TPP交渉参加について

2月22日、安倍総理が訪米しオバマ大統領と共同声明を発表した。
その中で、TPP交渉参加ついて衆議院選挙で国民に約束した「聖域なき関税撤廃を前提とする限りTPP交渉には参加しない」という前提が崩れたと発言した。
これに対して農業団体から不安の声が上がっており、自民党高知県連にも高知県農協中央会から批判の声が届いたし、市町村長からも不安の声が私の元に届いた。
自民党では安倍総理に一任することは決まったが、まだ党の政務調査会で論議されており、2月27日に自民党政務調査会外交・経済連携調査会が「TPP交渉参加に関する決議」を行い安倍総理に申し入れたのでその全文を掲載する。

     TPP交渉に関する決議
                       自由民主党政務調査会
                       外交・経済連携調査会

1 先の日米首脳会談を受けて、依然としてTPP交渉参加に対して慎重な意見が党内に多く上がっている。
2 政府は交渉に参加するかどうか判断するに当たり、自由民主党における議論をしっかり受け止めるべきである。
3 その際、守り抜くべき国益を認知し、その上で仮に交渉参加の判断を行う場合は、それらの国益をどう守っていくのか、明確な方針を示すべきである。
4 守り抜くべき国益については別紙のとおり、確認する。
以上決議する。

       TPPに関して守り抜くべき国益

公約に記された6項目関連
1、農林水産品における関税
 米、麦、牛肉、乳製品、砂糖等の農林水産物の重要品目が、引き続き再生産可能となるよう除外又は再協議の対象となること。

2、自動車等の安全基準、環境基準、数値目標等
 自動車における排ガス規制、安全基準認証、税制、軽自動車優遇等の我が国固有の安全基準、環境基準等を損なわないこと及び自由貿易の理念に反する工業製品の数値目標は受け入れないこと。

3、国民皆保険、公的薬価制度
 公的な医療給付範囲を維持すること。医療機関経営への営利企業参入、混合診療の全面解禁を許さないこと。公的薬価算定の仕組みを改悪しないこと。

4、食の安全安心の基準
 残留農薬食品添加物の基準、遺伝子組換え食品の表示義務、輸入原材料の原産地表示、BSE基準等において、食の安全安心が損なわれないこと。

5、ISD条項
 国の主権を損なうようなISD条項は合意しないこと。

6、政府調達・金融サービス業
 政府調達及び、かんぽ、郵貯、共済等の金融サービス等のあり方については我が国の特性を踏まえること。

         ―党内議論において下記事項についても強い指摘があった―
医薬品の特許権著作権
 薬事政策の阻害につながる医薬品の特許権の保護強化や国際収支の悪化につながる著作権の保護強化等については合意しないこと。

事務所開設規制、資格相互承認等
 弁護士の事務所開設規制、医師・看護師・介護福祉士・エンジニア・建築家・公認会計士・税理士等の資格制度について我が国の特性を踏まえること。

漁業補助金
 漁業補助金等における国の政策決定権を維持すること。

メディア
 放送事業における外資規制、新聞・雑誌・書籍の再販制度や宅配については我が国の特性を踏まえること。

公営企業等と民間企業との競争条件
 公営企業等と民間企業との競争条件については、JT・NTT・NHK・JRをはじめ、我が国の特性を踏まえること。

以上が全文である。
なお、3月1日付で「外交・経済連携調査会」は発展的に拡大改組する形で「外交・経済連携推進本部」となり、本部長は引き続いて衛藤征士郎衆議院が就任した。