最新の日中関係がわかる本


中西輝政教授の「迫りくる日中冷戦の時代、日本は大義の旗を掲げよ」(PHP新書)は10月初めに出版された。
この本には、戦前の毛沢東率いる共産軍と日本陸軍との関係、昭和47年(1972年)に田中角栄内閣が行った日中国交回復、それに続く昭和54年(1979年)から30年間に及ぶ7兆円もの対中ODAの供与、これらの日本からの支援が中共が現在の発展をとげる大きな原動力になったことを分析している。
そして、自民党政権時代に河野洋平加藤紘一氏らの主導で行われた「遺棄化学兵器事業」すなわち、日本軍が遺棄したとされる化学兵器の処分事業について、終戦時に日本軍は国際法に基づいてソ連軍、中国軍にすべての兵器を引き渡しているので、中国に日本軍の「遺棄兵器」なるものは存在しないにも関わらず、歴史認識のない政治家が善意で数千億円(1兆円になるのではないかと推測される)の日本の税金を投入して処理を進めるという愚かな事業を痛烈に批判している。
また、外務省のチャイナスクール派職員による中国に対する「過剰な配慮」も批判の対象になっている。
その上で、現在の尖閣諸島をめぐる中共の国家行動原理とそれに対する日本の対応策が書かれている。
この本の最後には次のように書かれている、「日本はいまこそ、事なかれの『土下座外交』から脱却して、傍若無人な中国に正面から対峙するため、国際社会の中に大義の旗を掲げなければならないのである。」
中西教授の本にしては読み易い、是非皆様に読んでいただきたい。