安倍総理の安全保障関連法案の記者会見

安倍総理は、本日安全保障関連法案を閣議決定し、午後6時から記者会見を行った。
記者会見の態度は自信にあふれており、日本を侵略させないという決意が感じられた。
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[この写真は2月の自民党全国幹事長会議です]
日本の防衛はこれまでは米軍に頼り切って任せていたが、これからはそれが出来なくなり、応分の責任を分担するということだ。
記者からの質問を聞いていて、全く出なかったのが、集団的自衛権の行使についての自衛官の行動基準に、ポジティブ・リスト方式と、ネガティブ・リスト方式があるが、それについての質問である。
軍事アナリスト小川和久さんの書いた「日本人が知らない集団的自衛権」(文春新書)で、元陸上幕僚長の富沢暉さんが、隊友会の機関紙「隊友」に掲載した論考を紹介している。
「日本のように、『これは出来るのでやっても良い』という項目を上げることをポジティブ・リスト方式と言うが、集団的自衛権を持ちその権利を行使できることは、世界各国共通のものなのだから『これだけはやってはいけない』というネガティブ・リスト方式で決めて欲しい」「またこうした軍事に絡む問題提起にあたっては、問題そのものの妥当性を、軍事を知る者に相談して欲しいと思う」これが自衛官の本音であろう。
そして、小川氏は「日本の政治家・官僚・学者・マスコミは気づいていないようですか、実を言えば、この『ポジティブ・リスト』は相手に日本側が『できること』、つまり手の内をさらけ出し、『どうぞ裏をかいてください。私たちはリストにあること以外はできませんから』と言外に表明しているという点で、『売国的』とさえ言えるほどの拙劣な考え方のです。」(P124〜125)と書いてある。
私は、以前から敵国の軍人はこの通りに考えるのではないかと心配している。
これでは抑止力にならないではないか。
また私は、別の海上自衛隊幹部OBから、ドイツなどの大陸法の考え方をとる軍はポジティブ・リスト方式をとることが多く、一方、英国や米国など英米法の考え方をとる軍はネガティブ・リスト方式をとる、と教わった。
この方は、総論としてネガティブ・リスト方式を採用した上で、各論をポジティブ・リスト方式をとることが日本の自衛隊には合っているのではないかとおっしゃっていた。
戦闘は先手必勝だ。
今の法案では隊員が安心して任務につけないのではないかと心配している。
また、記者の質問が、これまで自衛官が訓練、災害等で殉職者が出ていないかのようなことを前提にした質問があり、安倍総理から自衛隊創設以来1,800名もの殉職者が出ていると指摘されていた。
何より、安倍総理が冒頭で、中国や北朝鮮のミサイルが日本に向けられていることや、ロシア軍機、中国軍機に対するスクランブルが大幅に増えている話をしたが、それらについての質問は全く出ない。
記者もそうだが、首相官邸の近くで反対運動をしている人達のインタビューを聞いてもその危機感は全く感じられない。
まあ、あの人達は意図的に目をつむっているのだから仕方のないことか。
しかし、大多数の国民はそうではないだろう。