角田隆将「奇跡の歌」

高知県出身の門田隆将さんが、ペギー葉山さんが歌って大ヒットした「南国土佐を後にして」の元歌の由来と、ペギー葉山さんがこの歌を歌う事になった由来を書いた力作である。

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私は、「南国土佐を後にして」が、高知市で編成された日本陸軍の連隊で作られた歌であることは知っていた。しかし、それは明治36年(1903年)高知市で最初に編成され、旧満州へ派遣された第44連隊で作られた歌だと思っていた。

ところが、門田さんがこの本を書き、出版直前の先月頃、高知新聞の特集記事で、この歌は昭和14年に高知市で編成された第236連隊(通称鯨部隊)の兵士が作り、歌い継がれた歌である事を初めて知った。

門田さんは、その経緯について連隊の生存者に丹念に取材している。

第236連隊はその後中支へ派遣され、桂林にも行った事は聞いており、私の故郷からもこの連隊に配属された方がいた。

また、ペギー葉山さんがこの歌を歌う事になった経緯についても、本人に対する長時間のインタビューで詳しく書かれている。

3年前の関東高知県人会で、ペギー葉山さんが「南国土佐を後にして」を歌われた。

生で聞いたのは二度目だったと思うが、お年を感じさせない素晴らしい声と迫力であった。

ただこの時は宴もたけなわの時で会場も騒々しくなっており、私は最前列で岩城副知事と「もっと静かに聞いてくれたらなァ、ペギーさんに失礼だ」と話しながら聞いた。

今年、ペギー葉山さんの訃報を聞き、あの時会場にいた方達がもっと静かにペギーさんの歌を聞いてあげればよかったのにと、改めて思った。

門田さんの力作です、一読をお勧めします。