安倍内閣の進める農協改革について

昨日(3日)午後4時30分から副議長室において、桑名副議長と共にJA高知中央会の山崎会長から陳情を受けた。
陳情内容は安倍内閣が進めている農協改革について、今月7日に行われる自民党全国幹事長会議で意見を述べて欲しいとのことであった。
安倍内閣の諮問機関である規制改革会議は、昨年6月に自民党政調会の了解を得た上で、安倍内閣が閣議決定する新たな成長戦略に盛り込む答申を行った。
その答申ではJAの「廃止」の文言は盛り込まず、中央会制度について「自律的な新たな制度に移行する」との表現にとどめ、農協法に基づく指導権限を持つ組織から社団法人や株式会社などに改編する方向性が示された。そして、今後5年間を「改革推進期間」と位置づけ、JAグループの自己改革を促す。具体的な組織のあり方については、JAグループ内の検討を踏まえた上で、2015 年の通常国会で農協法などの改正を行う事などが盛り込まれた。
ところが最近になって安倍内閣は、JA全中が全国約700の地域農協に対して持つ「指導・監査権」の廃止を中心とした改革案を閣議決定しようとしている。
これに対して自民党内では大きな反対運動が起こり、1月20日党本部において開かれた「農協改革等法案検討プロジェクトチーム」の初会合には約130人の国会議員が詰めかけた。
そこでは会の冒頭に農協改革案の説明をした農林水産省の官僚に厳しい意見を次々と浴びせたと報道されている。
13日に開かれた衆議院農林水産委員会での質疑では、西川公也農水大臣ですら監査廃止の利点を説明できていないと報道されている。
資料よると、JA全中の監査費用は約400万円で公認会計士に依頼すると2,500万円かかる。その差額は地域農協の負担になる。農業従事者には新たな負担となるのである。
今回の農協改革の本当の狙いは別にあると言われている。
監査廃止は、 JA全中解体の1里塚で、次は農作物の販売事業をしているJA全農の株式会社化で、独占禁止法の適用除外規定を外す。そして、信用・共済事業改革にもっていく。
農協は金融サービスを提供する信用事業(JAバンク)と、民間の保険にあたる共済事業(JA共済)を展開しているが、これらの事業の黒字分を、農産物の販売・購買や営農指導員などの赤字事業に補填している。
これらが分離されれば農協は解体する可能性すらある。
農協改革には米国の強い意向があるとの推測があるが、米国商工会議所の狙いは、JA共済契約保有高約300兆円と、JAバンクの貯金残高約90兆円の一般市場への解放である。
郵政改革をはじめた時と全く同じ状況である。
つまり1989年に始まった日米構造改革協議の延長上にある。
地方にとって郵政改革は何の利点もなかった。郵便局と郵便制度は本当に不便になったままだ。
農協を郵便局の二の舞にしてはならないと思う。
幸いにも本県選出の国会議員は全員、昨年12月の衆議院選挙の際、農協改革に対する考え方はJA 高知中央会と意見の一致を見ている。
7日の自民党全国幹事長会議では他県からも同様の意見が多く出るであろうと思うので、それらを取りまとめて発言しようと思っている。