航空自衛隊那覇基地視察その2

昨日、第9航空団司令 兼 那覇基地司令の稲月秀正空将補を訪問した事を書いた、その続きを記す。

(写真は自衛隊員に撮ってもらった物がまだ届いてないので後日掲載します。)

今回の視察目的は、中国空軍の活動が活発になり、那覇基地からのスクランブル発進の回数が急増した為に、戦闘機パイロットの訓練時間が取りにくくなり、練度の低下が懸念されていること。

F15戦闘機の使用頻度が高い為に整備が不十分となり、稼動率が落ちているのではと懸念されている事など、現場に行って声を聞いてほしいとの話が戦闘機パイロットのOBからあり、出向いたものです。

稲月司令の説明によると、第9航空団は南西航空方面隊(上ノ谷寛司令官)の傘下にあり、南西航空方面隊は昨年、南西航空混成団から格上げになった。

奄美大島南部から920キロ× 780キロの担任区域を持っている。
南西航空方面隊傘下にはレーザーサイトなどを管轄する南西航空警戒管制団があり、第53警戒隊(宮古島)、第54警戒隊(久米島)、第55警戒隊(沖永良部島)、第56警戒隊(沖縄与座岳)がある。

また、対空ミサイル部隊の第5高射群は、第16高射隊(知念)、第17高射隊(那覇)、第18高射隊(知念)、第19高射隊(恩納)があり、PAC2(対航空機用)、PAC3(対弾道ミサイル用)ミサイルを装備している。

那覇基地の隊員は4千名との事。
F15戦闘機は第204、第304飛行隊に各20機ずつ計40機が配備されているが、平成25年からスクランブル発進が急激に増えており、平成29年は851回を数えた。

スクランブル発進に備えて、5分間で離陸できる5分間待機が2機、10分間待機が2機の常時4機が待機している。

以下に戦闘機パイロットや整備員などとの意見交換会で聞いた話の一部を紹介します。
・F15戦闘機部隊の隊員の士気は高い
パイロットは8時から17時まで午前午後と戦闘訓練を行い、週数回は夜間訓練を行っている。
防衛省は、戦闘機の訓練の為、全国的に他の飛行隊と交代する工夫をしてくれている。
・定期点検の期間が長い。

などの説明を受けた。

また、戦闘機を誘導する役目のE2- C早期警戒機についても飛行隊長・假屋薫2等空佐、レーダー員・勝占(かつら)3等空佐から話を聞いた。
第603飛行隊は青森県三沢基地にE2- C早期警戒機が13機配備されており、4年前からそのうちの3機が那覇基地で活動している。

青森県三沢基地にあるのは、以前はソ連、ロシアが日本の脅威であったからだ。
E2- Cは、元々米海軍空母の艦載機だ、三十四年前に日本に配備されており、古くなっている為、稼動率が非常に低い。
那覇基地では1機が24時間待機勤務、予備が1機待機の体制である。
昨日写真を載せたが、三十四年前に配備された機体とは思えないほどピカピカに整備されている。

假屋2佐の話では、見学に来る方は新品の飛行機と見間違うという。

これをみても自衛隊員の質の高さが伺える。

私は、正操縦士席に座らせてもらって假屋2佐の説明を受けていて、ふと左前の黒い灰皿らしき物が目に留まり「これは何ですか」と訪ねた。「灰皿です、この飛行機はFMS調達なので、灰皿も取り外せません。」との事、笑ってしまった。

昔は旅客機の中でもタバコが吸えた。軍用機の中でもタバコを吸っていたようだ。

FMS調達は航空自衛隊の新戦闘機であるF35Aの調達や新型空対艦ミサイルの調達などで再度注目を浴びているが、フォーリン・ミリタリー・セールスの略語だ。

F15戦闘機などのようにライセンス生産であれば、改良する事が出来る。しかし、FMS調達の場合は相手国の許可がなければ出来ない。許可を得るのはまず無理のようだ。

F35戦闘機の場合は整備も全て米国主導で行う。

それらがFMS調達の問題点だ。

兵器部門でこの調達方法を広めると、航空機で約1400社ある日本の航空機産業は急減する恐れがある。
那覇基地にはその他に、海上自衛隊の第5航空隊が対潜哨戒機P3- Cを20機配備して警戒任務についている。

今回の視察は大変勉強になった。

F15戦闘機もE2- C早期警戒機も、部品の調達が遅い為に飛行できないということがあるそうだ。

これらは、3年ほど前から、FMS調達のF35戦闘機の予算が急増した事が原因で、整備費の予算を圧迫しているとの話がある。今後詳しく調査する必要があると考えている。