参議院本会議場で初登壇、代表質問

20日(水)午前10時より、参議院で「日米貿易協定」「日米デジタル貿易協定」の審議が始まり、私は自由民主党・国民の声を代表して質問を行った。

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答弁者は安倍総理大臣、茂木外務大臣、西村経済再生担当大臣である。質問全文を掲載する。

自由民主党の中西 哲です。私は自由民主党・国民の声を代表し、ただいま議題となりました「日米貿易協定」「日米デジタル貿易協定」について質問します。

昨年九月の日米首脳会談において、日米貿易交渉を開始することで一致してからわずか一年。米国側の要求事項が相当強いものだったにもかかわらず、安全保障上の脅威を理由に導入をちらつかせていた自動車への追加関税を回避できました。

農業分野についても焦点であった米国産牛肉と豚肉の関税削減は、TPPと同じ水準となりました。コメについてもTPPで設けられることとなっていた米国産米の輸入枠はありません。

この交渉結果については、日本自動車工業会から、自動車分野における日米間の自由で公正な貿易環境が維持強化されるものである、とのコメントが、また、JA全中の会長からも、合意内容は昨年九月の日米共同声明の内容を踏まえた結論と受け止め、特にコメについては米国への関税割当て枠の設置が見送られることとなり、生産現場は安心できるものと考えているとの談話が発せられているように、わが国の国益にかなう結果が得られたものと評価されたと考えております。

そこで、安倍総理から、今回の日米貿易協定の内容と成果について、わかりやすい説明を求めます。

 

さて、この日米貿易協定が早期に妥結したのは、アメリカがTPPからの離脱を表明した後も、わが国が、一貫して自由貿易を推進していくとのスタンスの下、TPP11や日EU・EPAの早期発効を推し進めてきたことが功を奏していることは明らかです。そして、日米貿易協定により、日本が要となって、巨大な自由貿易市場が形成され、保護主義的な流れをくい止める大きな壁がつくられたものと高く評価できると考えています。

確かに、自由貿易に対して懐疑的な気持ちを持っている方々がおられることも事実です。しかし、人口減少に直面するわが国が成長力著しい地域に活路を見出すことは戦略の一つであり、そのために自由貿易を堅持、発展させていくことは極めて重要です。

そこで、自由貿易への不安な声に十分耳を傾けつつ、日米貿易協定をはずみとして、更なる自由貿易の堅持、発展に向けてどのように取り組んでいくつもりなのか、安倍総理にお伺い致します。

 

今回の日米貿易協定発効後、日米は、自動車分野では、米国が日本から輸入する乗用車や小型トラック、自動車部品にかけている関税について引き続き協議することとなっています。交渉前は、ある産品の米国への輸入が米国の国家安全保障を損なうおそれがある場合、関税の引き上げ等の是正措置を発動する権限を大統領に付与する通商拡大法二百三十二条を発動してくるのではないか、との懸念が高まっていました。しかし、日米共同声明において、日本の自動車あるいは自動車部品に対して追加関税を課さないという趣旨を確認した上で、更なる交渉による関税撤廃についても協定上、明記されています。これは、日本の自動車メーカーが米国内において相当の台数を生産していることを繰り返し日本側から説明し、追加関税は双方のためにならないと粘り強く訴えてきたことが功を奏したと考えています。

そこで、今後、この協定を踏まえ、自動車・自動車部品の関税撤廃に向けて、具体的な関税撤廃時期等を含めて、どのように更なる交渉を進めていくのか、茂木外務大臣にお伺いします。

 

今回の日米貿易協定による経済効果は、実質GDPで約〇・八%、二〇一八年度GDP水準で換算すると約四兆円相当の押上げが見込まれています。農林水産業では、日本側の関税はTPPの範囲内に抑えられている一方、牛肉輸出については六万五千五トンの複数国枠へのアクセス確保、そして日本の輸出関心の高い醤油や冷蔵ながいも、切り花等四十二品目の関税撤廃・削減などを獲得しています。

そこで、このチャンスを生かしつつ、農山漁村そのものを支えている農家など地方の実態にも十分配慮しながら、優れた農産物の海外への売込みなど、競争力向上に向けた生産基盤の強化を含め、わが国経済の発展にどのように対処していくお考えでしょうか、西村経済再生担当大臣にお伺いします。

 

最後に、日米デジタル貿易協定について伺います。

デジタルデータは「二十一世紀の石油」といわれています。電子商取引や自動運転もデジタルデータなしには成り立ちません。GPSなどの複数のデータと併せて企業などに瞬時に共有、分析されることで新たなビジネスを展開させることも可能となります。

しかし、グローバル経済の中で、データ革命というべき動きを、如何に安全かつ確実に進展させていくのかというコンセンサスが確立されているわけではありません。そのような状況の中、安倍総理はG20大阪サミット等で、信頼たるルールの下でのデータの自由な流通、すなわちDFFTを促進すべきと各国に呼びかけました。

 

今回、日米で合意された「日米デジタル貿易協定」は、このDFFTの促進に大きな役割を果たすものと考えています。そこで、この協定とDFFTをわが国経済の発展にどう生かしていくつもりか、茂木外務大臣のお考えをお伺いして私の質問を終わります。」