安倍総理が、現在続けている基礎的財政収支均衡(プライマリーバランス)政策を先送りすることを25日に表明するとのニュースが流れている。
マスコミ報道では早速、国の借金を先送りするもので将来子供たちにツケを回す事だと、マイナス面ばかりを報道しているが、間違いであると思う。
財務省の側に立った報道である。
基礎的財政収支を均衡させる、つまり歳入の範囲内で歳出を決める政策は、これ自体は間違っていない。
しかし、その政策を続ける時期が違っている。
現在の日本はまだデフレから脱却できていない。個人消費や企業の設備投資が十分なレベルにないからだ。
このような経済状況の下では一時的にこの政策を止めて、個人消費や企業の設備投資を上向かせるために公共事業等(政府支出)を増やすべきである。
実際には、プライマリーバランス(基礎的財政収支の均衡)にこだわるあまり、当初予算における公共事業費などを抑制する傾向にある。
小泉政権時代に、地方交付税等を10兆円削減し、穴埋めを約束しておきながらそれが3兆円しか実現されていない、これが地方自治体では大きな財政収支のマイナスとなった。
この劇的な処方が地方自治体の財政収支を急速に悪化させた原因であり、この国のデフレが続く原因の1つでもある。
ここ数年公共事業費は低く抑えられてきたが、平成26年度からは約6兆円の当初予算が組まれたうえで、補正予算が議決され、29年度は約1兆6千億円の補正予算が組まれた。
これはこれで効果があったが限定的である。
補正予算だけではなく、当初予算において対前年度比増加しないと、地方公共団体は長期的な事業計画が立てにくい、従って民間企業は設備投資や賃上げも決断しづらい、これが現状だ。
昨年10月から11月にかけて、毎週のように高知県内の市町村長が来年度予算の陳情に上京し、私の議員会館事務所にも来ていただいた。
その際に何度も上記のことを要望された。
デフレから脱却するためには、数年で良い、経済指標がデフレ脱却を示すまでの間、公共事業等の政府支出を増やし、プライマリーバランス政策は一時ストップすべきだと考える。
もちろんその際の公共事業等の支出先は、日本の屋台骨が強化されるような有意義なものに充てられなければならない。
今年3月1日の参議院予算委員会で西田昌司議員が安倍総理、麻生財務大臣にその趣旨の質疑を行い、私も二週間後の14日に同じ予算委員会で同趣旨の質疑を行った。
その内容は以前にこのブログに書いたので省略する。
第二次安倍内閣ができる以前、財務省は、国の借金を早く減少させなければ我が国が発行する国債は金利が上がり大暴落すると、何度も何度もマスコミを使って報道させてきた。
しかし、この財務省の宣伝とは違って、日本の国債は低金利で安定している。
消費税を5%から8%へ上げる際にも、財務省はマスコミを使って、増税しても日本経済は大丈夫だとの情報を流し見事に失敗した。
その後日本経済は回復基調にあるとはいえ、あの消費税増税がなければもっと早く景気は上昇したと思う。
25日に安倍総理が、プライマリーバランス政策の一時停止を表明するならば、私は大賛成だ。
たび重なる北朝鮮のミサイル発射
今朝6時57分頃、北朝鮮の平壌付近から弾道ミサイルが発射され、北海道上空を通過して襟裳岬の東2千キロに着弾したと報道されている。
韓国の連合ニュースでは、高度770キロ、飛距離3700キロと報道されている。
北朝鮮のミサイル発射技術は急速に進んでいる。
9月3日の核実験はアメリカで250キロトンの爆発規模で水爆実験に成功したと報道されている。
弾道ミサイルの弾頭に核爆弾を搭載する技術があるかどうかは確認されていない。
日本の対応は、先ほど菅官房長官から「最大の言葉で非難する」との報道があった。
昨日、北朝鮮国営メディアは「日本の四島を核爆弾で海に沈めるべきだ」とのニュースが流れた。
昨日昼、自民党の水月会の連絡会があり、その冒頭で石破茂会長は従来からの考え方である「非核三原則の持ち込ませずについて議論する必要がある」と述べ、夜のニュースで何度も流れている。
私もその会に出席していたが、先日の水月会研修会でも直接聞いた。
数年前、中川昭一衆議院議員が同様の発言をした際にはマスコミから袋叩きにあい、「この国は、議論もさせない、非核4原則だ」と嘆いた。
石破茂議員は16年前からこの発言をしていると述べた。
今回は、マスコミは冷静に「石破茂氏は核を持ち込めと言ってるのではなく、議論しようと言っている」と正確に報道している。
ソ連崩壊後、米国が1996年のトランスフォーメーション戦略以来、国際戦略を変化させ、日本にもさらなる防衛努力を求め、北朝鮮が米国に届く可能性のある大陸間弾道ミサイルを開発した現在、日本を取り巻く軍事情勢は大きく変わった。
それに応じた、この国の独立と安全を守る為の国民と国会の議論が必要であろう。
自民党憲法改正推進本部の会に出席
12日(火) 午後3時から自民党本部で憲法改正推進本部の検討会が開かれ出席した。
今回は二度目の憲法9条改正についての会議、704号室は大きな会議室ではないが満席になった80人以上の国会議員が出席していたと思う。
衆議院法制局の橘次長から、これまでの検討経緯の説明が20分間あった後、各議員の発言が続き1時間30分にわたり熱い議論が続いた。
私は日本を取り巻く国際情勢が大きく変わった現在、いかにしてこの国の独立を守る防衛体制を築くのかを議論して頂きたいと要請した。
参議院の西田昌司議員から、憲法解釈は昭和21年と朝鮮戦争が始まった昭和25年では、占領軍の都合で大きく変えられた歴史を国民にもっと知らせる必要があるとの発言があった。
私は、朝鮮戦争後も我が国は攻撃力は米国に依存し、日本は専守防衛の政策をとってきた。
しかし、2013年9月にオバマ大統領の「米国は世界の警察ではない」との発言があり、それ以前に、海外に展開していた米軍基地を縮小するトランスフォーメーション戦略をとった。
新日米ガイドラインには日本が攻撃された時には、まず日本が主体的に防勢体制をとり、米軍はそれを支援すると書かれている。新ガイドラインは両国を拘束するものではない事も承知している。
最近の北朝鮮の核武装の動きをみた時、この国の独立をどうすれば守れるのかの防衛論議をしてもらいたいと発言した。
また、改正案が決まればそれに従うとも付け加えた。
トランスフォーメーション戦略は、ソ連崩壊後の1996年に「ジョイントビジョン2010」という名称で公表された。私は緊張していて、同戦略が2010年から始まったと発言した事を夜になって気がついた。訂正します。
保岡本部長から、この会は次回が「緊急事態条項」について、その次が「教育条項」について、その後に9条改正の検討会は、改正案のたたき台を示した上で検討して頂くとの発言があった。