県議会最終日

台風一過の秋晴れの下、14日(火)午前10時から県議会の最終日、この日のメインは慰安婦問題の意見書の審議。

自民党は以下に掲載する意見書案を提出、加藤漠議員が提案理由の説明と共産党・塚地議員の質疑に対する答弁とを行った。

 「慰安婦問題」について適切な対応を求める意見書

 朝日新聞が記事を掲載したことに端を発する慰安婦問題は、「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話(以下、河野談話)」発表以後、日本国内のみならず、国連や米国内においても大々的に喧伝され続けている。その影響ははかり知れず、日本は多くの国益を失うとともに、国民の尊厳は不当に貶められ続けている。

 かかる中、河野談話作成時の事務方責任者であった石原信雄元官房副長官衆議院予算委員会での証言が契機となり、「河野談話作成過程等に関する検討チーム」が設置され、「慰安婦問題をめぐる日韓間のやりとりの経緯(以下、慰安婦問題の経緯)」が公表されるに至った。

 さらには、朝日新聞は、本問題の根幹をなす慰安婦報道について、根拠とした証言が虚偽であったことを認め、記事の取り消しと謝罪を行った。

 以上より、朝日新聞の報道の虚偽と「河野談話」の作成過程に問題のあったことが明らかになった今、日本の国益と国民の名誉を回復するために、以下の項目について可及的速やかに対策を講じるよう強く求める。

  1. 日本と日本人の尊厳を回復させるべく、これまでに確認された事実や新たに明らかになった研究成果に基づき、未来志向の新たな談話を発表すること
  2. 慰安婦問題の経緯」で確認された事実に基づいて、同問題についての正確な理解を促すための広報等の取組を、国内に対して行うこと
  3. すべての検定教科書において、「慰安婦問題」に関する教科書記述について適切な表現がなされているか、至急厳正なる検証を行うこと

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

 平成26年10月2日

自由民主党 提出

衆議院議長殿

 次に提案理由の説明を掲載する。

慰安婦問題」について適正な対応を求める意見書

提出者:加藤漠

 私は、ただいま議題となりました議発第13号、「慰安婦問題について適切な対応を求める意見書議案」について、自由民主党を代表して提出者の説明を行います。

 今年の8月5日、朝日新聞が「慰安婦問題」について、報道記事が虚偽であったことを認め、謝罪をいたしました。朝日新聞が初めてこの件を報道したのは昭和57年9月であり、32年が経過しての訂正となりました。このことによって、朝日新聞がこれまで報道し続けた「若い韓国人女性を無理やり人さらいのように強制連行して慰安婦にした」という吉田清治氏の発言が虚偽だという事。そして、女子挺身隊として工場などで働いていた女性をあたかも慰安婦であるとして報道した事の誤りを認めました。

 現在、この「慰安婦問題」は、日本と韓国の間で最大の懸案事項となっております。また、日韓での問題にとどまらず、日本に対して事実と異なる、誤ったイメージが世界中に広がっています。最近では、アメリカにおいてカリフォルニア州グレンデール市の公園に慰安婦の像が設置されたことは記憶に新しいところです。こういった慰安婦の像や石碑はアメリカや韓国を中心に数か所に渡って設置され、そこには「20万人以上の女性が日本軍に誘拐された」「性奴隷にされた」という説明文が書かれています。さらには、国連人権委員会からは日本政府が奴隷狩りのように女性を「慰安婦」として連行したとの報告がなされており、また、アメリカやヨーロッパ等では日本政府に対して謝罪や賠償を求める決議がされています。これら以外にも、「慰安婦問題」に「性奴隷」という言葉を意図的に絡めて、あたかも日本が性犯罪国家のようにみなされているのが現状であります。日本の名誉を不当に貶める活動が行われている状況。これは、かつてない深刻な事態であります。

 今回提出させていただきました、本意見書は、このような状況を受けて「慰安婦問題」、特に、世界に広まっている日本に対する誤った認識、いわれなき非難に対して、政府に毅然とした対応を求めるものであります。

 なぜ、このような誤ったイメージが広がっているのか。その大きな根拠は、平成5年、当時の河野洋平内閣官房長官が発表した「河野談話」であります。

 河野談話は、「慰安婦問題」についての調査結果がまとめられたもので、元慰安婦の方々に対するお詫びと反省の気持ち、そして同じ過ちを繰り返さないという決意を表明しています。

 談話の中では、慰安婦の募集についても触れております。軍が慰安婦の募集についての直接関与があったことについては否定をしておりませんが、その文章には強制連行があったという事は全く書かれておりません。

 しかし、河野元官房長官は、談話を発表した直後の記者会見で、強制連行の事実があったという認識で良いのかという記者からの質問に対して、「そういう事実があったと。結構です。」と応じてしまっています。

 この、記者会見での発言と河野談話が合わさることで、日本政府が軍による強制連行を認めているという、事実と異なる、誤ったイメージが広がっているのであります。

 しかし、この河野談話については、衆議院予算委員会において、当時の責任者であった石原信雄元官房副長官がその過程について発言されました。これを受けて、今年の6月に政府の検討チームによって作成過程に関する報告書が取りまとめられました。

 この報告書によると、談話作成時に日本と韓国側とで文章の調整を行っていたこと、元慰安婦とされた女性への聞き取り調査では、聞き取り後の裏付け調査を行わなかったことなどが明記されております。さらに、日韓両政府が文言調整の事実を非公表にするとしていたことも明らかになっています。

 つまり、今回の検討によって河野談話は日韓両政府の合作であり、最終的には日本政府が韓国政府の要望に対して、譲歩に譲歩を重ねた、いわば「政治的なすり合わせの産物」であった事が改めて明らかになったのであります。

 また、特に問題となっている軍による強制連行に関しては、「裏付ける資料は発見されていない」と明確に記載されています。

 このことは、河野氏自身も認めており、客観的な資料はなく、当時十六人の元韓国人慰安婦の証言を聴いて、その証言が「強制」の決め手になったという趣旨の発言をされています。

さらに、平成19年には政府によって「強制連行を行ったことを示すような資料は見当たらなかった」という答弁書を改めて閣議決定しています。

 こうしたこれまでの経緯を踏まえれば、世界中で広められているような、軍による強制連行の存在を裏づける資料はこれまでも一貫して出てきていないということであり、これはまさに揺るぎない事実であります。

 確かに、過去の悲惨な戦争の時代にあって、多くの女性が慰安婦制度のもとで筆舌に尽くしがたい、大変なご苦労をなされたことについては、その悲しい現実に心が痛みますし、深甚な思いを馳せたいと思います。当然、現在の我々の価値観からすれば、慰安婦制度自体は到底認められるべきではなく、女性の人権侵害は断じて許されるものではありません。

 しかし、その一方で、冒頭でも申し上げましたように、事実とは異なる、いわれなき非難に対しては断固として対応をしていかなくてはなりません。まして、その大きな原因となっている河野談話について新たな検証結果が出てきた以上、事実に基づいて日本の名誉を取り戻すべく行動を起こしていくことは当然であります。

 そのため、本意見書では、まず、新たに明らかになった政府の検証結果等を踏まえて、「未来志向の新たな談話」を発表することといたしました。

さらには、日本国民の「知る権利」に応えるべく、正しい歴史認識を周知するための政府広報を推進するとともに、将来の日本を担う子供たちの教科書が、きちんとした史実に基づいて作成されることを政府および関係機関に強く求めるものであります。

 同僚議員の皆様のご賛同を心からお願い申し上げ、本意見書の提案説明といたします。宜しくお願いいたします。

以上が提案理由の説明であるが、吉田清治証言と河野談話の関連性についての部分が若干弱かった。

我々は、河野談話を出す原因となった韓国政府の圧力の元になったのが吉田証言であるということを問題にしているのである。

それは、平成4年7月(河野談話の1年前)に韓国政府が発表した『日帝下軍隊慰安婦実態調査中間報告』である。

この韓国政府の報告書が慰安婦募集の方法について書いているところは、元慰安婦聞き書きを根拠にしていない。おそらく彼女達の証言は矛盾が多すぎて根拠にはできないと思ったのではなかろうか。その代わりに根拠として採用されているのは、千田夏光吉田清治の本だ。特に吉田証言は本文の中に引用して、アフリカの黒人奴隷狩りのような手法で慰安婦狩りをした、というふうに書いている。韓国政府の「慰安婦」認識はあくまでもこの吉田証言の線なのである。

なお、採決は自民党高橋徹県議の賛成で可決された。他会派は賛成しなかった。