日米地位協定と高知県

4月12日の高知新聞に、米軍の低空飛行訓練ルート「オレンジルート」に位置する長岡郡本山町や土佐郡大川村の上空で11日、米軍機とみられる航空機が相次いで超低空で飛行した。約40分後には同じ区域を高知医療センターのドクターヘリが患者移送のために飛行した。

との記事が載っており、この件について高知県の尾崎知事が、河野外務大臣、岩屋防衛大臣に対して、米軍機の低空飛行訓練が高知県のドクターヘリが飛行する時間と一緒になる可能性があり、事故につながりかねないので低空飛行訓練の中止を申し入れたとの報道があり、インターネットニュースでも流れている。

伊勢崎賢治氏と布施祐仁氏の共著で日米地位協定の解説書「主権なき平和国家」によれば、オレンジルートなど7つの飛行訓練ルートは、米軍が勝手に決めて良い事になっており、飛行訓練を実施するにあたり、日本政府への通告などは必要ない。

パイロットは周囲の状況を目視で判断せよと書かれているという。
オレンジルートでの米軍機の訓練飛行は吉野川の河口から高知県嶺北地域に及び、そこにある早明浦ダムが目標となっているようだ。
北朝鮮情勢が緊張すると飛行訓練が頻繁になる。
早明浦ダムに米軍機のA10爆撃機が墜落した事故が起きた。

これまでにも尾崎知事はたびたび米軍機の飛行訓練中止を申し入れているが、私が県議会議員であった時は、自民党県議団は日本防衛に必要な訓練だとの認識のもとに、抗議活動はしていない。

国会議員になる前から、この日米地位協定については関心があり、一年ほど前から先にあげた「主権なき平和国家」を繰り返し読んでいる。

日米安保条約日米地位協定により、米軍はいつでもどこでも基地や訓練域を日本政府に申し入れて作る事が出来、日本政府は合理的な理由がない限りこれを断る事が出来ない事になっている。

これで独立国家といえるのかという状態である。

十数年前であったか、自民党で、この日米地位協定の見直しを検討する勉強会を作ろうとした事があり、その時の役員に河野太郎議員、岩屋毅議員の名前がある。

私は事情を知っているベテラン議員からこの時の経緯を聞いた。

外務省からの圧力などがあり勉強会は中止になったとの事である。

当時はまだ日本の防衛の多くを米軍に依存している時代であり、米国に物申す雰囲気ではなかったのであろう。

今は大きく事情が変わっている、ドイツやイタリアなどのヨーロッパ諸国、韓国などと米軍との関係を見ても、日本と米軍との関係よりも、もっと物申す体制が出来ている。

見直しに向けての勉強会が必要であると思っている。