再び「葉室麟」の小説など

年末から正月にかけて久しぶりにまとまって本が読めた。

葉室麟氏が亡くなってから、葉室氏の書いた武士の小説に凝った。「蜩の記」は本だけでは飽き足らず、女房の勧める映画もDVDを借りて見た、役所広司岡田准一が良い演技をしていた。その他「潮鳴り」「散り椿」「川あかり」「秋月記」など立て続けに読んだ。

元々時代小説は、池波正太郎の「鬼平犯科帳」「剣客商売」「仕掛人・藤枝梅安」などのシリーズ物、藤沢周平の時代小説など、結構好きで読んではいたが、葉室麟氏の小説にはまって江戸時代に生きた武士の生き方を考えさせられた。

この他、以前読んだ本を再度引き出して読んでみた。これもまた再発見がある。

政治関係では「人生を逆転させた男 高橋是清津本陽(PHP文芸文庫)が非常に感銘を受け、2度読み返した。

とりわけ、日露戦争の最中、戦費を工面する為に高橋がアメリカ、イギリスなどを訪問して日本の国債を苦労して売った話は、概要は知っていたが、詳しい内容はこの本を読んで初めて知った。

高橋是清は2.26事件で青年将校に殺された。

私はこれまで青年将校を評価していたが、この本を読むと、国家経済にうとい軍人が偏った思想家から扇動されて政治に関わると、国の方向を誤る危険がある事がよく分かる。

ただ、当時の状況は青年将校に限らず、統制経済を主張する政治家も数多くいたので、青年将校だけが悪いのではない。彼らが純粋に国を憂いて行動した事は間違いないと思う。そして、青年将校達が理想としていた我が国のあり方の一部は、昭和20年の敗戦後、占領軍によって実現されたとの見方もある。

空手家でもある今野敏の、沖縄空手家を題材にした小説も興味深かった。

「武士猿」は本部朝基、「チャンミーグワー」は喜屋武朝徳がモデルで明治末期から昭和20年頃までの話だ。

沖縄には今でも独特の稽古を続けている空手家がたくさんいる。

空手の型には棒やサイ、ヌンチャクなどの武器を使った動作がある事は知っていたが、この本を読んで、歳も考えずに棒やヌンチャクを振り回し、筋肉痛を起こした。

毎日、鍬の柄を竹刀の素振りのように振る運動を続けているのだが、棒は使う筋肉が違った。

女房が呆れた顔で私を見つめていた。