28日(火)から参議院で来年度予算の予算委員会質疑が始まった。
今日3月1日は自民党から3名の議員が質疑を行なったが西田昌司議員の質疑が素晴らしいかった。
財政論議は分かりにくいと思うが、出来るだけ分かりやすく解説する。
日本の直近(2016年12月)の有効求人倍率は1.43倍、昨年から上がりっぱなしだ。また、失業率は3.1で先進国ではダントツの数字で、ほぼ完全雇用といわれる数字だ。
また日銀は黒田総裁が、金融政策を転換して過去に例を見ないほどお札を大量に発行したが(マネタリーベースという)、市中銀行の貸出額(マネーサプライ)は思うように増えていない。
簡単にいうと国内にお金が出回っていない、日銀の当座預金に溜まっているので景気回復が実感できない。
つまり、デフレから脱却しきれていない。
マネタリーベースとマネーサプライの差が安倍内閣の政策のジレンマである。
西田議員はその原因を、政府財務省がプライマリーバランスを改善する事にこだわりすぎる事にあると指摘した。
プライマリーバランスとは基礎的財政収支である。
政府会計において、過去の債務(借金)に関わる元利払い以外の支出と、(将来の借金である)公債発行などを除いた収入との収支である。
国の収入は税収であり、支出は、年金や医療費などの社会保障費、地方に分配する地方交付税交付金、それから、公共事業・教育・防衛費などである。
これらの国の収入、支出のバランスが取れれば財政が健全化するという考え方で、GDPと国の借金残高の比率を下げる事が目標である。
この目標自体は間違っていない。
しかし、現在の経済状況でプライマリーバランスにこだわりすぎると、公共事業費の当初予算が増えないので、地方自治体も企業も長期的な見通しを立てる事が出来ない。(平成26年度から来年度の平成29年度まで、公共事業費の当初予算は約6兆円でほぼ横ばいだ。)
つまり、地方自治体は長期的なインフラ整備が出来ず、企業は設備投資も控えるし、個人の消費も先に不安があるから増えない。
ここはひとまずプライマリーバランスを均衡させることを置いてでも財政出動をするべきだというのが西田議員の持論だ。
安倍総理も、プライマリーバランスを均衡させた途端に財政破綻をおこした国がある事は承知した上で、現在の政策を続けていると苦しい答弁をされた。(アルゼンチンとギリシャの事だ)
また、西田議員は麻生財務大臣に対し、麻生さんは私と同じ考えを持っていると思うが、財務大臣という立場上、部下を思って仕方なくプライマリーバランス優先を続けているのだと思う、という趣旨の発言をした。
麻生大臣は苦笑されていた。
私も西田議員と同じ思いでいる。
昨年10月、11月に高知県庁幹部や県内の市長村長さんが毎週のように国に要望に来て、私の議員会館事務所にも寄ってくれて話を聞いた。
県も市町村も公共事業費は補正予算が付き、結果的に要望はほぼ実現出来た。
しかし、当初予算が増えない事には長期的な計画を立てることが出来ない。是非当初予算を対前年度比で増やしてほしいとの声を何度も聞いた。
私は、財務省がプライマリーバランスを考えて当初予算を増やさないのだろうと思うと答えた。
何とか財務省の考え方を変える事が出来ないのか、議員同士の横の連絡を取り数の力を頼る必要があると思っている。