大もめの県議会最終日

今日は12月定例県議会の最終日だが、国家公務員に準じて県職員の退職金を削減する議案が最終日に提出されてもめている。
現在本会議の休憩中で総務委員会を開催中である。
今年度退職する県職員の平均退職金は2512万円、これが条例改正で136万円の減額となるので共産党の吉良議員と県民クラブの坂本議員が本会議で質疑を行った。
これに先立ち、午前中に建設業界の談合事件に関して、指名停止期間の短縮を求める請願に関する討論があり、私が請願に賛成の立場で討論をおこなったので全文を掲載する。

「ただいま議題となりました請第2号「独占禁止法に違反した建設業者37社に対する指名停止処分の短縮等を求める請願について」に賛成の立場から討論を行います。
さる10月17日、公正取引委員会から、県内37社に対して排除措置命令と課徴金納付命令が出され、これを受けて、国、県において、最長で14ヶ月の指名停止措置が行われました。また、公取の処分の確定を受けて、今後、建設業法に基づく監督処分や、契約書に基づく賠償金の請求が行われることになります。
このことは、県内の公共工事において、繰り返し談合が行われてきたことに起因するものであり、公共工事に対する県民の信頼を著しく損ねたことに対する適切な措置だと考えます。
よって、まずは、違反行為を行った事業者が心から反省し、県民の皆様の信頼回復に向けてコンプライアンスの確立を徹底すること、加えて建設業界全体で今回の事態を真摯に受け止め、法令遵守の徹底によって、二度と再びこうしたことを許さない環境づくりに自ら取り組むことが重要だと考えます。
その上で、一日も早く、県民の皆様の公共工事の入札に対する信頼回復が図られるよう願ってやまないところであります。
そうした一方で、今回、本県の建設業界をリードすべき多くの中核企業が、長期間にわたる指名停止措置を受け、さらに多額の賠償金を求められるという、過去に例のない事態が、本県の経済や雇用、さらには喫緊の課題である南海トラフ巨大地震への備えなどの面で深刻な影響を及ぼすのではないかと、危惧するところであります。
本県の経済が、公共事業への依存度が高いことは周知の事実でありますが、とりわけ、今回、指名停止を受けた企業は、平成23年度の実績で、国、県、市町村が発注する公共工事の約40%を、その大半は元請けとして受注しております。
もとより、建設工事は、今回処分を受けた元請けの事業者だけで完結するものではなく、下請業者や資材納入業者等の、多くの関連企業の協力があって、はじめて成り立つものであります。
大規模な工事であればあるほど、その裾野は広く、商工会議所連合会等によると、今回処分を受けた事業者と、工事の下請や資材の納入等で取引のある関連企業の数は、1社当たり平均で135企業に及ぶというデータもあります。
そうした状況にあって、仮に、今回処分を受けた事業者の一部でも倒産するといった事態が発生すると、連鎖倒産の発生などその影響は計り知れないものとなります。
また、仮に元請け事業者の倒産は回避できたとしても、手持ち工事が無くなり、新たな受注ができない状況では、当然、下請業者への発注が途絶え、資材の調達もなくなることになります。そうなれば、元々財務体質が弱い下請企業や資材納入業者においては、資金繰りが悪化し、最悪の場合、倒産といった事態を招くことが、切迫感をもってきます。
この点は、金融機関等からの聞き取りにおいても、特に、「手持ち工事が無くなる年度末にかけて、さらにはそれ以降、非常に深刻な課題となる」と提起されております。
一方、雇用の面においても、平成22年度国勢調査によると、建設業における就業者数は、全就業者の8.3%を占めております。
そうした中で、今回処分を受けた37社は、直接的な雇用だけでも、正規、非正規合わせて約2000人、家族を含めると4400人余りの生活を支えていると聞いております。また、その下請業者等の関連企業も含めると更に多くの雇用と家族の生活を支えております。
先頃、処分対象37事業者に対し県が行った聞き取り調査報告でも、「現在は、配置転換や出向で凌いでいるが、手持ちの工事が少なくなってくる年明けからは、短期契約の従業員(期間工)の解雇、さらに工事が途切れる4月以降は、常勤の技術職員の雇用の打ち切りもせざるを得ない状況にある」といった実態が明らかになっております。
また、解雇までは行かなくとも、雇用を維持するためには、給与の削減や手当のカットなど、従業員の生活の切り下げに直結する厳しい対応をせざるを得なくなるとの声もあります。
体力の弱い下請企業等においては、影響が更に深刻なものとなることは容易に想像できるところであります。
また、南海トラフ巨大地震への備えの面でも、今後、避難路や避難施設の整備を促進し、併せて事前の防災・減災の観点から、河川や海岸の堤防の強化などの事業を速やかに進めていかなければなりません。今回の事態が、その進捗に影響を及ぼし、ひいては県民の命を守る安全・安心の確保の障害となることも心配されます。
談合は法令に違反する行為であって、決して許されるものではありません。地域の経済や雇用を支え、社会的にも大きな使命を負っている企業であれば尚更その責任は重く、こうした違法行為を長い期間にわたり行ってきたこと、また、その責任にふさわしい法令遵守の体質が根付いていなかったことは誠に遺憾であり、関係者には反省を促したいと思います。
ただ、一方で、そのことをもってしても、過酷な公共工事の現場で、日々汗を流して、県民の安全と安心を確保するために一生懸命に働いている多くの従業員など、談合とは何の関係もない方々の生活基盤が奪われることがあってはならないと考えます。
あの夏の炎天下の、ただ立っているだけでも倒れそうになるような、本当に過酷な現場で働いている方々の姿を思い出してください。
こうした方々の生活は守らねばなりません。
公正取引委員会の処分から2月余りが過ぎ、コンプライアンスの確立に向けた動きも見え始めました。
県の建設業協会においては、県からの改善計画提出の要請に応えて、11月14日、知事に「改善計画骨子」を提出し、現在、その内容の具体化に取りかかっています。年明け早々には、外部の有識者による倫理委員会を立ち上げる予定であり、協会自らの取り組みとしてコンプライアンス確立に向けた動きを始めております。
事業者においてもコンプライアンス確立に向けた「基本方針」を策定し、改善に向けた取り組みが進んでいると聞いております。
また、発注者の県においても、事業者からの聞き取りにより違反の背景や原因の分析を行うとともに、談合防止対策検討委員会での議論も踏まえて、再発防止策の策定に取り組んでおります。
こうした取り組みが、具体的に、目に見える形で動き始めれば、県の経済や雇用を守るために、請願にある「指名停止期間の短縮」についても、多くの県民の皆様のご理解を得ることができるものと確信するところであります。
本請願に反対の立場からは「現状では、談合の再発防止という面では何の担保もない。」とか、「指名停止期間短縮という前例を作ってしまえば、制度自体が形骸化してしまう。」とか、「談合をしても罰則は緩和されるという意識が業者側に出てしまうことは再発防止面から非常に危険だ。」といった意見もあります。
しかし、今回の請願は、指名停止期間短縮の前提として「コンプライアンスが確立した上は」との条件が付けられております。その意味するところは、「まずは、関係者が、今回の事態に至ったことをきちんと反省し、県民に対して謝罪すること。その上で、二度とこうした事態を引き起こさないための強い決意を表明し、その実現に向け、具体に実行すること」であり、あくまでも、業界全体としての「コンプライアンスの確立」が請願項目を実施する前提条件となっております。
こうした趣旨、本県のおかれた状況、さらには、本県を代表する経済団体からの、コンプライアンスの確立と経済雇用への悪影響の回避を両立させなければという、県全体のことを思っての請願であることを重く受け止め、本請願に賛成するものであります。
本県は、先ほども申し上げました南海トラフ巨大地震への備えや、遅れた社会資本の整備を着実に、かつスピード感をもって進めていかなければなりません。
そのためにも、一日も早く、県民の皆様の公共工事の入札に対する信頼回復が図られることを願わずにはいられません。
そうした思いも込めて、同僚議員各位のご賛同をお願いして賛成討論といたします。」