自民党外交部会、国防部会で中国に対する強い懸念の意見

2月4日(木)午後5時から自民党本部で政調会の国防部会・安全保障調査会の合同会議、5日(金)正午から、同じく自民党本部で外交部会・外交調査会合同部会が開かれ、中国海警法の施行等をめぐって中国政府に対して大変厳しい意見が相次いだ。
私は、5日の外交部会・外交調査会合同部会に外務省を代表して出席し、冒頭の挨拶をさせていただいた。

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中国の海警は、一昨年(2018年)法改正により、中央軍事委員会の一元的な指揮を受ける武装警察の隷下へ編入され、人民解放軍と同列の地位に昇格した。

そして昨年末に、海警法を制定すると言う話があり、国防部会等において何度か情報交換の会が開かれた。

そして、中国政府は本年2月1日、海警法を施行すると発表した。

防衛省資料に基づき、中国海警法の主要条文の仮訳を紹介する。

第1条(制定の趣旨)
・海警機関が法に基づき職責を果たすことを規範・保障し、国家の主権、安全及び海洋権益を擁護し、公民、法人及びその他の組織の合法的な利益を守るために本法を制定する。

第2条(海警機関)

・人民武装警察部隊海警部隊即ち海警機関は、海上権益擁護・法執行の職責を統一的に履行する。海警機関は、中国海警局及びその海区分局及び直属局、省級海警局並びに海警事務所を含む。
第3条(適用範囲)
・海警機関は、中華人民共和国の管轄海域及びその上空に置いて海上権益擁護・法執行活動を展開し、本法律を適用する。

【この条文が国際法違反ではないかとの意見が相次いだ。中国の管轄海域とは、中国が勝手に宣言した海域を含むものであり、尖閣諸島も含まれるからだ。国防部会・安保調査会合同部会では政府に対して提言書を出すことが決定され、文言は執行部に一任する事となった。】

第12条(職責)

・海警機関は、法に基づき以下の職責を履行する。

①我が国管轄領域において巡航と警戒を実施し、重点島・礁の監視、海上境界線の管理・保護、国家の主権、安全及び海洋権益に危害を与える行為を予防、制止及び排除する。

【この条文についても問題があるとの意見が以前から出ていた。現在尖閣諸島魚釣島には日本青年社が建てた灯台があり、現在は海上保安庁が管理している。この法律に基けば、この灯台を排除する事が出来るのではないか、との懸念である。】

第22条(武器使用)

・国家主権、主権的権利及び管轄権が、海上において外国の組織、個人の不法侵害を受ける、あるいは不法侵害の緊迫した危険に直面した際、海警機関は本法及びその他の関連法律・法規に基づき、武器の使用を含む一切の必要な措置を採り、侵害を制止し、危険を排除する権利を有する。

【武器使用権限を明記した】

また、外務大臣・外務省が、この海警法が国際法違反である旨を明記しない事についても厳しい意見が出た。

2月1日の産経新聞一面に、櫻井よしこ氏が「中国擁護の轍を踏むな」と題して論文を掲載した。

「1月28日の日米首脳電話会談に関する日本政府の発表は異常だった。米政府が『両首脳は中国、北朝鮮を含む地域安全保障問題を議論した』と発表したのに対し、官邸も外務省も『中国』という言葉を一切発しなかった。」
「今回の会談の主題が外交安保である限り中国を論じずには成り立たない。なぜ日本政府だけがその部分を伏せるのか。日本は中国に米国のような厳しい姿勢はとらないと言い訳する意図なのか。」
4日、5日の国防部会・安保調査会合同部会、外交部会・外交調査会合同部会での自民党議員の意見は、櫻井よしこさんの意見と同じよう主張が相次いだ。