「村上海賊の娘」を読んで

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この本の著者は和田竜氏、本屋大賞受賞作だそうだ。上巻下巻合わせて千ページにのぼる大作だ。

私は村上水軍の本拠地は香川県沖の塩飽諸島かと勘違いしていた。
現在の今治市沖のしまなみ海道に点在する、来島、能島、因島であった。
主人公は能島村上水軍村上武吉の娘・景(きょう)、小説の舞台は織田信長が大阪本願寺(現在の大阪城のあった所)を攻める話だ。
まだ、天下統一はなされておらず、武田信玄は死んだが上杉謙信が存命で、虎視眈々と信長を狙っている時代の話だ。
前半は体して面白くもないが、毛利家が大阪本願寺に味方して反織田勢力となっている。村上水軍は毛利家につくか、織田信長につくかの判断を迫られる。
大阪本願寺を巡って織田と毛利との攻防、木津川合戦が始まるのが上巻の後半からである。
本願寺派は和歌山の雑賀衆首領鈴木孫市毛利元就の三男・小早川隆景、その配下の乃美宗勝、毛利家の警固衆・児玉就英、能島村上家の村上武吉、長男の元吉、主人公である娘の景、来島村上家の村上吉継、因島村上家の村上吉充などであり、
これに対する織田方は、総大将の原田直政、準主人公ともいうべき和歌山の海賊・眞鍋七五三兵衛、泉州を束ねる触頭の沼間義晴、そして松浦安太夫、寺田又右衛門兄弟などである。
下巻の後半から景姫の活躍が始まる、最後の景姫と眞鍋七五三兵衛との対決は、斬り合いの描写は荒唐無稽ではあるが一挙に読める迫力がある。
史実に基づいて書いているそうだが、大変面白い小説であった。
私は、大学時代に中央大学少林寺拳法部OBの川野先輩が、私と同じ言葉を話しているのに気づき、この人は宿毛の出身かと思いきや、広島県呉市の出身であった。
この事実から判断して、村上水軍を通じて呉市周辺と宿毛市周辺の言葉が同じになったのではないかと今でも思っている。
今治周辺は少し違う言葉を話すのかも知れない、そうなるとよく分からない。