この本は、参議院本館1階の本屋さんでたまたま見つけて読んだ。著書はモンゴル人、かなり面白い本だ。
平成8年だったか、当時市役所職員で友人であった(現役で亡くなりました)沢松正さんから、宿毛市議会議員であった私に、高知県の有志がモンゴルのウランバートルで高知県とモンゴルの小中学生が合同で運動会をやる企画がある、行ってみないかとの話があり、モンゴルを訪問した。
行きは北京からウランバートルまで寝台列車で行くという事に興味を持って出かけた。
北京からウランバートルまで三十数時間かかった。
中国領内の内モンゴル自治区はトウモロコシ畑が延々と続いた。ニレンホトで汽車の車輪を替えるのに5時間かかった。(中国とモンゴルとではレール幅が違う)
外モンゴル(モンゴル国)に入ると農地は全く無い、延々と草原と砂漠が続く、内モンゴルと外モンゴルがなんで存在するのかも知らなかった。
また、モンゴルと中国とがいかに仲が悪いかも初めて知った。
この本に書かれているモンゴル兵士達は、大東亜戦争中に日本陸軍の士官学校、満州国の興安軍官学校で日本軍騎兵として教育訓練を受けた。
日本刀で戦う騎馬兵だ。
そのモンゴル兵士達が、終戦後の混乱で、日本軍教官を殺したり、また、朝鮮戦争に中国軍の先兵として参加し、朝鮮戦争終結後の1950年代に、中国のチベット支配の先兵としてチベット人を大量虐殺した。
その後、1960年代の文化大革命ではそのモンゴル兵士達のほとんどが紅衛兵に殺されてしまったという悲しい歴史を書いた本だ。
その歴史の中で、心に残ったこの本の記述があるので、2点記す。
「『シナ兵は汚い人海戦術以外に、戦い方を知らない。シナ人は、謀略は上手いが、戦争は下手くそだ。』これは、およそすべてのモンゴル軍人の共通認識である。民族の共通認識であるといっていい。」
「シナ兵は、とにかく戦いは下手くそだが、その割には無用な殺戮を極端に嗜好する」
有りもしなかたった南京虐殺を捏造し、そこで日本兵が行ったとする中国人に対する虐殺の作り話は、自分達がやった経験があるので、日本兵もやるだろうとの憶測話であろう。
また、この本の最後のほうに、モンゴル兵と中国人民解放軍兵士が一緒にオオカミ狩りをやった話が記されている。
モンゴル兵はオオカミを少し残して逃がすが、中国兵は全ての狼を射殺した。
そこでこう記す。
「狼が消えると、草原のバランスが崩れる。
中国人が増えると、世の中のバランスが壊れる。
とモンゴル人たちは信じるようになっていった。」
「狼は牧人の家畜群を襲うこともあるが、草原の掃除屋でもあり、弱った個体と死体を食べるから、生態の均衡保全に貢献している。しかし、中国人達が、モンゴル人やチベット人の故郷に侵入してくると、従前の平和と均衡は打破され、民族間の関係も主従の関係になり、支配と弾圧の陥穽に陥っていくのであった。本書が綴る一連の歴史的事実もそれを物語っている。狩りと戦は次元が違うが、本質は同じである。」
私はこの記述に納得した。