尖閣諸島の中国海警公船の領海侵犯問題

本日(29日)午前9時より、自民党本部で政調会の国防部会、安全保障調査会の合同役員会が開かれ、海上保安庁の奥島高広長官から、尖閣諸島における中国海警の公船が領海侵犯の上日本漁船に接近した件について状況説明があり、出席議員から質疑がありました。
これは26日(火)に、党本部で同じ会が、防衛白書の事前説明であったのですが、その際に、山田宏参議院議員尖閣諸島の中国海警公船の領海侵犯行動を問題視して、政府の対抗措置が甘い、との指摘をし、それに小野寺五典安全保障調査会長と私が、同趣旨の発言をした事を受けて開かれたものです。
オフレコなので議員の詳しい発言内容は書けませんが、海上保安庁防衛省、外務省に対して、中国に対してしっかりと対応するよう指摘しました。

第二次補正予算案閣議決定、真水32兆円

昨日、事業費規模で117兆円の第2次補正予算案が閣議決定されて発表になった。

真水32兆円、うち予備費10兆円の規模だ。真水とは純粋の財政出動、純粋=純水=真水との意味だという。

我々議員連盟「日本の未来を考える勉強会」では、真水100兆円規模の補正予算の提言をしていた。

官邸周辺からは、真水32兆円に加えて、50兆円以上の財投債は全て日銀が引き受ける。そのことをしっかりと国民に伝えてほしいとの話があった。

我々の提言に配慮した予算編成をしたという事であろうと推測する。

我々は第1次補正予算案検討の最中から、漏れ伝わってくる予算規模を聞き、これでは足りないからすぐに第2次補正予算にかかるべきだと主張し準備していた。しかし当時は官邸周辺からは全く反応がなかったので、この第2次補正予算案が閣議決定しただけでも前進だ。

昨夜のNHKニュースを見ていると、ある財務省幹部が「財政規律のタガが外れてしまった」と嘆いた、との報道があった。

財務省幹部の考え方が正しいとすると、多くの海外投資家に支えられている日本の株式市場は暴落し、円も売られて大幅な円安になるであろう、しかし今のところそんな動きは全くない、我々の予想通りだ。

それよりも、第1次、第2次の補正予算(案)で成立、閣議決定した、1人一律10万円の給付金、事業者への持続化給付金、地方創生のための臨時交付金など、日本経済立て直しのための予算を、早く国民に届ける作業を進めなければならない、それに全力を尽くします。

 

自民党政調全体会議出席

26日(火)午前8時30分から、第二次補正予算に関する自民党政務調査会の全体会議が開催されて出席した。

今回も党本部は使わずに衆議院議員会館地下1階の大会議室で、西日本ブロックを中心にして、席を開けて開催した。

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私は高知県から要望のあった臨時交付金の要望など、以下の3点を発言した。

「1、地方公共団体に対する臨時給付金が足りない。知事会からも要望が出ているが大幅に増額すべきだ。

高知県では、3月26日から県単独で限度額1億円の融資制度を実施した。リーマンショックの時を参考にして360件程度の申し込みを想定していた。この時には5ヶ月間で360件の申し込みがあったが、今回は1ヶ月間で830件の申し込みがあった。リーマンショック時の2.5倍だ。

この県単独の制度は一端打ち切り、国の制度を取り入れた。

また、県の負担は保証協会に支払う保証金と利子だが(約120億円)、最長で11年間保証料を支払う。

持続化給付金は単年度しか使えないので、今後は新しい制度で県負担分を補填してもらいたい。

内閣府に聞くと、他県からも同様な要請が来ているので、知事会から要請があるかもしれません。

中谷元先生から先に基金の提案があった。】

2、持続化給付金も足りないので大幅増額が必要です。

 岡三証券の試算では、2018年の中小企業の税引き前利益は約21.3兆円、今回の消費税値上げに次ぐコロナショックの2重の危機で、3割減収だと仮定すると、25.2兆円の赤字となる。合わせて46.5兆円です。これだけ補助しても元へ戻るだけでしょう。現在の額では足りません。

問題は支払いが遅い。中小企業庁に問い合わせたら、約40%が支払い済みと聞いた。申請書類に不備があるので遅れているようだ。

Eタックスを使えば申請に必要なデータは全部揃っているはずですので、Eタックスを使えるよう検討をお願いする。

3、是非、50兆円の予備費を積むことを要望します。」

今回も多くの議員から発言があった。

執行部からの提案書には具体的な予算が入っておらず、ベテラン議員から批判があった。

私は外交防衛委員会出席の為9時40分に退室した。

この後、東日本ブロックを中心の会が開かれ、12時半過ぎに終わったようだ。

内閣も自民党も支持率急落

昨年末から、大臣の不祥事、自民党国会議員の不祥事が続き、私は地元高知での年末の会合や今年1月の地元での国政報告会において、「自民党はこんな国民をなめたような事をやっていると、手痛いしっぺ返しをくらう」と発言してきた。

先週の23日に発表された毎日新聞世論調査結果は、内閣支持率27%(前月比一13)、自民党支持率25%(同ー5%)、今日発表の朝日新聞世論調査結果は、内閣支持率29%(前月比一12%)、自民党支持率26(ー7%)である。

先ほど、黒川検事が賭け麻雀をやっていた事に対する「訓告」という軽い処分は、法務省の「懲戒」相当との判断を取り上げないで官邸が決めたとの、共同通信のニュースが流れた。

国民が怒っている事がわからないのだろうか。

党内で発言していきます。

中野剛志「日本経済学新論」を読んで

中野剛志先生から送っていただいた「日本経済学新論」渋沢栄一から下村治まで)という副題がついている。

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明治維新から現代までの、貨幣政策と財政政策を解説した本で、相当難解な本でまだ完読していない。その中で印象に残った記述を紹介します。

明治時代に、金井延の「社会政策学会趣意書」にはこう書かれている。

「余輩は放任主義に反対す、何となれば極端なる利己心の発動と制限なき自由競争とは貧富の懸隔を甚だしくすればなり、余輩はまた社会主義に反対す、何となれば現在の経済組織を破壊し資本家の絶滅をかるは国運の進歩に害あればなり、余輩の主義とするところは現在の私有的経済組織を維持し、その範囲内において個人の活動と国家の権力とに依りて階級の軋轢を防ぎ、社会の調和を期するにあり、」

新自由主義の欠点を批判している。

渋沢栄一は「論語と算盤」が有名で、ずいぶん前に読んだ。このブログで紹介もした。経済人の道徳を説いた本で、感動した。

「渋沢は、資本主義の発展に伴う弊害として、貧富の格差とともに、地方の衰退をも懸念していた。

彼は、地方振興策については、地方ごとに実態を調査する必要があるとして具体的な提案を避けつつも、地方の衰退が『国家の元気を損するやうなことになりはせぬか』と深く憂慮している。

都市への人口集中と地方の過疎化により、国全体としてはかえって生産力が落ちる恐れがあるというのである,」(175ページ)

渋沢は明治時代に、安倍内閣も掲げる「地方の発展なくして国の経済成長なし」と同じ事を指摘しているのである。

この本では明治維新以後の渋沢の貨幣論と財政論を評論して、この第1章から第5章までが難解で進まないので、私は第7章と8章の高橋是清論から読んだ。

昭和2年の金融恐慌、昭和5年世界恐慌から高橋是清大蔵大臣が、積極果敢な財政政策と金融政策で世界に先駆けて脱出した話だ。

昭和6年から高橋是清大蔵大臣がとった政策は、金本位制からの離脱と金兌換の停止、金利の引き下げ、日銀券の発行限度の引き上げ、そして日本銀行による国債の直接引き受けと財政支出の拡大である。

これによって1931年(昭和6年)から1936年(昭和11年)にかけて、国民所得が60%増加し1936年には完全雇用の状態を達成したが、消費者物価は18%しか上昇しなかった。

日本はアメリカよりも5年も前に世界恐慌からの回復を果たしたのである。」(同書119ページ)

1931年(昭和6年)9月には満洲事変が始まり、翌年2月に満洲全土の占領で終結したが、この戦争がなければ、日本はまだ飛躍的に経済発展を遂げていたであろう。
また、高橋是清は「『入る計って出るを制する』という均衡財政の考え方は、『国際関係、ことに世界の経済関係、発明のために事業と、運輸交通の事業、その他百般の工業が起こるということのない時代』、すなわち産業資本主義以前の時代の遺物である。政府が積極的に経済を進行し、各国がその経済力において競争するようになると、経済力を強化するのに税収だけでは十分ではなくなる。そして財政赤字を可能にしてでも歳出を増やすことのできる国家こそが勝者となる。時代の変化を踏まえて、均衡財政に代わる新たな積極財政論の必要性を説いている。」(273ページ)

安倍総理は4月28日の衆議院予算委員会の答弁で、この考え方を披露したが、財務省の抵抗にあっているのか未だそれが実現されていない。

一日も早く政策転換される事をお願いします。