二冊のいい本に出会った

一冊目は「英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄」(祥伝社員新書)という本で、著者はヘンリー・S・ストークス氏、イギリス人で滞日50年、「フィナンシャル・タイムズ」「ロンドン・タイムズ」「「ニューヨーク・タイムズ」の各東京支局長を歴任し、三島由紀夫とも親交を結んだ英国人大物記者、と紹介されている。奥様も日本人でこの方が傑物であろうと推測する。

この本は新聞か月刊誌の書評で見て、宿毛の書店で購入した。昨年12月に初版が発行され、3月20日で第10刷発行となっているので売れているのであろう。
内容はこれまで日本人が書いてきたことが多いが、英国人の記者が書いたことに意義がある。
私がこれまで主張し、同調できる文が沢山あったが一部を紹介する。
まず、日本のアジア侵略についてである。
「日本がアジア植民地を侵略したのは、悪いことだったろうか。侵略が悪いことなら、世界史で、アジア、アフリカ、オーストラリア、北米、南米を侵略してきたのは、西洋諸国だ。しかし、今日まで、西洋諸国がそうした侵略を謝罪したことはない。
どうして、日本だけが欧米の植民地を侵略したことを、謝罪しなければならないのか。東京裁判では、「世界で侵略戦争をしたのは、どちらだったか」ということに目を瞑って、日本を裁いた。
それは侵略戦争が悪いからではなく、「有色人種が、白人様の領地を侵略した」からだった。白人が有色人種を侵略するのは『文明化』で、劣っている有色人種が白人を侵略するのは『犯罪』であり、神の意向に逆らう『罪』であると、正当化した。」(P39)
その通りである。
次にユダヤ人と日本人の比較である。私は以前パレスチナ問題を調べていて、旧約聖書を理解しなければこの問題が理解できないと言われて読んで見たが、ユダヤ人の考え方は日本人と随分違うなと感じていたが、この本では以下のように書いてある。
「だが、日本人もユダヤ人と同じように、キリスト教徒から蔑まされてきたという点では共通する。
それは優秀な民族だからだ。日本が日露戦争では白人のロシア帝国に対して勝ち、大東亜戦争では数百年にわたってアジアを支配していた西洋人を、あっという間に追っ払ってしまった。戦後は敗戦から瞬く間に復興を遂げ、"ジャパン・アズ・ナンバーワン"と言われる世界第二の経済大国の地位まで昇った。今日も先進国首脳会議で、唯一の非白人国家である。
日本は他のアジア諸国と違う。優れた民族だ。ユダヤ人と日本人はよく似ている。どちらも優秀だから、他の民族から嫉妬され、批判にさらされる。」(P200)
また、最近の日本と韓国、中国との関係悪化についてはこう書かれている。
「日韓、日中関係を歪めてきたのは、日本が卑屈になって、両国に不必要に腰を絡めてきたことが原因だ。
日本はこれほど古い歴史、独自の精神を持っていたはずなのに、アメリカによってすっかり骨抜きにされてしまった。」(P232)
「日本の立場が海外で理解されないのは、日本が効果的な発信をしていないからだ。日本の主張が、英語で発信されてこなかったことが大きい。そのかわりに、村山首相談話のような謝罪が行われてきた。これでは全く逆効果だった。」(P242)
その通りだと思う。
また、私はマスコミの報道姿勢についてこのブログで何度か批判したが、このベテラン記者はこう書いている。
「私は報道の世界に魅力を感じ、その世界に入った。この世界で真実を報道するのは、実に難しい。」(P236)
高校生の時に、将来の夢は新聞記者になることと思っていた私にとっては衝撃的な文章であった。
次にアメリカの原爆投下に対する見解である。
「アメリカも原爆投下を、正当化してきた。原爆投下が戦争を早期に終結させ、多くの人命が救われたというのは嘘だ。戦争を早く終結するために、原爆を用いる必要は全くなかった。
日本側にもおかしいことがある。どうして原爆を落とされた側が、「過ちは二度とおかしません」と誓わなくてはならないのか。謝罪すべきは、アメリカだ。東京裁判でのアメリカ人弁護士が抗弁したように、裁かれるべきは、アメリカだった。アメリカが原爆投下について、謝罪したことはない。
米国上院外交防衛委員会などでのマッカーサーの発言は、東京裁判が不正だったことを、マッカーサー本人が認めたものだ。
マッカーサー朝鮮戦争を戦って、初めて日本が自衛戦争を戦ったことに、気づかされた。日本の主張が正しかったことがわかった。」(P237)
アメリカ人弁護士がアメリカの原爆投下に意を唱えた事はあまり知られていないのではなかろうか。
次に現在憲法改正手続法が改正され、論議が続いているが著者はこう書いている。
日本国憲法前文の英文がある。占領下で憲法を強いたのは、国際法違反だ。マッカーサーはわずか1週間で憲法を作った。その作業にあたったスタッフには、憲法の専門家がいなかった。国連憲章などを参考にして、作文した。
日本国憲法は日本を弱体化し、二度と戦争を起こすことができない国にする降伏条約だ。憲法の前文は日本を絶対に再びアメリカに対して戦えない国として、誓約させた意図が、ありありだ。」(P238)
私はこの背景には、昭和19年9月に始まり、米国海兵隊第1大隊が一週間で日本軍守備隊によって全滅させられたパラオ諸島ペリリュー島の戦い、日本人戦死者約2万人対して、米軍の戦死傷者約2万9千人をだした硫黄島の戦い、そして日本の神風特攻隊によって、戦争神経症患者2万6千人をだした沖縄の戦いがあったと、ブログでも何度か書き、各団体の会の挨拶でも述べてきた。
そして著者は続けてこう書いてある
「日本は自国の歴史と伝統の上に立って、自主憲法を制定し、国軍を持つべきだ。日本がそれなくして独立国家となることなど、あり得ないことだ。しかし今日の多くの日本人が、それなしでもあり得ると思ってる。しかしそれは、あり得ない、のだ。」(P240)
最後に、私が9年前?にこのブログを書き始めた時に、ブログを作って頂いた角田女史が、私が「大東亜戦争」という言葉を使うことに違和感がある、誤解されるとアドバイスされた。私はその時、角田女史に、我々が戦後教育で教えられた「太平洋戦争」はアメリカの歴史観だと話した。
この本には「日本が大東亜戦争を戦ったことによって、大英帝国が滅びた。日本が大東亜戦争を戦わなかったら、今でもアジア諸民族が、イギリスやフランス、オランダ、アメリカの支配を受けていた。・・・
日本が戦争を戦った真実を把握するには、「大アジア」を戦場として、アジア諸民族を搾取する植民地支配者であった欧米諸国と戦い、アジアを開放した「大東亜戦争史観」をもって見る必要がある。
アジアを蹂躙し、植民地支配をしたアメリカも、ヨーロッパ諸国も、「大東亜戦争史観」という観点から歴史を見られることだけは、決定的にまずい。日本が「太平洋戦争」を戦ったことにしておきたいのだ。」(P242)と書いてある。
滅ぼされた大英帝国の首相であったチャーチルは生涯日本を敵視した。そして、四十数年前からストークス氏と同様な主張していた私達は右翼と言われた。

二冊目は学生時代の同士であり友人であり、作家である山平重樹君が送ってくれた、広島ヤクザ抗争を描いた映画「仁義なき戦い」の本、「心を奮い立たせる『仁義なき戦い』の名セリフ」(双葉新書)である。
同封の山平君の手紙には「この映画が好きだった中西先輩を思い浮かべながら書きました。」と書いてあった。
我々の少し上の全共闘世代には、高倉健主演の東映任侠映画が大人気で、主題歌の唐獅子牡丹がよく歌われたという、三島由紀夫氏もこの歌をよく歌っていたと聞いた。
私達の大学生時代は「仁義なき戦い」を見て感動した、この本は数時間で一挙に読んでしまった。無茶苦茶面白い。
この映画は今でもレンタルショップで大人気だという、是非この本を買って読んで下さい。

written by iHatenaSync