安保3文書の評価

16日、「国家安全保障戦略」「国家防衛戦略(旧防衛計画大綱)」「防衛力整備計画」の安保3文書が閣議決定された。

手元に3文書がないので、新聞報道を参考に私なりの注目点を書きます。

地対艦、艦対艦、空対艦ミサイルの長射程化とミサイル部隊の強化は評価出来る。

12式地対艦ミサイルは、3種の対艦ミサイルの基本となる兵器で、日本防衛にとって主力となる、かなり強力な兵器だ。

ただし、対艦ミサイルは海上を低空で飛ぶので、地上を、地形やビルなどの構造物を避けて複雑に飛行する能力はない。

今後、トマホークミサイルを米国から購入することが決まった。

トマホークミサイルは対地ミサイルであり、これを購入する事によって敵基地攻撃が可能となる。

トマホークミサイルは海上自衛隊イージス艦などの垂直発射型装置VLSに、改修は必要だが搭載出来る。

また、これまで、海上自衛隊ではトマホークミサイルの配備を米国に打診していたが実現出来なかった経緯がある。

トマホークミサイルは自ら地形データなどを組み込んだ誘導ソフトを使い、GPS誘導も使う。GPSには平時モードと戦時モードがある。

普通の自動車に搭載しているGPSは平時モードで、戦時になると誤差が大きくなるので兵器に使うと問題がある。今回、米国との交渉でそれが解決されたと推測する。

また、自衛隊の弱点であった兵站、とりわけ、武器の予備、ミサイル、弾薬、燃料などの強化予算が充実される。

さらに、防衛力整備計画には、有事で防衛相が海保を統制下に置く「統制要領」やこれに基づく共同訓練の実施などの具体策が盛り込まれた。

これは初めての事だ。高く評価する。

だが、「専守防衛」は残ったままだ、削除してほしかった。

大東亜戦争真珠湾攻撃の航空部隊指揮官であった淵田美津雄元海軍中佐はご自身の著書の中で「古来から専守防衛で戦に勝てたためしがない」と書いた。

政府は「専守防衛憲法9条の要請だ」と解釈しているようであるが、時の政府が決めた事であるので、現政府がこれを覆えすことは可能だ。

ウクライナ戦争を見て、多くの日本国民は日本を取り巻く状況は大変に厳しいと考えている。

これまで頼りにしてきた米国は、日本により一層の防衛努力を要請している。米国の日本に対する防衛戦略は大きく変わった。

ウクライナ戦争において、プーチン大統領が核戦争もじさないと発言した際に、米国のバイデン大統領は怯んだ。

これを見た日本国民は、核戦争を含む日本有事の際に、米国の核の傘があてになるのかどうか不安を持ったと思う。

米国の核の傘を有効なものにする為には、日本の防衛体制のより一層の強化が必要であると思う。