浜岡原発停止要請は菅首相の英断か?

5月6日の夜、菅首相が突然、静岡県御前崎市にある中部電力浜岡原子力発電所の停止を要請した。
報道によると海江田経済産業大臣が助言したもので、内閣で十分に検討したものではないようだ。
私が4月19日に上京した際に、たまたま週刊現代(4月30日号)が震災特集を組んでいたので買って読んだ。その中に、浜岡原発は英国の新聞フィナンシャル・タイムズが「最も危険な原発」と指摘しており、即時停止すべきだという特集が組まれていた。
この週刊誌の記事によると理由は大きく二つある。
一つは浜岡原発が、近い将来起きるであろう東海地震震源予想図のど真ん中にあること、あと一つが、浜岡原発を建設した当時、国が定めた安全基準を逸脱した“欠陥コンクリート”を百万t納入したという業者の告発が2004年にあり、この週刊誌も2004年9月4日号で取り上げて、大きな議論を巻き起こしたことだそうだ。
それに加えて、浜岡原発福島第1原発のような事故を起こした場合に首都圏が大きな被害をこうむるということも大きな理由である。
菅首相の停止要請後の報道では、場所だけが問題になっており、欠陥コンクリートの記事は見当たらない。
福島第1原発の問題でも、非常電源がダウンしたのは津波によるものか、それとも地震の際に故障したのか明らかになっていない。地震によって配線関係が故障したのではないかとの見方もあるようだ。
3月11日の地震津波では被害を免れた女川原発が4月7日の余震で電源を失ったことが問題とされ、福島第1原発地震で故障したのではないのか、そうであるなら、浜岡原発は相当に危険な状態であるという理由のようだ。
このブログを書いている段階では中部電力ではまだ停止決定をしていない。
昨日の高知新聞夕刊に御前崎市長の談話として、「浜岡原発で働く同市の住民1200名の雇用対策、原発関連歳入が予算の4割以上を占める現状を説明し、全面停止となれば『大変厳しい状況に陥る』と強調した。」との記事が載っている。
福島でも原発立地による雇用の場の確保と、補助金の話は住民から出ていたし、私が数年前に原発銀座と呼ばれる福井県を視察した時に、原発がある町村と無い町村の財政力を比較してため息をついたことを覚えている。
原発がある町村は、財政の心配は何もない。それで過疎地の町村は原発の建設を引き受けた、その住民の決断を私は非難することはできない。
先にこのブログで伊方原発視察の記事を書いたが、伊方原発でも電源喪失の事態を想定して外部電源車の配置を増強している。
伊方原発を視察した際に、原子炉、原子炉格納容器は地震に対して十分な強度を持っているし、岩盤の上に直接建設しているという説明を受けた。問題はそこから出ている配管などの接続部分の強度である。
私の質問に対して、それについても十分に対策をとっているとの説明を受けた。
私はそれ以上の質問はできなかった。
なお、5日のブログの伊方原発の概要に私の勘違いがあったので訂正した。
原子炉格納容器(全高77m、内径40m)は厚さ4.5cmの鋼鉄でできており、その上に厚さ140cmの鉄筋コンクリートで覆っている。原子炉容器は厚さ20cmの鋼鉄でできている。

中部電力では浜岡原発を全面停止した後、夏場の電力需要がピークに達した時の余力が無い点を懸念しているとの報道がある。
4月に上京した時に、街のネオンが少ないのは良いが、駅の構内の照明が暗いのとエレベーターを止めているのはやりすぎだと思った。
街のネオンを自粛するだけでも、電力使用量はずいぶんと違ってくるのではないかと思った。