参議院憲法審査会に出席

21日(水) 午後1時から参議院憲法審査会が開かれ、意見陳述を行う機会を与えられた。

参議院憲法審査会は45名の委員で構成され、自民党は24名、会長は自民党柳本卓治議員。

私は当初からの委員ではなく、この日初めて審査会に出席させて頂いた。地方議会と違って、委員が代わることは国会ではよくある。


【中西哲】平成30年2月21日憲法審査会

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壇上が自民党の柳本会長、左側には岡田自民党筆頭幹事、

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憲法審査会では発言者は座ったままで発言する。

制限時間は5分以内なので、書いた原稿を読んだが、原稿を5分以内にまとめるのに苦労した。

発言内容は9条の改正について、午後3時8分閉会。

発言全文

自民党中西哲です、私は憲法9条改正について意見表明をさせて頂きます。
昭和21年(1946年)6月の衆議院本会議において、共産党野坂参三議員の「侵略戦争は正しくないが、自国を守るための戦争は正しい。憲法草案の戦争一般放棄という形ではなく、侵略戦争の放棄とすべきである」との質問に対して、吉田茂首相は「戦争放棄に関する本案の規定は、直接には自衛権を否定はしていないが、第9条第2項において一切の軍備と国の交戦権を認めない結果、自衛権の発動としての戦争も、また交戦権も放棄したものである。」と答弁致しました。
その当時の吉田茂首相は、日本の安全は将来の国連に守ってもらうという考え方があったと思われます。しかし、昭和25年6月の朝鮮戦争勃発により、国連が機能しないことが証明されたのであります。
朝鮮戦争勃発後、GHQは日本に対し、昭和25年(8月10日)政令警察予備隊を創設、その後保安隊を経て、昭和29年7月自衛隊設立となるわけです。
政府は昭和29年12月の衆議院予算委員会において、大村防衛庁長官が「自衛隊のような自衛のための任務を有し、かつその目的のため必要相当な範囲の実力部隊を設けることは、何ら憲法に違反するものではない。」と答弁し、この考え方が現在の政府まで引き継がれております。
また最高裁は、昭和34年12月(16日)の砂川事件判決において、憲法第9条第2項に関し次のように判示しております。
「我が国が主権国として持つ固有の自衛権はなんら否定されたものではなく、我が憲法の平和主義は決して無防備、無抵抗を定めたものではないのである。(中略)我が国が、自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛のための措置をとりうることは、国家固有の権能として当然のことと言わなければならない」
自衛隊は「盾と矛」にたとえられるように、長い間米軍との間で役割分担を行ってきました。
しかし、日本を取り巻く状況は大きく変わってきております。
1991年12月にソ連が崩壊し、軍事大国は米国のみの時代が続きました。
1996年、米国は世界に展開していた米軍基地を縮小するトランスフォーメーション戦略(ジョイントビジョン2010)を打ち出しました。
米国は軍事的1強が続く中で、財政難から軍事費の削減をせざるを得なくなり、2012年、米国議会は軍事費(約50兆円)の1割削減を決め、実施しました。この軍事費削減は翌年から元に戻ったのですが、
2013年9月 オバマ大統領はシリア情勢の緊張にあたり「米国は世界の警察官ではない」と発言しましたが、その背景にはこの軍事費削減があったのではないでしょうか。
このオバマ発言の半年後に、ロシアはウクライナに軍事侵攻しクリミア半島を侵略し、また、中国はこの時期から南シナ海で7つの岩礁を埋め立て、現在では3つの岩礁で滑走路を作り、軍事基地化しております。
2015年4月27日、日米防衛協力の指針、いわゆる新日米ガイドラインが合意されました
このガイドラインには、日本に対する武力攻撃が発生した場合として次のように書かれております。
「日本は、日本の国民及び領域の防衛を引き続き主体的に実施し、日本に対する武力攻撃を極力早期に排除するために直ちに行動する。自衛隊は、日本及びその周辺海空域並びに海空域の接近経路における防勢作戦を主体的に実施する。米国は、日本と緊密に調整し、適切な支援を行う。米軍は、日本を防衛するため、自衛隊を支援し及び補完する。」
ここには日本が攻撃を受けたとき、自衛隊が主体的に行動すると書かれており、そのための防衛力が必要とされます。
北朝鮮はここ数年、核実験、ミサイル発射実験を繰り返し実施し、その能力は急速に進化しております。また、中国は東シナ海南シナ海において急速に軍事力を強化しております。
これらの海域は、日本の貿易にとって大きな影響を持っており、同海域を航行する日本の船舶による輸送量は、日本の総貿易量の54%というデータもあります。
自衛隊警察予備隊として誕生して以来、行政機関の一部門と位置づけられており、他国の軍隊のように行政機関外の組織と位置づけられておりません。
その為に、自衛隊の行動基準、軍法会議等、我が国を守るために十分な法整備が必要であり、憲法を改正して自衛隊を国軍と位置づけたうえで、防衛力整備を進める必要があると考えております。」