日本の農業の先行き

私の家の近く、宿毛市の中心地で散歩のついでに1年ぶりに収穫前の稲の様子を見た。

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上の写真の田は手入れがされておらず、稲より高い草が生えており、このような田はかなりある。

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こちらの田は病気なのだろうか、色が変わっている。このような田も結構ある。

稲を作る農業者の高齢化で手入れが出来ないのであろう、今年は荒れている田が多い。

高知県の米は新潟県秋田県の米どころと比べて品質が落ちるそうだ。

7月に収穫する早場米は値段が高く売れるので、そこそこ作り甲斐があると聞いた。

今収穫期を迎える米はヒノヒカリが多く、9月は米の端境期でそこそこの値段で売れるので、高知県の米作りはヒノヒカリを奨励するのが良いと、専門家から聞いた事がある。

教員をやっていた私の友人が、退職後、嫁さんの実家の米作りを手伝い始めた頃、義父と一緒にトラクターに乗っていると、義父の知り合いから「そちらの若い衆は誰かね?」と聞かれ、農業者の高齢化を嘆いていたが、あれから7年経った。

専業農家で頑張っている若者も少しずつ増えてはいる。しかし、高齢化と廃業は止まらない。

私は最近、食料自給率を向上させる為に何が不足しているかの調査を始めた。

参議院比例区で農協の代表として出ている藤木眞也議員からも教えてもらった。

藤木議員は熊本県益城町のJAかみましきの元組合長、地元で肉用牛を中心に飼育している大規模農家だ、「黒樺牛」というブランドで売っている藤木牧場の牛肉は大変美味しい。

米と小麦も作っていると聞き、教えを請うた。

まずは、日本の農業自給率が上がらない原因の一つである家畜の飼料の問題である。

農林水産省の職員に聞いた。

日本の飼料の需要量は、近年は2,400万TDNトン前後で推移しており、平成29年度概算においては2,460万TDNトン(対前年度比3.3 %増)
平成29年度の国内飼料の供給量は650万TD Nトン、自給率26%、2025年度に純国内産飼料自給率を40%にする目標を設定している。

海外から輸入した飼料で育てた家畜は自給率にカウントされないので、自給率向上に貢献しない。

この為、国が米作り農家に進めているのが飼料用米作りである。

平成29年の国内飼料用米生産量は年間50万トン、平成30年は43万トンに減った。これをいかに増やすかが課題だ。
海外から輸入される飼料の中心はトウモロコシだ、輸入トウモロコシの値段は約30円/kg、国内飼料用米もほぼ同じ値段だが、輸入量は年間約11,00万トンと桁違いに多い。
国内飼料用米を増やす為には、反収入の増加、品種改良、保管方法など様々なハードルがある。

何よりも米作り農家が高齢化により減少が進んでいる事である。
農林水産省のデーターによると、食用米の国内消費量は年間約720〜730万トン、生産量は年間約730万万トンで、在庫が年間約180〜200万トンだ。

食用米の国内消費量が増える見込みは薄い。中国への輸出増の可能性は高いが、量がどれだけ増えるのか。

また、藤木議員から、熊本では米の裏作に小麦を作っている事も聞いた。11月に植えて翌年の5月に収穫するのだそうだ。

米と小麦の収穫で田の活用と収入確保に繋がり、JAかみましきに見学に来る農業者は多いと聞いた。

高知県は小麦の収穫が極端に少ないので、高知県農業振興部を訪ねて状況を聞いた。高知県は収穫期の4〜5月の降雨量が熊本県の2倍あり、栽培出来ないそうだ。

小麦についてはまたの機会に書きます。