北方領土返還交渉について

昨日12日の夕方、私の所属している石破派の勉強会があり、新潟県立大学政策研究センターの袴田茂樹教授を講師として「激動する国際情勢と我が国の対露政策」と題して、安倍総理が進めている北方領土返還交渉の勉強会があった。

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(上の写真は会の終了後に先生と記念撮影)

私は袴田茂樹先生が昨年11月19日に、産経新聞の正論欄に発表された「東京宣言の方針転換は"敗北"だ」という論文を高く評価して、何度も読み返し、切り抜きを持ち歩いている。

今回の勉強会もその論文の趣旨に、その後の動向を加えた講演を1時間にわたり拝聴した。

配布されたレジュメに記載された要旨は以下の通りである。

1、北方領土問題の本質

ここで印象的だったのは、2012年7月3日にメドベージェフ首相が国後島を訪問し「島は絶対にわずかでも渡さない」と公式に発言した。

その後玄葉外相がロシアを訪問した際に、大統領に秋田犬を贈呈し、国後島訪問に対する抗議をしなかった。

それが韓国に「日本の固有の領土と主張している北方領土を訪問しても抗議をしない国だ」との誤った印象を与え、8月10日の李明博大統領の竹島訪問に繋がったとの見方であった。

2、56年宣言と東京宣言

1956年「日ソ共同宣言」「平和条約締結後に歯舞群島色丹島を引き渡す」

1993年「東京宣言」「四島の帰属問題を解決して平和条約を締結する」

3、プーチン大統領の対日姿勢の変化と歴史の修正

2005年9月歴史を修正「第2次大戦の結果四島はロシア領となった。国際的にも承認されている」

4、近年の日露交渉

 

講演の中で、プーチン大統領、ラブロフ外相などロシアの政治家の発言を分析すると、返還は非常に難しいと思う。プーチンとラブロフの発言は同趣旨で連携している。

日本のマスコミはあたかも2島先行論を進めると、歯舞諸島色丹島の2島が返ってきて、国後島択捉島の返還も次の課題となるかのような楽観論が多いがそれは間違いである。

今月の月刊誌「軍事研究4月号」にも、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏が同様な見解の記事を載せている。

私も今回の交渉で北方領土が返還される可能性は非常に低いと考えている。

参議院外交防衛委員会で、野党議員の「北方領土は日本固有の領土か」との質問に対して、河野太郎外務大臣は「領土交渉に影響があるのでお答え出来ません」との答弁を繰り返しているので、質問しても意味がない。

安倍総理は「日本は固有の領土であると主張し、ロシアは第二次大戦でロシアの領土となったと繰り返している。これでは返還交渉は前に進まない、そこでいったんお互いの主張を控えて交渉をし直す」と発言されている。その気持ちも理解できる。

しかし、私は領土交渉は一歩も譲らないとの決意で臨むべきだと考える。

安倍総理がどうして返還交渉にのめり込むのか理解出来ない。

長い時間をかけて交渉を続けて行くべきだと思う。