イージスアショアの配備計画一旦停止を発表

一昨日、陸上配備型の弾道ミサイル迎撃システム・イージスアショアの配備計画の停止が河野防衛大臣から発表された。
それを受けて、急遽16日午前8時から、自民党国防部会・安全保障調査会の合同会議が開かれ、防衛省幹部から説明を受けた。
イージスアショアについては、私は当初から配備促進派の1人であった。
主な目的は海上自衛隊護衛艦の負担軽減であった。
イージスアショアはルーマニアポーランドに配備されており、ロシアが相当に恐れていた。
当初は1システムが800〜1000億円の見込みであったが、いつの間にかどんどん値上がりし、現在の計画では2基システムで約4500億円と言われている。加えて、迎撃ミサイルSM -3ブロックⅡA1発の値段は、日本の防衛省は公表しないが、米軍の購入価格は約33億円である。あまりにも高い。
私は、弾道ミサイル以外についても迎撃の難しいミサイルの開発が進んでおり、日本のミサイル防衛について見直しが必要であると考えていたところであるので、配備計画を一旦停止する事については反対しない。
問題は今回の停止の理由である。
地元山口県に、発射後の燃料ブースターを自衛隊の基地内に落とす計画であると説明してきたが、そのためにはミサイルの物理的な改修が必要となった為に、計画を停止したとの説明であった。
空になった燃料ブースターが地上に落下する危険性と、日本本土がミサイル攻撃にさらされる危険性を同列に考えている防衛省幹部の説明に呆れた。
これまで党に対して何の説明も無かった事を含めて、多くの防衛大臣経験者からも、防衛省批判が相次いだ。

令和2年度第二次補正予算成立

12日(金)午前9時から昨日に引き続いて参議院予算委員会開催して第二次補正予算案の審議、10時20分質疑終了、採決の結果共産党を除く賛成多数で補正予算が成立した。

引き続いて午後1時35分から参議院本会議、維新以外の野党の賛成討論は、賛成か反対かさっぱりわけのわからん討論であった。

財務省の国民に対する間違った宣伝が行き届いているので、国民の皆様は補正予算には賛成しつつ、財政破綻を心配されていると思う。麻生大臣が5月12日に行った記者会見の概要が財務省のホームページに掲載されているので紹介する。

「(記者)今月8日に発表された国の借金がすでに2019年の末で1114兆円、過去最大であるということで、これがさらにどんどん膨らんでいくことによって投資家から見た日本の財政の信任というのが損われてしまうのではないかという風な恐れもあるかと思うんですが、その辺の懸念についてはどう考えでしょうか。

(麻生大臣)何十年経って、そうすると金利が上がるんじゃなかったっけね。そこが問題なんだよね。借金が増えて赤字公債を最初に再び出し始めたのは1994年。1994年の金利がいくらだったか調べてごらん。そしてその頃の国の借金は270、280兆円じゃなかったかな。記憶だからあまり確かじゃない、金利が5%位だったろう。4.7だったか、そんなもんだ。

今いくらだ、1100兆円だろう。10年物の国債金利はいくら。

(記者) 0%

(麻生大臣) 借金が増えて、200ないし50~60から1,100といえば4倍に増えたんだ。4倍に増えたら金利はもうちょっと上がるんじゃないの。何で下がるんだ。国債が増えても、借金が増えても金利が上がらないというのは普通私達が習った経済学ではついていかないんだね、頭の中で。今の答えを言える人が多分日銀にもいないんだと思うけれどもね。そこが問題なんだ。金利が上がるぞ、上がるぞと言って狼少年みたいなことをやっているわけだよね。だけど現実問題としては本当に上がっていないんだよ。そこのところは真剣に考えなければいけないところなので、我々は金利が低いうちにさっさと金利が高いものから低いものに交換しようとかいろいろ、低いは低いなりに考えなければいけないところなので、低いからできているという経済政策は今のうちだからやれるというのだったら、それは今のうちにさっさとそれを最大限に活用してやっていかなければ、経済対策、財政政策を考えなければいけないということだと思いますね。」

麻生大臣は、少なくとも7年前第二次安倍内閣ができた頃はこういう考え方であった。私は直接聞いている。

私の学んだ現代貨幣理論では解明できる。詳細は中野剛志先生の「奇跡の経済教室 基礎知識編」を読んで下さい。

自国に通貨発行権があり、自国建て通貨で国債を発行でき、そして変動相場制を採用している国家は、国債を大量に発行したからといって直ちに財政破綻は起きない。

中野剛史先生の同書から引用します。

「日本では、民間貯蓄が潤沢にあるから、政府は巨額の借金ができる。しかし、民間貯蓄が無くなったら財政は破綻する](プリンストン大学・清滝教授)という考え方があるが、

民間貯蓄が財政赤字ファイナンスしているのではなく、その反対に、財政赤字が民間貯蓄を生み出している。財政赤字が増える事で、民間貯蓄は減るのではなく、増える。ですから、財政赤字の増大によって民間資金が不足し、金利が上昇するなどということは起き得ない。

重要なポイントなので繰り返すが、銀行が国債を買い、政府が支出することで、その支出と同じだけ民間の預金が増える。」

特に現在の日本のように、デフレの時は赤字国債を増やして財政出動すべきです。

 

 

参議院予算委員会で第2次補正予算案の審議

11日(木)午前9時から参議院予算委員会の第二次補正予算案の審議がテレビ入りで始まり、午後6時に散会した。

予算総額は31兆9,114億円、主な内容は、「雇用調整助成金の拡充等」に係る経費に4,519億円、「資金繰り対応の強化」に係る経費に11兆6,390億円、「家賃支援給付金の創設」に係る経費に2兆242億円、「医療提供体制等の強化」に係る経費に2兆9,892億円、予備費10兆円などである。

衆議院での審議に比べて、特別報告する事はないが、多くの国民が待ち望んでいる、1律10万円の特別定額給付金が、6月5日現在、3,850万人に3.85兆円が支給済み。30.2%の支給率、集計が遅れているのは各地方自治体が支給しているからである。

そして中小企業(限度額200万円)、個人事業主(限度額100万円)に支給される持続化給付金は、現在約120万件、1兆6千億円を支給済み、ただし、(一番混乱した)5月1日申請分は、約5千件が未支給との報告が、高市総務大臣、梶山経産大臣から報告があった。

支給が遅れている主な原因は、本人、法人の特定に時間がかかっているからである。

マスクの配布の時に、台湾の制度が優れているとの報道や大臣答弁があったが、日本にはマイナンバーカードのように全国民を特定する制度が完備されていない。そのために本人や法人の特定に非常に時間がかかっているからである。

マイナンバーカードは、来春から健康保険証としても使える事になるが、現在の普及率はわずか16.8%、今回の混乱を教訓にして、高市総務大臣は1つの銀行口座と連結したマイナンバーカードの整備を進めると発言した。

銀行口座との連結は、個人預金が明らかになるとの反対の声が多くて実現していないが、専用の銀行口座を開設してもよいし、一つの銀行口座のみであればすべての個人財産が把握される事は無い。

いずれにしても、国民の声をしっかり聞き、実務にあたる地方公共団体ともしっかりと意見交換しながら進めていくとのことである。

衆議院予算委員会で安倍総理が香港問題について力強い発言

安倍晋三首相が10日(水)午前の衆議院予算委員会で、国民民主党玉木雄一郎委員の質問に答えて、香港問題に関して、主要7カ国(G7)での共同声明発出を日本がリードしたいとの考えを示した。

安倍首相は、中国が香港への『国家安全法制』の導入を決めたことについて、日本として憂慮を表明している、とした上で、『日本がG7の中で声明を発出していくという考え方のもとにリードしていきたい』と語った。」と報道され、中国外務省の華報道局長が日本政府に抗議したとのニュースを見て、テレビ録画で確認しました。

安倍首相よくぞ言ってくれました、全面的に支持します。

ブックカバーチャレンジ4、5、6日目一挙掲載

☆ブックカバーチャレンジ4日目は「秘録 東京裁判」、著者の清瀬一郎氏は憲法学者として著名な方で、東京裁判では日本人戦犯の弁護人を務めた。

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この本を読めば、日本が大東亜戦争に進まねばならなかった理由、そして、この東京裁判が、勝者によって敗者を裁く復讐劇であり、正当な裁判でなかった事がよく分かる。
また、この東京裁判の判事であったインドのパール博士も「日本無罪論」という素晴らしい本を書かれている。私は大学生の時に読んで感銘を受けました。

☆ブックカバーチャレンジ5日目は藤原正彦著「国家の品格」です。

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作家の新田次郎氏の息子であり、週刊新潮連載エッセー「管見妄語」は文庫本にもなっている。今「国家と教養」を読み返しているが、藤原正彦氏の本を読むと、日本人としての誇りを持てる素晴らしい本です。
また、昭和18年生まれの藤原正彦氏は、父・新田次郎氏の仕事で旧満洲に住んでいたが、戦後のどさくさで父が行方不明となり、母の藤原ていに連れられて、兄と妹の4人で満州から引き揚げて来るのだが、その壮絶な逃避行を、戦後母の藤原ていが記した「流れる星は生きている」(中公文庫)は大ベストセラーとなり、テレビドラマ化もされたそうだが、私はテレビドラマは見ていないが、この本も涙無くしては読めない本です。

☆ブックカバーチャレンジ6日目は「主権なき平和国家」伊勢崎賢治、布施祐仁共著、米国の占領が未だに続いている事を明らかにした本です。

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米海軍艦艇はいつでも日本の港湾を利用出来、日本政府は合理的な理由がない限り断わる事が出来ません。
また、米軍の航空機は日本領空に7箇所の訓練空域を設定し、日本政府に通告する事無く、いつでも訓練が出来ます。
四国にはオレンジルートが設定され、高知県が低空飛行訓練中止要求をしますが、全く無視です。この法律上はそれが出来ます。
自民党では以前この日米地位協定の見直しの勉強会を立ち上げましたが、上手く活動出来ませんでした。私は今後の課題であると認識しております。

 

ブックチャレンジ最終日

ブックチャレンジ7日目、最終日はユージン・B・スレッジ著「ペリリュー・沖縄戦記」です。

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パラオ諸島ペリリュー島の戦い(昭和19年、1944年9月15日〜11月27日)を、実際に従軍して海兵隊の一員として戦った米国軍人の目から見た戦記です。
島を守った日本軍は、第14師団・水戸歩兵第2連隊(中川州男大佐指揮)、歩兵第15連隊第3大隊など約11,000 人、
戦死 10,695人 捕虜(ほとんどが軍属)202 人、34名の兵士は昭和22年4月に投降した。
米軍は海兵隊、海軍、陸軍合わせて約5万人の兵力で攻めた。
ガダルカナル、マキン、タラワ、グァム、サイパン島嶼戦で連戦連勝を続けていた米国海兵隊であった。
3〜4日で落とすと豪語した米国海兵隊第1海兵師団のリュバータス師団長は、最初の一週間で死傷者が3946人にのぼった。1個連隊が戦闘能力を失い、残る2個連隊の戦力も激減して、9月21日、第一海兵連隊は兵員も約3,000名の連隊の定員の内1,749名が死傷しており全滅判定を受けた。
第1海兵連隊はアメリカ軍史上最も激しい損害を受けた連隊となっていた。
第1海兵師団も陸軍第82師団に交代させられた。
最終的な損害は総計6,526人(戦死者1,252人、負傷者5,274人)

【追記】

米軍全体の戦傷者は、戦死 2,336人、戦傷 8,450人、合計 10,786人、他に2千人以上の戦病者(戦争神経症)が出たとの情報がある。
リュバータス師団長は解任され、数ヶ月後に米国で亡くなった。
作戦の総指揮を取った第3水陸両用軍団長のロイ・S・ガイガー少将は、ペリリュー島の戦いこそ太平洋戦争全体の中で最大の激戦だったと再三再四述べている。
また、ニミッツ元帥は「太平洋海戦史」の中で「難攻不落の激戦場と最初に断定しているのは、ペリリュー島攻防戦だけである。」
この戦いは、今でも米国海兵隊にとって屈辱の歴史と認識されているそうである。
私は、このペリリュー島の戦い、硫黄島、沖縄の戦いが、戦後、米国が日本国憲法第9条を作った要因だと考えております。
「最後の一兵まで戦う日本民族に、二度と再び軍隊を持たせてはならない」米国の軍人も政治家もそう考えたと思っております。
ブックチャレンジのバトンは、私の友人であり、保守の理論家である、亜細亜大学法学部講師の菅谷幸浩さんにお願いしております。