老後は2千万円の貯金がいるの?

批判を受けているのは6月3日に発表された「金融審議会  市場ワーキング・グループ報告書」である。

この報告書は麻生金融担当大臣が諮問して「市場ワーキング・グループ」が取りまとめたものである。

報告書がマスコミで批判されると、受け取らないと言って余計政府が批判されている。

何回も会合を重ね、苦労してまとめた神田秀樹座長(学習院大学教授)をはじめ20名の委員さん達は怒っているだろう。

そもそも、この報告書は老後を安心して暮らすためにいくらかかるかというモデルを民間の金融・保険機関に示す為に作られたもののようで、35ページには「金融サービス提供者はこうした顧客の状況に対して、どれだけ顧客本位で一緒に考えることができるか。『自分事』として顧客に寄り添って考えることができる金融サービス提供者が顧客からの信頼を勝ち得ていくと考えられる。」と書かれている。

問題になっているモデルは、夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯である。

実収入は社会保障給付を中心として209,198円、実支出は263,718円、平均貯蓄額は2,484万円である。

今後30年間生きるとしたら、差額の月約5万円の貯蓄を取り崩し、合計すると約2千万円になるとの事である。

ただし、この資料の、例えば食料費支出は月額64,444円、夫婦と子供3人家族の若い世代の食料費と比べても高すぎるとの批判があり、切り詰めれば月に26万円もかからないだろうとの指摘がある。

厚生労働省の資料によると、現在国民年金の老齢年金受給者数は約3,190万人、そのうち基礎年金のみの受給者数は約614万人で全体の約19%である(平成29年度末)。

私は、60歳になった年に、地元の社会保険事務所から電話があり、年金の受給手続きをした。

当時は高知県議会議員であったが受給できると言われた。

私が厚生年金に加入していたのは約15年間でそれ以外は国民年金に加入していた。

その時の受給金額は月に2万円で、65歳を超えると月額5万円になると説明されたと記憶している。

ほとんど基礎年金に近いのだろう。

64歳で参議院議員になったので受給を停止する手続きをとった。

国民年金のみの人達はこの程度の金額を受給されており、とてもじゃないが年金だけでは生活出来ないはずだ。

[訂正]

厚労省から、私のように昭和26年生まれで、40年間国民年金保険料のみを納付した場合、老齢基礎年金満額は月学65,008円となるとの資料が届いた。