MMT現代貨幣論の勉強会

5月15日(水)安藤裕衆議院議員が主催する「日本の未来を考える勉強会」があり、今回は京都大学大学院教授の藤井聡先生が「MMTの真実、日本経済と現代貨幣理論」と題する講演会を行なった。

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4月22日(月)にも評論家の中野剛志先生のMMT(Modern Monetary Theory モダン・マネタリー・セオリー)の講演会があった。

この勉強会では同様のテーマで一昨年、昨年と開催されており、これで3回目だそうだ。

MMT現代貨幣理論は、財政赤字をいくらでも容認する理論であるかのように財務省から解説されて、特異な理論として強い反発を受けている。

しかし、それは大きな誤解だ。

日本では中野剛志先生や京都大学大学院教授の藤井聡先生などが以前から解説してきたそうだが、新しい理論でも何でもない、以前からある理論だそうだ。

4月4日の参議院決算委員会で西田昌司議員が、麻生大臣に対してこの理論で論争を挑み、聞き応えがあった。

私は、その時はまだよく理解が出来ていなかった。

西田議員の理論は中野剛志先生の主張と同様なもので、西田議員は昨年11月に「財務省からアベノミクスを救う」(産経新聞出版)という素晴らしい本を出されており、

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この本の中でも中野剛志先生の著書「富国と強兵」(東洋経済新報社)と「日本の没落」(幻冬舎新書)を紹介している。

また、最近、中野剛志先生が「奇跡の経済教室」(KKベストセラーズ)を出版された。

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中野先生によると、これ以上やさしくは書けない、との事で非常に分かり易い本だ。

このブログを読んだ方は是非読んで頂きたいが、この本によると「貨幣とは負債の一形式であり、経済において交換手段として受け入れられた特殊な負債である。」という事だ。

この文章はイングランド銀行の季刊誌(2014年春号)に掲載されている文章だそうだ。

この学説を「信用貨幣論」といい、これに対して、貨幣の価値は、貴金属のような有価物に裏付けられているとする学説を「商品貨幣論」といい、かつての金本位制はこの商品貨幣論に基づいた制度である。

今日の藤井聡先生の講義は、MMT現代貨幣理論の政策的定義については、国債発行に基づく政府支出がインフレ率に影響すると言う事実を踏まえつつ、『税収』ではなく『インフレ率』に基づいて財政支出を調整すべきだという、新たな財政規律を主張する経済理論である。

また、その理論的定義としては貨幣は『負債』であるという社会科学的事実と、中央銀行と政府を持つ現代の近代国家における貨幣をめぐる諸制度の現実を踏まえつつ、国民の幸福に資する財政・金融政策を考える経済理論である。

また、「政府は自国通貨建ての借金で破綻することなど考えられない」という部分は、米国の格付け会社が、日本国債の格付けを落とした時に、財務省が反論として2003年にホームページに載せた公式見解である。

麻生財務大臣は、政府が新規国債を発行しても国債金利は上がっていない、との答弁を何度も行い、その理由については、個人金融資産残高が大きいなどいくつか考えられる、との答弁をされている。

財務省は以前から、国債発行残高が増えすぎると国債金利が高騰すると言い続けてきた。

しかし、今のところ国債金利は上がっていない。

この点について藤井聡先生は、MMT現代貨幣理論は主流派経済学の盲点となる事実、すなわち国債の新規発行は金利高騰をもたらさないということを証明した。

例えば1億円の国債の新規発行と政府支出は、日銀においては銀行当座預金は変わらない。だから金利高騰はない。

市場においては、1億円の資金供給を意味する。

金利はインフレ/経済成長によって資金需要が拡大して初めて上がるので、政府はGDP成長率が2%〜4%になるようにコントロールすべきだという事である。

今は、財政出動をしてデフレから脱却する政策をとるべきであり、消費税増税をするとデフレから脱却出来なくなる。