不公平なウクライナ戦争

10日(金)夕方のBS日テレの「深層NEWS」見ている。ロシアの第二次世界大戦の戦勝記念の軍事パレードを報じながら戦況分析をしている。

ロシアとウクライナの戦いは、ボクシングに例えれば、ロシアは自由に殴り、一方のウクライナは片手を縛られ、相手の頭は殴るなというルールで行われているのに似ている。

ウクライナはロシア領土を攻撃するな、ドンバス地方やクリミア半島への攻撃に限られている。

アメリカをはじめとするNATO諸国から供与される兵器も、戦車や射程の短いミサイルで、戦闘機はまだ供与されていない。供与されてもロシア国内を攻撃するなとの制限がかかるのだろう。

最近、射程300キロ程度のミサイルをアメリカから供与され、日本のマスコミは長距離ミサイルと報道しているテレビ局があるが、射程距離3,000キロ以上を中距離ミサイルと呼ぶ。あれはせいぜい短距離ミサイルだ。

ロシアとウクライナとのアンバランスな戦争で、ロシアが優勢だと報道されているが、当たり前だ。

これだけウクライナ軍の攻撃力を制限して攻勢をとれるわけがない。

しかし、ウクライナ軍は健闘している。

現代戦争の勝敗を左右するのは航空戦力だ、その中核は戦闘機である。

ウクライナ戦争が始まった時点でロシアが保有していた戦闘機は約950機、対するウクライナは約130機、戦車はロシアが約3,000両に対し、ウクライナは約300両、10倍近い戦力差があった。

もっとも、保有していても稼働率の差があるので使える数は別だ。

戦争が始まって3年目に入ったが、ロシアは未だに制空権がとれていない。

戦闘機の稼働率が低く、また搭載する電子兵器が古いため戦闘機の能力が低いことや、戦闘機に指示を出すレーダー基地が片っ端からウクライナのレーダー基地攻撃ミサイルで破壊されているのが原因だろう。

また、ロシア軍の戦車は2年間で3,000両以上が破壊されたと、英国の シンクタンク国際戦略研究所(I ISS)が世界の軍事情勢を分析した報告書「ミリタリー・バランス」の2024年版に書いてあるとの報道がある。

ロシアは戦争が始まってから現在までに約500両の戦車を新造ないし、旧型を整備して配備しているようだ。

また、兵力は、米国のマスコミCNNが、機密解除された報告書の内容に詳しい関係者が話したとして、ロシア軍はウクライナに侵攻した兵士36万人のうち、31万5000人を戦場で失った、と報道した。

CNNの報道では、戦車3500台のうち2200台を失い、歩兵戦闘車装甲兵員輸送車計1万3600台の32%に相当する4400台が破壊されたとの事である。

今日のテレビを見ながら、二つ注目した。

一つは昨年に続いて、パレードに参加した戦車は第二次世界大戦で活躍したT-34戦車が1台だけだった事。かつては最新式の戦車数十台が参加していた。

二つ目は、パレード会場の舗装道路がデコボコで、オープンカーに乗って敬礼していた国防大臣が前のめりにコケそうになった。

思わず笑ってしまった。見栄を張るロシアが、道路を舗装する余裕もなくなったようだ。

プーチンはこの記念日の演説でも、核戦争もじさないとの話をした。

NATO諸国はこの脅しに屈するべきではない。