野田首相の領土問題記者会見を聞いて

24日(金)夜、野田首相竹島尖閣諸島北方領土をめぐる問題について記者会見を行った。
民主党政権に対する、中国、韓国、ロシアの攻勢は一段と激しさを加えている。
その原因は民主党政権による日米同盟の弱体化と弱腰外交である。
首相会見録を抜粋すると、竹島に対しては「戦後、韓国は不法な李承晩ラインを一方的に設定し、力をもって不法占拠を開始した。竹島問題は歴史認識の文脈で論じるべきではない。」と言い、
尖閣諸島に関しては「尖閣諸島に解決すべき問題は存在しない。中国が領有権を主張し始めたのは石油埋蔵の可能性が指摘された1970年代以降。わが国固有の領土であることは歴史的にも国際法上も疑いがない。わが国が有効に支配している。不正上陸を繰り返させないため総力を挙げて周辺海域の監視警戒に万全を期す。」と言った。
また、北方領土についても「わが国固有の領土、北方領土問題も法と正義の原則を基礎とし、静かな環境でロシアとの交渉を進める。」と言ったそうである。
この野田首相の発言は是とする。
自民党政権時代からの継承であるが、民主党の首相としてはよくやったと言うべきであろう。
新聞では「野田総理、不退転の決意」と書いたのがあった。
不退転の決意といわれても、今回の中国人による魚釣島上陸にあたって、海上保安庁に対しては双方にケガ人が出ないようにとの命令を出したことや、公務執行妨害罪で逮捕もせずにあわてて送り返す行動を見れば野田総理の決意を信用することはできない。
私は韓国の李明博大統領の竹島上陸や天皇発言については、あまりにも異様な言動なので無視するつもりでいた。
民主党政権の鳩山、菅総理の言動も外国から見ればかなり異様な言動であったろう。
このような人たちを通常は「バカ」と呼ぶ。
バカを相手に反論するのは控えていたが、韓国は李明博大統領のみならず政権を挙げて異様な言動を続けている。
外交は軍事力の裏付けが必要である。とりわけ国境紛争については特に必要であろう。
自民党政権下では軍事力は米国頼みで日米関係を重視していたので、これも情けないことではあるが今よりは安定していた。
産経新聞の解説には半沢尚久記者の署名記事で、今回の「尖閣への不法上陸を中国政府が黙認したことについて、ある自衛隊幹部は『米軍の反応を探る狙いもあった』とみる。・・・・ところが今回、米軍艦艇の動きはない。これは中国海軍が出動せず、漁民を装った海上民兵尖閣を占領する事態では米軍の来援は望めない証左だ。」とある。
私も同様に考えている。
7月16日のブログに書いたが、オバマ政権にも影響力を持つハーバード大学ジョセフ・ナイ教授が中国軍巡航ミサイル、弾道ミサイルの命中精度が飛躍的に向上したために、米海軍空母打撃群が中国本土近くでの行動を控えているとの情報があった。
中国軍は当然それを知っている。
民主党政権になり、海兵隊辺野古への航空基地移設問題で日米関係が破たんし、未だにMV22オスプレイの配備問題で混乱が続いている。
野田政権になってもオバマ政権の信頼はないとの話も聞いた。
米国の軍事評論家?による日本の自衛隊と中国海軍との戦力比較発言が数日前に新聞に出ていた。
保有艦艇数では中国が多いが、装備の質、兵の錬度で自衛隊が勝るという見方であった。
おそらくその通りであろう。
しかし、それも海上自衛隊にミサイルや砲弾等が豊富にあればの話である。
現場の自衛官士気も錬度も高い、しかし、後方の防衛庁職員や自衛官の平和ボケが心配である。
平時に、兵器の在庫がいくらあるという発表をする軍隊もないだろうから内容は不明だが、お寒い限りである。
一会戦終われば弾がないという事態にならないよう防衛省に要望する。
孫子の教えに「兵は狂気なり、使わざるをもって最上とす」という言葉がある。
野田首相に、もしもの時には兵を使うぞという覚悟がなければ自衛隊が精強であっても効果はない。
武力で奪われた領土を、武力を使わずに奪い返すことはかなり難しいことである。