海の武士道

12月26日に高知市で行われた恵隆之介氏の講演会の題である。
昭和17年2月28日ジャワ島北東部のスラバヤ沖海戦においてイギリス海軍駆逐艦「エンカウンター」が撃沈され、また、同時期に撃沈されたイギリス海軍巡洋艦の乗組員を含めて400名以上が漂流した。
そこに日本海軍駆逐艦「雷」(乗組員220名)が通りかかった、「雷」艦長工藤俊作少佐は艦に停止命令を出し、漂流しているイギリス海軍の将兵を救助することを決め、戦闘中の極めて危険な状況で422名の将兵を救助して、翌日オランダ病院船に捕虜として引き渡した。
この事実は、その2年後、駆逐艦「雷」が撃沈されて生存者ゼロであったこと、その事実を知った工藤艦長は、その後一切戦争に関する話をしなかったことなどにより、誰にも語り継がれることがなかった。
しかし、この時に漂流したイギリス海軍将校であったフォール卿が1996年にこの事実を自伝に書き、2003年10月には工藤艦長を捜して来日した。
この時は工藤艦長の消息がつかめなかったが、2008年になって工藤艦長が1979年に亡くなり、埼玉県の川口市の薬林寺に眠っていることがわかり、その墓参に訪れた。
その経緯を恵隆之介が本にまとめ、今回DVDBOOK「海の武士道」(育鵬社)として出版し、横浜市の小中学校で道徳の教材として使用されたという。
講演会では工藤艦長の救出劇の話と、尖閣諸島事件を話された。
私はこの工藤艦長の話は、最初に恵氏が「敵兵を救助せよ!」という本を出版した際の書評を見て知っていたが、今回の講演会でDVDを同時に見てよく理解できた。