーレーンの安全確保は極めて重要な問題であると認識をしております。

【中西】

一部には、マラッカ海峡が非常に狭いということもあって、この海域で軍事的緊張が高まり、日本のタンカーや貨物船が航行できなくなっても、ロンボク海峡を通り、フィリピンの東側を通って日本へ向かっても、石油製品の価格、例えばガソリンは数円しか上がらないので、危険を冒す必要はないとの見方があるが、この見方に関して外務大臣はどうお考えでしょうか。

【河野外務大臣

日本のタンカーや貨物船が南シナ海を通行できないような状況が長期化した場合に、日本の国益を直接かつ継続的に損なうことになりますので、迂回ルートが確保できるからいいという話では決してないと思っております。

この南シナ海をめぐる問題は、地域の平和と安定に直結し、日本を含む国際社会の正当な関心事でございます。日本は一貫して南シナ海をめぐる法の支配の貫徹を支持してきており、この問題の全ての当事者が国際法に基づく紛争の平和的解決に向け努力することの重要性を改めて強調したい。ロンボク海峡が通れるからいいという問題ではないということを強調してもし過ぎないと思います。

【中西】

ありがとうございます。今、アメリカと中国の間で貿易摩擦が起こっておりまして、中国から日本に対していろんな信号が届いていると思います。安倍総理習近平国家主席のライン、そして河野外務大臣王毅外相とのライン、あるいは防衛については岩谷大臣と常万全国防部長ですか、とのラインとか、いろんなラインを通じて、突発的ないろんな、軍事衝突とかいろんなことがあったときにすぐ平和的に解決できるラインを講じていっていただきたいと思います。

続きまして防衛大臣にお聞きします。

その前に、私から、迫撃砲の演習の事故について一言申し述べさせていただきます。

迫撃砲というのは放物線を描がきますので、日本のような山の多い地形では大変有効な武器でございまして、私も14旅団の演習場に行った時に操作訓練、120ミリ迫、81ミリ迫の操作訓練も見させていただきました。そして、1個連隊には必ず迫撃砲中隊があります。そのぐらい日本にとっては大切な兵器であろうと思います。

私、この事故の一報を聞いたときに、北へ1キロぐらいずれていると。しかも着弾点の確認もせずに二弾、三弾を撃っているというふうに聞いたときに、そんなことがあり得るのかと言う思いでおりました。

事故原因につきましては調査中という事ですので答弁は求めませんが、しっかりと調査の上、こういう事故が二度と起こらないような体制を整えていただきたいと思います。

それで、今、南シナ海の話がでまして、この海域の重要性は、今申し述べた通りでございまして、これまで海上自衛隊はこの海域に、練習航海などを含めて、護衛艦、潜水艦などがこの海域を通っております。

今年になって対潜水艦作戦の訓練を行ったという報道がありましたが、9月13日 、海上自衛隊の「かが」「いなづま」「すずづき」の3隻の護衛艦と搭載航空機5機、潜水艦「くろしお」が南シナ海で対潜訓練を行ったと報道されておりますが、これは通常の訓練なのか、それともその前からいろいろ普通にやってこられた訓練なのかについてお聞きいたします。

岩屋毅防衛大臣

まず、先生触れられた先般の饗庭野演習場での事案について、改めてお詫びを申し上げたいと思います。調査結果が出次第、委員会の指示に従ってご報告もさせていただきたいと思いますし、再発防止に全力を挙げてまいりたいと思うと言うふうに思っております。

そして、ただいまのお尋ねでございますが、訓練の内容は今先生がおっしゃった通りでございます。本訓練は、あくまでも自衛隊の戦術技量の向上を図るものでありまして、特定の国や地域を念頭に置いたものではありませんが、海上自衛隊はこれまでも外洋練習航海といった機会に南シナ海において潜水艦が参加する訓練を実施しておりまして、今後も必要な訓練を実施してまいりたいと存じます。

【中西】

今年9月に、米海軍が航行の自由作戦を行ったときに、中国海軍の艦艇が接近して非常に緊張したという報道がありました。米国のペンス副大統領の10月4日の演説では45ヤード以内まで接近したと言っているとの事です。

防衛大臣はどういう状況であったと把握されているのか、また、海上自衛隊の艦船が演習を行ったときには、中国艦船はどういう動きをしたのかお聞きします。

【岩屋防衛大臣

その報道については承知をしております。本件については、ペンス副大統領が先月四日に行った演説の中で、米駆逐艦ディケーターが南シナ海において航行の自由作戦を実施していた際、中国海軍艦船が同駆逐艦に約41メートルまで迫る事案が発生したと明らかにしたということを 承知をしております。また、ペンス副大統領は、 これは中国による攻撃的な姿勢を示すものであると述べられたということも承知をしておりますが、 米中関係のことでございますので、米軍の活動の一つ一つについて私どもが説明する立場になく、また、個々の事案の詳細についてコメントすることも控えたいというふうに思いますが、

その上で申し上げれば、やはり、中国による南シナ海における一方的な現状変更及びその既成事実化を一層進展させる行為について、我が国のみならず国際社会は深刻な懸念を有しているというふうに考えております。

防衛省としても、南シナ海における中国の動向について重大な関心を持って平素から情報収集に 努めているところでございますが、その中身を明らかにするということは我が方の能力を明らかにするということにつながりますので、詳細は控えさせていただきたいと思います。御賢察賜りたいと存じます。

【中西】

南シナ海の現状について、西沙諸島ウッディー島、フィリピンのルソン島東部のスカボロー礁、そして南沙諸島を結ぶ三角形、ここを支配すれば南シナ海はほぼ完全支配が可能であり、それが中国の目的であろうという見方があります。

平成30年版の防衛白書によると、「中国は、南沙諸島にある7つの地形において、14(平成26)年以降、大規模かつ急速な埋め立て活動を強行してきた」として、ジョンソン南礁、クアテロン礁、ガベン礁、ヒューズ礁、ファイアリー・クロス礁、ミスチーフ礁、スビ礁が記載されているが、これらの現状はどうなっているのかお聞きします。

【槌道明宏防衛政策局長】

中国は、二〇一六年に比中仲裁判断が示された以降も、この判断に従う意思のないことを明確に示し、南沙諸島西沙諸島の軍事拠点化を推進しております。 具体的には、南沙諸島、今御指摘のありました七つの地形におきましては、二〇一四年以降、急速かつ大規模な埋立活動を強行し、埋立てが完了されたとされる二〇一五年末以降は、砲台といった軍事施設のほか、滑走路、格納庫、レーダー施設等、軍事目的に利用し得る各種インフラを整備してきております。さらに、本年に入り、輸送機及び特殊任務機の展開や、地対空ミサイル及び地 対艦巡航ミサイルの展開も指摘されております。 また、南沙諸島に先駆けて軍事拠点化が進められていました西沙諸島におきましても、戦闘機や地対空ミサイルなどの展開が指摘されているほか、 本年に入りましてH6K爆撃機の離発着訓練の実施も指摘されているところでございます。

【中西】

今ご説明がありましたように、この地域での中国の軍事基地化というのが、着々と進んでおりまして、アメリカがそれに対してどういう行動をこれからも続けていくのか、よくわかりませんが、日本としては、緊張した状況にならないような努力を続けていっていただきたいと思います。

続いて防衛大臣に日米ガイドラインについてお伺いをいたします。

防衛大臣所信〔日米同盟の強化〕の中で、日米ガイドラインについて、「日米同盟の抑止力・対処力の一層の強化に努める」と書かれております。

1997年9月に合意された旧ガイドラインでは、「Ⅳ 日本に対する武力攻撃に際しての対処行動等」という項目がありまして、そこには、日本に対する武力攻撃がなされた場合には、日米両国政府は、適切に共同して対処すると、そしてさらにその2番の、日本に対する武力攻撃がなされた場合、

(1)の(イ)日本は、日本に対する武力攻撃に即応して主体的に行動し、極力早期にこれを排除する。その際、米国は、日本に対して適切に協力する。と書かれております。

さらに、作戦構想の中に、日本に対する航空侵攻に対処するための作戦とか、日本周辺海域の防衛及び海上交通の保護のための作戦、日本に対する着上陸侵攻に対処するための作戦、その他の脅威への対応などでは、主体が「自衛隊及び米軍は」となっております。

ところが、2015年4月に合意された新ガイドラインでは、Cの欄に、日本に対する武力攻撃への対処行動とありまして、その二に、日本に対する武力攻撃が発生した場合という欄がありまして、日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、そして、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するために直ちに行動する。自衛隊は、日本及びその周辺海空域並びに海空域の接近経路における防勢作戦を主体的に実施すると書かれております。

その後にも、空域を防衛するための作戦とか、

具体的な、弾道ミサイル攻撃に対する対処とか、海域を防衛するための作戦であるとか、ここには全て「自衛隊は」と、まず自衛隊がやるんだと書かれております。

私はこの2015年の新ガイドラインが出たときにまだ県会議員でしたけれども、高知県議会の防衛議員連盟で、このガイドラインは今までのガイドラインと違うんじゃないかと、この後に安保法制が出てくるんですが、日本に対してもっと安保条約のもとで負担せよという意味なんじゃないかというふうに思っておりました。

岩屋大臣は、この新旧の比較において、自衛隊の防衛体制がどう変わるとお考えでしょうか、お聞きいたします。

【岩屋防衛大臣答弁】

基本は変わらないんだろうと思います。

我が国に対する侵害に対して、我が国がまず主体的に対応し国民を守ると、これは当然のことだろうというふうに思いますが、今般、平和安全法が整備されたことによりまして、日米防衛協力が一層深化し、日米間の連携も切れ目なくスムーズに行うことが可能となっておりますので、日米同盟の抑止力、対処力はそれによって大きく向上していると思います。

これまでもそうでありましたが、今後も、まずは主体的に我が国が我が国に対する侵害に対して対応すると、そして米国がこれを支援し補完すると、こういう基本的な役割分担の考え方は以前のガイドラインと変わるものではないというふうに思っております。

【中西】

私は、これまで日米安保条約の下で、もしも日本が攻撃を受けた場合は、攻撃力という面ではアメリカが引き受けると、日本の場合はあくまで内側で、日本の、まぁ専守防衛という言葉を使って、最低限の戦力でもって日本を守るという方針が続いてきたと。しかし、この2015年の新ガイドラインというのはそれより少し踏み出して、日本の分担部分を少し増やせよという事を合意されたんではないかというふうに解釈しておりました。

そして、その後、3年、まあ2年数ヶ月前ですか、北朝鮮秋田県沖に、EEZ内にミサイルを打ち込んで、日本国民の防衛意識も随分変わりました。

そうゆう中で、日本が最初に攻撃を受けたときに、まず自衛隊が行動して守るということを実現していくためには、これまでの装備と少しずつ自衛隊の装備も変わらざるを得ないんじゃないかと思っておりますが、その点いかがでしょうか。

【岩屋防衛大臣

先般のガイドラインとその後に続く平和安全法というのを併せ考えてみますと、先生がおっしゃるように、日本の成し得る役割というのは増えたんだと思います。

例えば、 米艦防護等がしっかりやれるようになった、あるいは我が国の存立が脅かされるような事態においては、限定的ではありますが、集団的自衛権を行使できるようになった等々を併せ考えてみますと、 確かに日本の役割が増えた部分もあるんだろうと思いますが、基本的なこの役割分担が大きく変わったわけではないと。

いずれにしても、まず主体的に我が国を、しっかり領土、領空、領海を守るというためには、先生おっしゃるように、やっぱりこれまでの延長線上ではない新たな領域も含めたしっかりとした防衛力を構築しなければならないというふうに考えておるところでございます。

【中西】

一部の見方として、日米安保条約は片務条約だとずっと言われて来た時期がありまして、河野外務大臣が先般の参議院予算委員会日米地位協定の質問をされたときに、ドイツやイタリアと地位協定の内容が異なることについて、それはNATO加盟国等の分担と日米安保条約の役割が違うんだという趣旨の答弁をされまして、私はこの片務条約ということについてずっと疑問を感じておりまして、それは、日本がアメリカ軍の基地を置かせる、そして日本を守るという事は間違いないでしょうけれども、しかし、日本に米軍基地があるのは、日本を守るためだけではなしに、アメリカのアジア戦略の一環としてそれがあるんだろうという見方がありまして、私もそのように考えております。

あくまでも、安保条約というのは一方的な片務条約ではないんだという事を私はずっと思っておるんですが、岩屋大臣のご見解をお聞きします。

【岩屋防衛大臣

安保条約そのものについてはまた外務大臣にも是非聞いていただきたいと思いますが、私どもも日米安保条約は決して片務条約ではないと考えております。

第五条においては、我が国への武力攻撃に対して日米が共同対処するということを定めておりますし、六条において、米国に対し、我が国の安全に寄与し並びに極東における国際の平和と安全の維持に寄与するために我が国の施設・区域を使用することを認めております。

義務の中身は同一ではないものの、条約全体を通じて見れば日米双方の義務のバランスは取られており、片務的という指摘は当たらないというふうに考えております。

【中西】

それでは次の質問に移ります。

宇宙領域の能力強化につきまして、ここでも触れられておりました。それで、Ⅹバンド防衛通信衛星「きらめき1号」を今年の4月に打ち上げ、それに先立つ平成29年(2017)1月には「きらめき2号」を打ち上げました。

さらに、数年後には「きらめき3号」の打ち上げも計画されているとお聞きしますが、これはどういう役割を果たす衛星か、ご説明をお願いします。

【深山延暁装備庁長官】

お答え申し上げます。自衛隊の統合運用、海外派遣、装備品の高度化等によりまして、自衛隊の通信所要は増加傾向にございます。そして、これは今後ますます増加することが見込まれております。

御指摘のXバンド防衛通信衛星事業はこうした将来の通信所要を見据えたものでありまして、これまでできなかった陸海空自衛隊の相互間での横断的な通信を可能とするとともに、通信容量についても、画像、映像にも対応できる容量へと拡充されることとなります。また、海外等、広域で活動する部隊への対応についても向上を図られることとなっております。

【中西】

私、前に、情報収集衛星の質問を予算委員会だったと思うんですが、させていただきまして、その後で、情報収集衛星のいろんな勉強していると、他の国では民間に任してそこから情報もらうと言うような取り組みをしている国もありました。

この「きらめき」については当初民間の商用通信衛星を使用していたそうなんですが、どういう経緯で専用の「きらめき1号」を打ち上げることになったのか、お聞きします。

【深山装備庁長官】

御指摘のとおりでございまして 、従前は 、当初は民間の 商用通信衛星を使用していたという経緯がございました。

しかしながら、先ほど申し上げ ましたような通信所要、機能、こうしたものの増大を考えますと、やはり防衛省が 、今申 し上げました増加する所要を踏まえますと、防衛省がこの所 要を満たすため、事業の効率 性等の観点から、従来の民間商用衛星の使用から防衛省自ら通信衛星保有することとし たものです。自らが保有することによりまして、使い方あるいは所要等につきまして我々 がより良くコントロールできるといいますか、我々の所要を満たすことができるという考 えに基づいてこれを行いました。

【中西】

是非、自前の通信衛星、こういうのを前倒しで整備して、突発事故あるいは災害対応にもできるんですが、こういうところを整備していただきたいと思っております。

以上

 

                                        以上