海上保安庁の武器使用について

昨日(25日)、自民党政務調査会の国防部会・安全保障調査会 合同会議が開かれ、そこで海上保安庁尖閣諸島周辺海域での武器使用を可能とする解釈をした。この政府見解は初めてだ、との趣旨の報道がある。

私はこの会に出ていないので、詳しいやり取りは承知していない。

しかし、国民に誤解を与える恐れがあるのではないかと危惧するので、正確に書きます。

海上保安庁の武器使用権限については、海上保安庁法20条第1項に、警察官職務執行法7条を準用すると書かれています。

警職法7条は「正当防衛・緊急避難」以外に「死刑または無期、3年以上の懲役もしくは禁固」の凶悪な罪に該当する場合は、武器を使用して危害が及んでも違法にはならないと規定している。

報道はこの後段の規定を指している。

しかし、韓国との間で、昭和27(1952)年1月、李承晩ラインが不当に設置され、昭和40(1965)年日韓漁業協定により李承晩ラインが消滅するまでの間、『日韓漁業対策運動史』によると日本の拿捕漁船328隻、抑留船員3,929人、死傷者44人、これが李ラインによる日本側の被害総数である、との記述がある。

私が小学5〜6年生の頃(昭和37〜38年頃)であろうか、朝のテレビニュースで海上保安庁の巡視船が韓国の船を相手に銃撃戦をやっているのを何度か見た。

また、1999年(平成11年)3月23日に発生した能登半島沖の北朝鮮工作船事件では、海上保安庁の巡視船が警告射撃を実施した。

この時に私が聞いたのは、北朝鮮は李承晩ラインの銃撃戦を知っているので、海上保安庁の巡視船は発砲してくるが、海上自衛隊護衛艦は発砲してこないと、たかを括っていたとのことであった。

しかし、その後、政府は海上自衛隊に初の海上警備行動を発令し、海自の護衛艦も警告射撃を行った。

さらに2年後の2001年(平成13年)12月22日に東シナ海で発生した北朝鮮工作船撃沈事件では、

巡視船が正当防衛を根拠に発砲、工作船は自沈した。

このように、海上保安庁はこれまでも外国船相手に、法に基づき銃撃を実施しています。