アメリカ旅行記H25 その2

11月20日(水)モニュメントバレー
7時起床、7時30分頃ホテルのレストランで朝食、バイキング形式で約千円だがパンとスクランブルエッグ、ベーコン、フルーツなどで日本ほど品数は多くない。
今日は乗馬をする予定だ、朝食後上林が時間を調べに行ったら、昨日行ったジョンフォード・ビューポイント近くの乗馬クラブの他にホテル近くにも乗馬クラブがあるという。
公園の中に降りると片道20分近くかかるので、近くの乗馬クラブで馬に乗りに行くことに決め、展望場所駐車場のそばにある受付に1時間のコースを申し込みに行った。
仕事に来たばかりの受付の男性インディアンに申し込むと、1時間の乗馬なら、中の乗馬クラブに行けと言われ、上林は130ドル(二人分)が惜しく無いのか、全くやる気のない連中だと憤慨しながら車で降りて行く。
17分で到着、景色も楽しめてかえって良かった。
ここが大正解、経営者であろう男性が馬囲いのすぐそばの家に夫婦で住んでいるらしく、
インディアンの夫婦が出て来て、1時間30分のコースにしてくれと言われてこれに決めた。
柵の中には40頭ほどの馬が飼葉を食ったり水を飲んでいる。


上林は米国で一度乗馬の経験があるという。
私は19歳の頃、鳥取砂丘で馬に乗せられたが、おじさんがクツワを持って数十メートルの円を歩いただけで乗馬と呼べるものではない。
上林が我々は初心者だというと、経営者はおとなしい馬を選ぶと言って、カウボーイが馬を捕まえる時に使う輪になったロープを持って策の中に入り馬を選ぶと馬の首にロープをかけて馬を外に出し、鞍を着ける、二頭とも茶色の馬である。
いかにもおとなしそうだ、でっかいウンコをした。

経営者が案内するのかと思ったら、若い男が出て来て白馬に鞍を付けた、彼が案内人のサルバドル君、我々に馬に乗れという。
私は人工股関節なので上手く跨がれるかどうかが一番の不安材料であったが、鞍を持って何とか這い上がり、跨ることができた。
はじめはここで挫折して乗馬を諦めざるを得ないかと心配していた。何せ両方の股関節が人工関節、今や3級身体障害者だ。
私は、最初は経営者が馬のくつわを持って一緒に歩いてくれるのかと思っていたが、サルバドル君は自分でさっさと馬に跨り、我々にも乗れと言っただけ、我々が馬に跨ると、1時間30分のコースかと上林に尋ね、我々に対して、手綱を緩め過ぎないようにとの注意と、動き始めは馬の腹を靴の両踵で蹴るということを教えただけで出発。

上林が別の場所で乗馬を経験したことがあり、右に行くには手綱の右手を引き、左へ行く時には左手を引く、止まるのは両手で手綱を引くということを私に教えてくれていたが、サルバドル君にとってはそんなことは誰でも知っていると思っているらしく何の指導もない。
それでも馬は歩き出したが、予想以上に鞍が固く尻が痛い、これで1時間半も持つのか早くも不安になった。
以前何かの本で乗馬のコツは体をリラックスして馬の動きに合わせることだと聞いていたので、それを実行する。
サルバドル君と上林の馬は前後に並んで歩くが、私の馬は常に5メートルほど遅れる。年をくってる馬だろうか。
上林が「中西馬を蹴れ」と言うので、軽く蹴ると馬が駆け足になり追いつくが、すぐにまた遅れる。

馬が駆け足をすると体が上下に揺られ、尻が浮き上がって鞍にガンガン当たるので痛い、これは長続きしないとまた不安になるが、不安感が馬に伝わると舐められそうなので笑ってごまかすが、かなり尻は痛いし、腹も痛い。
行きは車の通る道を歩く、初めの15分間は、これで90分馬に乗っていられるだろうかと不安で仕方なかったが、モニュメントバレー公園の中を馬に乗って歩くので景色は最高、気分も最高。
慣れてくると水を飲んだり、前を行く二人を写真撮影する余裕が出てきた。
時々前の二人を追って、馬の腹を蹴って早足にする。あぶみに乗せた足を突っ張ると少し尻の痛さもやわらぐ。
上林が私の乗馬姿を見ながら、中西は西部劇映画をよっぽど見ているようだ、初めてとは思えないような乗り方だとほめてくれる。
昨日行った四角い石のビューポイントの側でサルバドル君に記念写真を撮ってもらう。


ここからは普段は入れない道に入り、サルバドル君は両側が崖の幅40センチ程の狭い道をわざわざ登って降りる。
上林がサルバドル君に同じように登るのかと聞くと、彼は行けと言う。


馬が足を踏み外したら馬と一緒に4〜5メートル落ちて大怪我するだろう。ここはヤバイ、彼は下から平然と我々の写真を撮っている。
上林の馬がUターンしようとするが元に戻り、無事にここをクリアーしたがヒヤヒヤもんだった。
ここを下ると幅2mほどの小さな川があり、馬に水を飲ませる。サルバドル君がこの水は湧き水で塩水だと説明する。
上林は塩水を飲んで馬は大丈夫かと問い返す。馬は美味しそうに飲んでいる。
ここから道の無い砂漠を歩く、本当に楽しい。




結局1時間45分で元の場所に帰って来たが、追加料金もなく、一人70ドル(7千円)で本当に楽しい乗馬であった。
上林もモニュメントバレーは最高だという。
公園の反対側にあるグールディングホテルへ行く、ここはモニュメントバレーを西部劇映画の撮影場所として最初に国内に広めた場所で、景色も良い。
そばに小型機の滑走路があり、ラスベガスから遊覧飛行がある。

上林はモニュメントバレーを昼頃出発したいと言っていたが、ここを見学していたら、1時頃になった。
午後は雨になるという予想だったが途中で雨が降り出した、結構な雨だ。
グランドキャニオンの手前の土産屋はインディアンの民芸品が沢山あり、ベルトを買った。もっとゆっくり見たかったがトイレ休憩でおわった。
15:00グランドキャニオンの東の端にあるリーパン・ビューポイントに着いたが霧で全く対岸が見えない、ミルク壺の中にいるみたいだ。写真を撮っているとにわかに霧が晴れてきて、数分間だが対岸が見えた。


嘘みたいに数分間の晴れ間であった。
ビューポイントを東から西へ走る、ほとんどが霧に覆われて見えなかったが、二カ所でエルク鹿が見えた。

15時53分にグランドキャニオンを出て雨の中をラスベガスへ向けてひたすら走る。フーバーダムへ着く大分手前で日が落ちた。
車の中で、上林が今日の晩飯は何にするかと聞くので焼き魚が食いたいと言うと、彼も肉は食いたくないので和風の食堂に行こうという。
ホテルへ帰る前に中華街の「首席」という店へ行く、7時半頃だったと思う。以前来た事のある店だったが、経営者が代わっているという。
二人で塩サバの焼魚を注文した、一つ8ドル、高い、4ドルのサケ茶漬けも頼んだ、上林はご飯とキムチを注文した。
ビールとお茶漬け、ご飯とキムチはすぐ来たが、肝心の焼魚がちっとも来ない。
お茶漬けも塩味がちっとも効いていない、永谷園のお茶漬けの素を知らないのだろう。キムチも不味い。
客も少なく、上林が、これじゃ日本人客が離れるはずだと言う。
失敗の店選びであった。
ホテルへ帰ったのが8時半頃だったが、上林も7時間以上の運転に疲れ、休みたいというので本日はお開き。