自民党の財政政策検討本部の第一回勉強会

12月7日(火)午後5時から、自民党政調会の財政政策検討本部(西田昌司本部長)の第一回勉強会が開かれました。

1回目の講師は、緊縮財政派から慶応大学経済学部の土居丈朗教授、積極財政派からは第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミストの永濱利廣氏を招き、約20分間の講演をいただき、その後質疑を行ないました。

土居教授も、日本が近い将来財政破綻を起こすとは考えていないと話しておられましたが、土居教授はこれまで、国債発行を続けていると近い将来財政破綻を起こすと主張されていたと聞いてます。

これに対して、積極財政派の永濱氏が配布された資料の中で、

国債投資家懇談会議事の要点(11月29日)[注:中西、財務省のホームページ参照]のページには以下の記述がありました。

・30年債超に対する生保の一般的な需要について、・・・まだまだ生保の買い入れ需要は継続するものだと考えている。

・ALMの観点からは10〜20年債が減額されてしまうと需給が締まって困ると考えている。

・10年債から20年債の所のイールドが出てきてくれると投資家にとって、非常に魅力が出てくると考えている。

【参照:ALMとは資産(Asset)と負債(Liability)の双方を一元的に総合管理(Management)する手法のこと。

また、イールドとは利回りのこと。出典:野村証券ホームページ】

続いて、国債市場特別参加者会合議事の要点(11月29日)[同じく、財務省のホームページ参照]というページには、

・超長期ゾーンについて、40年債については、優先順位の高いものとして増額を希望する意見が多かった。また、証券会社の方からはマーケットメイクの観点から毎月化を希望する意見が聞かれ、毎月化するに際しては1回4,000億円への増額を希望する意見が聞かれた。

と書かれてました。

それで翌日、長濱先生にメールでこの文章の意味は、生保業界や証券業界は中長期の国債を買う意識が高いということでしょうかと聞きましたところ、その通りですとの回答でした。

衆議院選挙の前でしたが、自民党の財政論議のある部会で、財政緊縮派の議員が「1年の短期国債を多く発行している、10年債は市場では買い手が少なく売れない」との趣旨の発言をしました。

私は10年債を発行すべきだと思ってますが、財務省は意図的に10年債またはそれ以上の長期国債は売れないとの情報を議員に流しているのだと推測されます。なんとかして国債発行を止めたいのでしょう。

また、同僚議員が、同じく長濱先生に問い合わせたところ、「日本政府の金融負債は直近1千400兆円あるが、日銀保有国債が550兆円あり、統合政府で見た政府の金融負債は850兆円となる。

一方、政府は700兆円以上金融資産を持っているので、統合政府で見たネットの金融債務は150兆円程度であり、他国と比較しても悪くはない。」との事でした。

この見方は、多少数字が違いますが、他の専門家も同様の見方をしています。

「また、日本には財政拡大余地がある。

統合政府で見れば、子会社の日銀がいくらでもお札を刷って円建て国債で吸収できるので財政破綻はありえない。

ただ、これをやりすぎるとインフレが加速しますので、あくまでインフレ目標の範囲内ということになります。

しかし、現状の日本を見ると、インフレ率は目標の2%に程遠い0%台ですし、GDPギャップも30兆円近く残っていますので、日本はまだ財政拡大余地があるということになります。

米国主流派経済学者であれば、ほぼ同様の回答になると思います。」との事でしたが、

この話は、これまで我々積極財政派が専門家から教わっていた通りの話です。