自衛隊元幹部が集団的自衛権を語る、その2

月刊誌Will10月号で陸海空の自衛隊元幹部が国会の安保法制議論に苦言を呈している。
傾聴に値すると思う、その中で、以下の発言が印象に残った。
火箱芳文元陸上幕僚長の発言、
安倍総理にはケース論ばかりではなく、大きな理念をテレビ等で静かに国民に直接語りかけてほしい。そうすれば、きっと大多数の国民は理解するだろうと思います。」
参議院の審議に移るまで中国の脅威が意識的にぼやかされていた。
尖閣諸島、沖縄、東シナ海のガス田リグなど、中国の日本領土侵攻圧力についてもっと情報を国民に知らせ、我が国の存立を守るために今後何が必要なのかを語る事が必要だと思う。
次に香田洋二・元自衛艦隊司令官の発言、
「国会では細かいケースを想定して『それが起こりうるのか』と質問したり、あるいはほとんど生起する公算のない対象事態として、折衝する必要さえ認められないケースをあえて持ち出しています。
『そのシナリオにおける集団的自衛権行使の必要性、合憲性など、事実上発生せず、論議する意味さえ認められない事項を、野党がまるで全てをカバーするようなケースにすり替えて延々と政府を攻撃し、本質論とは程遠い事項』について反対のための反対をしています。
ケースを想定し始めたら無限に考えなければならない。どんなことが起こるかなんて分からないわけですから。」
野党の国会議員がこれをやるから国民に分からない、私は最近の国会審議は見る気もしない。
また、自衛隊のリスク論議に関して火箱元陸幕長は次のように述べている。
「『自衛隊の活動には当然リスクはある。危険な任務だからこそ自衛隊が派遣される。自衛隊25万人がリスクを負う事で、国家国民全体のリスクを減らすことができる。
政府の仕事は国家国民のリスクを軽減することである。だから国民の代表である政治家は、訓練された自衛隊の皆さんに行ってくれるようお願いする立場なんです』
政府には堂々とそう説明してもらいたかったですね。」
この論点は中谷大臣が野党から突っ込まれた所だが、以前にもこのブログで書いたのでこれ以上書かないが、この通りだと思う。
マスコミの煽る反対運動は大学生を巻き込んでいると報道されているが、どこまで理解して反対運動をしているのか、反対運動のリーダーの言動にはそれが見えない。
60年安保闘争学生運動のリーダーであった唐牛委員長以下幹部が新安保条約を全く読んでなかった事は有名だが、今回の安保法制はあの時とは比べものにならないくらい分量がある。
また、Will10月号の巻頭のヘッドラインでは九段靖之助(誰かのペンネーム)が
菅直人は、かつてPKO(国連平和維持活動)法案は違憲だとして、国会の壇上から「違憲演説」を延々と続け、制限時間を超えて降壇しない。衛士によって引きずり降ろされたことがある。その菅が首相に就くや防衛大の卒業式で演説した。「PKOは素晴らしい法律です。諸君の訓練をこれに活かしてもらいたい」
と書いている。
あの時も野党とマスコミは戦争法案反対の大合唱であった。
私は平成21年の海上自衛隊の観艦式に行った。木更津港から自衛艦に乗り、相模湾で観艦式があった。
丁度鳩山民主党内閣が出来た後だった。菅直人副総理が乗艦し総理代理の激励挨拶が艦内のスピーカーから流れたが、自衛官にとって、こんなのが最高指揮官でさぞかし情けないだろうと思いながら聞いていた。
実際、その後どこかの陸自の部隊で幹部が民主党内閣の閣僚の挨拶を批判して問題になった。
また、私の知り合いの自衛官は一般大学卒業後、海上自衛隊幹部候補生学校を卒業して幹部の道を進んでいたが、民主党政権のもとで自衛官として活動は出来ないとして一年足らずで退職した。
余談だが、菅直人に関して九段靖之助氏は
「さらに菅は、日本のエネルギー安保に原発は欠かせないとして11基の原発新設計画を推進し、さらに複数の外国へ原発の売り込みに成功したと満面に笑みを浮かべて自画自賛した。その菅が、さきごろ川内原発の再稼働にあたり、地元に出かけて反対演説をした。福島原発の事故で、無用の指示を乱発して現場を混乱させたのは記憶に新しい。原発について発言する資格があるのか、自らに問うてみよ。
この男には、およそ定見も自省もない。」と書いている。
その後の衆議院選挙において、さすがに選挙民は菅直人小選挙区から当選させる愚をおかさなかったが、比例復活当選を果たした。
しかし、民主党内でも批判があり、完全に浮いている。
鳩山、菅と続いた民主党政権があまりにも酷かったので、自民党がミスをしても民主党の支持率は上がらないし、自民党の支持率は横ばいだ。
しかしそれもいつまでも続くとは限らない。この間に自民党も体制立て直しを図る必要があると思う。