韓国併合

議員活動を終え、倉庫の本棚を整理していて、何冊か再読したいと思う本を見つけ、読んでいる。

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この本は平成25年の1月22日読了とメモしてあるので、9年前の高知県議時代に読んだものだ。

この本は韓国併合の中心人物であった外務大臣小村寿太郎の活動を通して検証したものである。

韓国併合については韓国民の反対運動も大きかったことは事実である。

しかし、李完用内閣は賛成であり、また一心会、大韓協会などの政治団体も併合推進派であった。

日本国内では、伊藤博文はじめ、韓国併合に反対している政治家が多かったようだ。

その理由は、当時の韓国財政が完全に破綻していたからである。

そして、それを承知している列国の対応も、以下のように述べられている。

【「併合は自然の成り行き、以外のことにあらず」

 とする清国政府当局者の声明に見られるように、ロシアをはじめイギリス、フランス、ドイツ、イタリア、アメリカの諸国も、揃って併合を承認した。】

韓国政府の財政がいかに破綻していたかの記述を。この本から抜粋します。(【  】の部分)

日清戦争の終盤、明治28年3月当時の話である。【「当時、朝鮮の国家財政は、破綻状態に追い込まれていた。

 宮廷の乱費を中心とした放漫財政が原因である。政治かけひきにあけくれて、内政改革を怠ってきたツケと、日本政府は見ていた。官吏や軍人の俸給が未払いのまま、何ヶ月も放置されていた。彼らの不満が高まれば、第二の壬午軍乱が勃発する危険がある。日本政府は、朝鮮政府に三百万円の借款を供与した。この金額は同国の年間予算に匹敵した。」】

【「これが、国家なのだろうか」

 大蔵省主税局長の目賀田種太郎が、韓国政府財政顧問に就任したときの第一印象である。

 彼が愕然としたほど、当時の韓国財政は政治とともに紊乱の極にあった。……

 就任二年目(明治三十八年度)の韓国政府の財政は、歳入が七百四十八万余円、歳出が九百五十五万余円となった。これは歳入で前年度比四倍、歳出は三倍の激増である。…

 財源の不足分は、日本政府からの交付金で補填された。

 手元の資料では同年度と翌年度の補填額は不明だが、四十年度以降は、毎年、百七十万円から五百二十万円が、日本政府から交付されている。】

最後に、併合公布の日から約一ヶ月の十月五日に寺内総督が施政方針の中で語った、朝鮮の財政状況である。

【「朝鮮の財政は、朝鮮区域内の歳入をもって歳出にあてることを原則とするが、不足分は政府が補充する。その額は軍事費を除いて年一千五百万円である。今日、朝鮮の歳入は一千万円内外であるから、いかに巨額なものかお分かりいただけると思う。政府は、この巨額を支出して朝鮮経営にあたる… .」】

自国の政治経済を顧みず、ひたすら内部政争を繰り返すこの国のあり方は、今もあまり変わりない。

また、小村の国防に関する自論は、次の通りだ。

【「平和、平和と百万遍となえても、平和を手にすることができません。真に平和を望むのであれば、国防を確立することです。国防というのは、敵を一兵たりとも国内に入れぬ備えをいうのです。」】

最後に、著者である木村勝美氏の書かれた「あとがき」に次の言葉があり、私はあらためて肝に命じた。

【この作品を書いていて学んだことが一つある。それは世論に迎合すると、国家の運転を誤るということである。いつの時代でも世論とは、実に無責任なものだからである。】