11日(金)午後2時から、党本部で自民党国防議員連盟(衛藤征士郎会長、佐藤正久事務局長)の勉強会があり参加した。
今回の議題は「ミサイル防衛」講師は伊藤俊幸・海上自衛隊元海将である。
(下の写真左側から伊藤俊幸元海将、衛藤征士郎会長、佐藤正久事務局長)
伊藤元海将は防衛大学卒業後、海上自衛隊で潜水艦乗りとなり、潜水艦はやしお艦長、在米国日本国大使館防衛駐在官、第2潜水隊司令、統合幕僚学校長、海上自衛隊呉地方総監などを歴任した。2016年から金沢工業大学虎ノ門大学院でイノベーションマネジメント研究科教授としてリーダーシップ論を教えている。
呉地方総監の時には私の地元宿毛へも来てもらい、宿毛湾港などを見ていただき、自衛隊基地の誘致活動について説明させていただいた。
また私が国会議員になってからも潜水艦などについて教えを受けている。
ミサイル防衛についても詳しく、時々テレビにも出ている。
防衛省からは大和太郎防衛政策局次長を始め、制服組も参加した。
そして、敵基地攻撃能力保有についての法的問題点の説明、また現在各国の所有する、あるいは開発中の各種ミサイルについて説明があった。
下の写真は資料の一部である。上の写真が各国の主な弾道ミサイル、下の写真は極超音速兵器(マッハ5を超える速度で飛翔する)。
伊藤元海将の話で非常に印象に残ったのが、「イージス・アショアを採用する真の意味である。平時において、イージス艦に常時監視をさせると事故が起きる可能性を増大させる。
なぜなら、ミサイル迎撃任務に就くと訓練の時間がなくなり、若年幹部(1等海尉、2等海尉)の練度低下に直結する。数年前(2017年)に起きたアメリカ海軍イージス艦の連続事故は他人事ではない」と言う話であった。
伊藤元海将の話では、護衛艦乗りの若年幹部は、常時訓練を続けることによって、いくつもの課題に対して瞬時に判断を下し行動することを義務付けられている。ミサイル迎撃任務につくとその訓練ができなくなる。
その為、通常は陸上のレーダーで監視し、攻撃の危険が迫った時にイージス艦を配置すべきだという提言であった。
以前にもこのブログに書いたが、現在のイージス艦に配備中のSM3ブロックⅠミサイルによる弾道ミサイル防衛は、レーダーの能力に限界があり、弾道ミサイル迎撃態勢をとると自艦防衛もできなくなる。その為イージス艦を守るための護衛艦がもう1隻必要で、2隻の護衛艦が一緒に行動する。
北と南の日本海に配置すると1日24時間配置につくので、二交代制とすると8隻、三交代にすると12隻の護衛艦が必要となる。
護衛艦隊は32隻の護衛艦で構成されているので、このミサイル防衛任務の為に、日本周辺の海を守るという護衛艦隊本来の任務に支障が出る。
私は、今から3年半前であったと思うが、自民党政調会国防部会でこのことを発言し、米軍がルーマニアに配備中のイージス・アショアを日本も導入の検討してはどうかと提言した。
2度にわたり当時の前田防衛政策局長に提言したが、前田局長はそれは考えていないとの答弁だった。
2度目の提言の時に、海上自衛隊OBから聞いていた、自衛官の訓練に支障が出ていると言う話もさせていただいた。
前田局長はその話は認識しているとの事あったが、前向きな答弁はなかった。
ところが数ヶ月後に突然イージス・アショア導入決定の報道が出た。
しかし、詳細は書かないが、私はその時点から防衛省のやり方が間違っていると指摘した。それが今回のブースターの落下場所という、本来の防衛とは関係ない問題でイージス・アショア配備を断念したことにつながっている。
当時とは違って、現在の日本に対する脅威は弾道ミサイルのみではなく、巡航ミサイル、極超音速ミサイル、無人攻撃機など多様化している。
ミサイル防衛を根本的に検討し直すべきだと考えている。