高知県の畜産業界は頼もしい

日米貿易協定締結後の米国産牛肉の輸入動向に対し、高知県内の畜産業者がどういう考えを持っているのか聞くために、高知県農業振興部で紹介していただいた業者に意見を聞きに行った。
12月16日(月) 四万十町窪川の株式会社ビーフ・キャトル訪問、恒石平・代表取締役と福永守恭専務に話を聞いた。

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ビーフキャトルは40年ほど前、6人の仲間と会社を作り、ホルスタインの雄牛の肉を販売することを中心にやってきた。

当時、ホルスタインの雄の子牛は引き取り手がなくてタダ同然の値段であった。だからそれを肥育して県内スーパー大手のサニーマートと契約して「国産牛」という名前で売っている。

米国産牛肉が安くなるともろに価格が競合する、これを機会に黒毛和牛の肥育に転換する生き方もあるが、すべての仲間がそれをできるわけではない。

お二人は日米貿易協定締結後の、米国産牛肉の輸入動向を心配しながら見ていくとの話しであった。
12月20日(金) は土佐褐毛牛(赤毛牛)の本場である嶺北地方を訪ねた。

本山町の細川茂幸氏は長く褐毛牛の肥育をやっている。
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現在褐毛牛は数年前と違って成育状況も良い(肥りが良い)し、子牛の供給も含めて順調に行っている。

牛肉の販売単価も100グラム1000円を超えており米国産牛肉とはあまり競合しないので、米国産牛肉の輸入動向は様子を見るとの話しであった。

高知県の褐毛牛は、黒毛和牛と比べて肉の販売単価が一段下であった。

ところが数年前から、脂身の少ない赤肉が健康に良いとのマスコミ報道で人気が出てきてから需要が追いつかなくなり、子牛の供給が間に合わなかった。

今は改善された事が分かった。

細川さんの影響で娘婿の秋山ゆうじさん(38歳)も、近くの場所で牛の肥育を始めたそうだ。

続いて土佐町の川井規共(のりとも)さん(38歳)を訪れた。

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川井さんは父・高廣さんと一緒に、約300頭の黒毛和牛、褐毛牛を飼育している。
県のレンタル畜舎制度も活用しているとのことであった。すぐ後に見えているのが牛舎である。
また、この写真の右側の牛舎には母牛が10頭いて、2頭は褐毛牛であった。
それぞれ子牛が産まれており昨日生まれたばかりの子牛もいた。
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上の写真の左の牛の下に、前日生まれた子牛がいます。
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子牛は約210日育てて、240〜250㎏で売る、現在の値段は1頭あたり60万円台だそうだ。私は80万円台と聞いていたが、少し下がったそうだ。

成牛は700㎏以上で売るそうだ。
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上の写真は休憩所で話を聞いているところ。

規共さんは、私の息子と同じ昭和56年生まれ、2月生まれなので学年は1年上だが、すでに二人の娘さんがいるという。私の息子は独身なのでうらやましい。

彼は本山町の細川さんの娘さん夫婦と同級生だそうで、また、川井牧場で2年間研修した式地優貴さん(28歳)も、父親が畜産を辞めていたが、町内で畜産を再開したそうである。

こういう若い人達が、自信を持って畜産に励んでいる姿を見て、本当に頼もしく思った。

嶺北を訪ねると、JA土佐町コーポで赤牛の赤身肉を買って帰る。この日はステーキ肉とだけ注文し、赤身肉と言うのを忘れていた。

川井規共さんを訪ねた後受け取りに行ったら、川井さんの育てた牛の、素晴らしいサシの入ったサーロイン肉が用意されていた。

100グラム単価1400円(税込)と赤身肉より少し高いが、これは美味しい。

今後も畜産農家を訪ねて話を聞いていくつもりです。