憲法改正について

先のブログで、自民党高知県連大会の後の「憲法改正高知県大会」で10分間話をさせていただいたことをお知らせしました。

時間がなくて、思いの全てを話すことが出来ませんでしたので。再度書かせていただきます。

 

今なぜ憲法改正

                                                令和4年4月13日

1、日本国憲法制定の背景

 第2次世界大戦が終了した頃の世界の主要国のリーダーの思いは、もう二度と世界を巻き込むような戦争はすべきでないと多くのリーダーが思った、とチャーチルは「第2次世界大戦」という回想録の中で述べている。

 但し、ソ連スターリンだけは共産主義自由主義陣営との戦いを考えていたと記している。

1914年から始まり、1918年11月まで4年間戦い終わった第1次世界大戦から21年後には第2次世界大戦が始まったのである。

 世界の指導者は、世界中を巻き込んだ戦争を心底から後悔していたのではなかろうか。

そして、世界中の国が軍隊を持つのではなく、国連によって地域紛争を解決するという考え方が生まれていた。

 吉田茂首相も同じ思いであったようだ。吉田の頭には、日本の安全は将来の国連に守ってもらうという考え方があった。

 戦後、多くの国の紛争において、国連は機能しないことが多かった、その為に、国連は加盟国に個別的自衛権集団的自衛権を認めた。(国連憲章第51条)

 日本は憲法9条の趣旨に反するので集団的自衛権は使わない。

 

 昭和25年(1950年)6月の朝鮮戦争勃発、米国対ソ連、中国との戦いで国連が機能しないことが証明されたのである。

 朝鮮戦争が起きたために、米国は日本に対し再軍備を要請した。

 米国は1951年1月、ダレス特使を日本へ派遣して、現憲法を改正して再軍備をするよう求めたが、吉田は憲法9条を理由にこれを断った。

これがなければ、日本は朝鮮戦争に参戦せざるを得なかったであろう。

 ただし、一部、米海軍の掃海艇部隊に日本人が乗り組んで参戦し、戦死者を出している。

また、朝鮮戦争後(休戦協定は7月27日)の1953年11月15日、米国副大統領のニクソンが来日して日本の再軍備を求めた。

 ニクソンは「日本の憲法に非武装化を盛り込んだのはアメリカの誤りであった。マッカーサーが与えた憲法は大間違いだった、すぐにでもやめていい。普通の国家になれ、ちゃんとした軍隊を持った西側の国になってほしいと言った。

 何でそんな事を言ったのか。実はニクソン仏印にあるフランス軍の要塞ディエンビンフーを訪れた後に訪日したが、ここは半年後に北ベトナム軍によって落とされ、米国が介入し、60年代初めから本格的なベトナム戦争が始まった。そういう背景があり、アメリカとしては日本をベトナム戦争に協力させたかったのであろう。

 韓国軍は延べ30万人をベトナムへ派兵した。

現在では、いずれも吉田茂首相が再軍備に断固反対したのは、アメリカの戦争に日本が巻き込まれないようにするためであったと評価されている。

 

昭和25年8月10日 政令警察予備隊を創設

昭和27年10月15日 保安隊設立

昭和29年7月1日 自衛隊設立

 


2、現在の憲法改正に対する取り組み

憲法9条と自衛隊の政府見解

「現憲法は、主権国家としての固有の自衛権を否定するものではない。政府は、このようにわが国の自衛権が否定されない以上、その行使を裏づける自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法上認められると解しています。

 わが国が憲法上保持できる自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければならない。

その具体的な限度は、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件により変わり得る相対的な面があり、毎年度の予算などの審議を通じて国民の代表者である国会において判断される。」

その結果

・大陸間弾道弾などの長射程のミサイルは持たない。

・長距離爆撃機は持たない。(F-4ファントムは爆撃装置を外していた。兵器搭載量7.25t、B-29は9t、F-15Eの兵器搭載量は11t)

・攻撃型空母は持たない

輸送艦おおすみ」は1998年就役した。(8,900t➞13,000t、178m)

第2次世界大戦中に米海軍が造った護衛空母(約7千トン)より大きい。

「ひゅうが」は2009年3月に就役した。(13,950➞19,000t、197m)

「いづも」は2015年3月に就役した。(19,500t➞26,000t、248m)

 

 世界情勢は1991年12月にソ連が崩壊してから劇的に変化して、軍事大国は米国のみの時代が続きました。

 2010年 米国は世界に展開していた米軍基地を縮小するトランスフォーメーション戦略(ジョイントビジョン2010)を打ち出した。

 2013年9月 オバマ大統領が「米国は世界の警察官ではない」と発言した。

 その半年後にロシアはウクライナに軍事侵攻しクリミア半島を侵略した。

また、中国は南シナ海で7つの環礁を埋め立て軍事基地とした。

 米国は欧州においてはNATO北大西洋条約機構集団的自衛権が機能していたが、機能していない東アジア地域で、日本に対し集団的自衛権を容認する安保法制の成立を要請した。

その背景には急速に軍事力を拡大し、しかも共産党習近平政権のコントロールが効いていない中国人民解放軍の存在があった。

 こういう日本を取り巻く安全保障環境の変化を受け、2015年7月には安倍内閣は安保法制を制定しました。

 この安保法制の成立は、我が国防衛にとって大きな前進であり、高く評価します。

 その前の2015年4月に日米新ガイドラインが合意されましたが、これには日本が攻撃を受けた時には自衛隊がまず行動すると書かれています。

 それまでのガイドラインは「日米が共同して行動すると」書かれてありましたので、日本の防衛行動がおおきく変わりました。

なぜか、岩屋防衛大臣はこの変化を認めようとしませんでした。ガイドラインの説明する小冊子にもその部分は触れていない。

 こういう背景のもとで、2017年9月に自民党憲法改正推進本部で、憲法9条改正について4回にわたる議論があり、私は全て出席して意見を述べた。

 私は、まず、自民党が野党時代に作った改正原案を提示すべきだと主張した。

憲法9条2項には「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」と書いてある。

政府はこれまで、自衛隊憲法9条にいう「軍隊」でもなければ「その他の戦力」でもないと主張してきた。

しかし、そういうまやかしはもうやめましょう。私はその場で、設立当時の自衛隊と現在の自衛隊の比較、201機のF-15戦闘機、8隻のイージス駆逐艦(米海軍のイージス艦とほぼ同能力)を保有、戦車、ミサイル等を紹介して、現在の自衛隊は世界でも有数の戦力を持っている。これはまぎれもなく軍隊だと話しました。

だから、自民党がやるべきことは、まず平成17年に野党の時に作成した「憲法改正草案」を他党に、たたき台として提示すべきだと主張しました。

 この草案には、国防軍の規定があります。

多くの自民党国会議員が賛同してくれたなと手ごたえを感じました。

しかし、国会での発議のためには、3分の2を超える他党の賛同が必要であります。

その時にはじめて、妥協して別の文言に変えればいいでしょう。

大切なことは、国民の皆様に、自民党は国民の生命と財産、領土をしっかりと守る意思があるということをしっかりと示すべきだと思います。

 しかし、結局原案(たたき台)は、現憲法9条はそのまま残し、3項に自衛隊を明記する案が了承されました。

 私は、佐藤正久参議院議員が主張した、どんな形であれ、自衛隊憲法へ明記してほしいという主張を、否定するものではない。

 違憲自衛隊といわれ続けた自衛隊員は、自衛隊の存在を憲法に明記してほしいとの思いがある為です。

但し、自衛隊OBの中には「中途半端な改正をして、解釈が問題になるような改正ならば止めてほしい」との声も聴いた。

改正の為には衆議院参議院で三分の二の賛成がないと発議出来ない。公明党に配慮したものだ。

 これは、たたき台なので、自民党内で、また各党でよく議論してほしいと考えております。