懲りない財務省(追記)

昨日、財務省のホームページで資料を探していたら下の写真の資料があった。公債残高の表である。

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令和元年度末公債残高、約897兆円(見込み)
国民1人当たり約713万円、
4人家族で約2,852万円と書いてある。

「借金」とは書いていないが、あたかも、借金があるかのようなイメージ操作をしており、国会議員もそう信じている方が相当いる。

自民党が政権復帰して半年後、平成25年(2013年)7月の参議院議員選挙の応援に、麻生太郎財務大臣高知県へ選挙応援の為来られた。

当時、高知県議で自民党高知県連幹事長であった私は、終日麻生大臣のご案内をした。

麻生大臣は街頭、屋内を含めて10箇所ほどで応援演説を行なった。

その中で必ず話された事は、「マスコミの皆さんは、国債発行残高の説明で、国民一人当たり数百万円(7百万円台であったか)の借金があると言うが、それは間違いである。借金をしてるのは政府であって国民ではない。国民は政府に対して債権者である。もう、間違った情報発信はやめてもらわねばならない。」と。

大まかに言えば、国民が銀行へ預けた預貯金で銀行は国債を購入する、債権者であるとはそういう意味だ。

しかも、財務省によれば、日本や米国のように自国通貨立てで国債を発行している国が財政破綻を起こす事はありえない。(財務省のホームページに書いてある)

にもかかわらず、上の写真のように財務省の資料には、あたかも国民一人あたり約713万円の借金があるかのような書き方をしている。

だから、公共事業などの財政出動は控えるべきだとの論法である。

繰り返す「借金をしているのは政府であって国民ではない、国民は政府に対して債権者である。」

また、麻生大臣はこうも話された。「我々は国民に謝らねばならない。デフレ対策であると思って実施した政策がインフレ対策であった、だからデフレから脱却できていない。これからは昭和恐慌から脱出した高橋是清に学ばねばならない。」

私はなんと潔い大臣だと感心した。

高橋是清世界恐慌の最中の昭和2年に3度目の大蔵大臣に就任し、金融緩和と公共事業拡大などの財政出動を大胆に実行して、日本を世界に先駆けて世界恐慌から脱却させた。

その話を聞いてから、私は高橋是清の自伝をはじめ何冊かの本を読んだ。

その中の一冊に財務省を早期退職した方の本があった。

その本の内容は高橋是清の業績を書いてあったが、世界恐慌から脱却した際に行った大胆な金融緩和と財政出動には全く触れていなかった。

呆れ果てて、読み終わった本を捨てた。

今でも、財務省は大胆な財政出動には否定的で、財政の収支均衡(プライマリーバランス)ばかり主張している。

これでは日本経済はデフレから脱却出来ないし、コロナショックから回復する事も出来ない、私はこれに対して断固として反対の活動を続ける。

[追記]

なお、「国民一人当たり約713万円」との書き方について、平成23年11月15日提出、自民党城内実衆院議員の「復興増税に関する質問趣意書」で、城内実議員は「野田総理は、所信表明演説で『今日生まれた子ども1人の背中には、すでに700万円を超える借金があります』と述べた。『今日生まれた子ども』とは新生児を指すと思われるが、なんらの経済活動を行ったこともない新生児に700万円の借金があるとする論拠如何」との質問に対して、野田総理は「お尋ねの所信表明演説における表現については、平成23年6月末時点の国債及び借入金の残高を・・・日本の総人口で除した額約739万円を、新生児も含む全ての国民一人当たりの債務として捉えたものである。」と回答している。

ここでは国民の借金と言っているのです。