日米首脳共同声明

2023年1月13日(米国時間)、岸田首相とバイデン大統領が会談し、日米首脳共同声明が発表された。

この中で、私が注目したのは、「バイデン大統領は、核を含むあらゆる能力を用いた、日米安全保障条約第5条の下での、日本の防衛に対する米国の揺るぎないコミットメントを改めて表明した。」(外務省仮訳)という文言である。

これまでの「米国の核の傘の下の日本」と、ウクライナ戦争が始まってからのそれとは意味合いが違うと、私は考えている。

何故なら、昨年2月24日にウクライナ戦争が始まり、程なくして、ロシアのプーチン大統領が核戦争も辞さないという趣旨の発言があり、この発言に米国のバイデン大統領が怯んだという事実があったからである。

その為、米国はじめNATO諸国のウクライナ支援は、ロシアとの核戦争を恐れてウクライナへの支援を中途半端なものとしている。

ロシアはウクライナ全土を自由に攻撃できるが、ウクライナはロシア国内を攻撃出来ないという戦争形態が続いている。

ウクライナとロシアとの国境からモスクワまでの距離は最短で450㎞、ミサイルや戦闘機で攻撃するには大した距離ではない。

しかし、NATO諸国はこれを許していない。

歴史を振り返ると似たような事実があった。

朝鮮戦争の後半、米国の現地司令官であったマッカーサーが、中国人民解放軍を攻撃する為、中朝国境付近の中国領土内への核攻撃を進言して認められず、解任されたという事実があった。

米国大統領は、中国との核戦争を恐れて、朝鮮半島内に限定しての戦争継続を決断したのである。

NATO諸国とロシアとの軍事力の差は、NATO諸国がロシアの数倍あり、圧倒している。

それでもウクライナによるロシアへの全面攻撃は控えている。これが「核兵器の政治力」である。

私は、プーチン大統領による「核戦争も辞さない」という発言に怯んだバイデン大統領を見て、日本は大丈夫かと思った。

もちろん、私だけでなく、何人かの自民党国会議員が同様の心配をSNSでも発信した。

私は、ウクライナ戦争が始まってから、私の所へ報告に来る外務省と防衛省の官僚へ、「米国による核の傘」を確実なものとする為に、日米同盟をもう一歩踏み込んだものにするべきだと、具体案を示して提言した。

また、英国との関係も、より一層強化すべきだとも提案した。

具体案については書かないが、それは岸田首相の決断だ。

本来、自分の国は自分で守る。他国を侵略しない、他国から侵略されない国作りをすべきである。

この当たり前の事が日本では出来ていない。

その理由は、大東亜戦争において、日本があまりに強い戦いをしたからである。

大東亜戦争終戦時、米国はじめ連合国は、二度と再び日本に軍事力を持たせないという方針を決めた。日本国憲法第9条はその一つである。

その為、自衛隊は米軍の補完勢力としての軍事力しか持たされていない。

ウクライナ戦争の現実を目にした今、我が国は日米同盟をより一層強固なものとすべきである。

今回の日米共同声明が、その第一歩となることを期待する。

同時に英国との関係ももう一段強力なものにする必要があると考える。